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最近米国で生活していて強く感じるのが、大きな消費者の変化と小売りの変化で、それに対応できない企業の衰退と、上手に対応した企業の繁栄ぶりだ。この大きな変化を作り上げているのが、1982年〜2000年の間に誕生した20〜30代の 8300万人に及ぶ人口層のミレニアル層の人々だ。今まで米国の消費を引っ張ってきたのは、7500万人のベビーブーマー層だが、彼らを抜き第一の消費者層になった。この人たちのニーズに応えないで、小売業の成功は難しい時代に入った。彼らの特徴は下記の表の通り、シティライフを求め、ヘルシーで環境に高い関心を持つロハスライフスタイル、買い物はネットとリアル店舗の融合的活用、利便性に高い価値を置いた生活スタイルだ。米国の小売業は対応策に懸命に取り組んでいる。
【「ミレニアル」&「ベビーブーマー」層の特徴】
項目
ミレニアルズ
ベビーブーマー
 誕生年代
 1982〜2000年
 1946〜1964年
 人口
 8310万人
 7540万人
 住宅地
 都市(アーバン)
 郊外(サバーブ)
 食の趣向
 ヘルシーフード(鶏肉・シーフード・オーガニック&ナチュラルフード)/カロリー計算/非ジャンクフード
 ファストフードや炭酸飲料/牛肉/飲酒/多い外食
 環境
 高い関心
 まあまあの関心
 買い物  ネット&リアル店舗/ショールーミング  リアル店舗/チラシ
 買い物ニーズ  オーセンティック(本物)、便利性/価値価格(フェアプライス)/エクスペリエンス(快適買い物体験)/必要量買い(スモールバスケット)
 低価格/まとめ買い(ラージバスケット)
 ロイヤリティ度  低い  高い
 価値  利便性  低価格

ミレニアルの人々が起こしている変化と小売業の対応ぶりを見てみよう。

米国の小売店舗数は人口当たりカナダの2倍、オーストラリアの5倍の110万軒弱もあるオーバーストアだ。かつては「買い物は店舗で」の時代であったため、多くの店舗数が消費者に利便性を与えるという理由で積極出店をした。今ではECによる買い物手段の出現により、店舗数はかつてほど必要なく、多くの小売業が不採算店舗の積極的な閉店(年間約7000店舗)と、既存店舗の強化をしている。一方、より利便性の高い買い物手段提供のために、各小売り企業がリアル店舗とネットの融合したオムニチャネル機能を提供している。ネットで注文した商品を店舗で受け取る「クリック&コレクト機能」や、ネットで注文した商品の店舗での支払いや返品も可能にしている。ウォルマートではネット注文品をピックアップ出来るように、店内では10mほどの高さの「自動ピックアップタワー」、駐車場では24時間ピックアップ可能な自動機器を設置したり、ウォルグリーンではネット注文をした商品を1時間以内に店舗でピックアップできる「ウエブピックアップ」機能を提供している。ミレニアルの人々は、注文した商品が送られてくるのを家で待つのでなく、自分で取りに行く便利性を求めている。一方、アマゾンも2017年に買収した約500店舗のスーパーマーケットホールフーズマーケットにロッカーを設置、アマゾンピックアップセンターと呼ばれるピックアップ専門の機能を提供する店舗展開やドラッグストア第3位のライトエイドにアマゾンロッカーを設置してピックアップ機能を強化している。

ミレニアルの人々は都市型のライフスタイルを好むため、住まいも街中を選ぶ。北カリフォルニアにあるシリコンバレーの会社に勤務する若い人々も、サンフランシスコの街中に住まいを選択するため、新しいコンドミニアムが数多く建設されている。同じことがニューヨーク、シカゴそしてロスアンゼルスなどの大都市にもみられる。そのためスーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニそしてアマゾンゴー等が街中に積極的に出店し繁盛している。1980年代の米国の都市の多くは一種のゴーストタウン化し、空店舗であふれ、治安も悪化し犯罪率も高かった。今では人々の増加により、治安も強化され、小売店にとって一番ホットな立地になっている。逆に郊外は街中のオフィスに通う時に起こる交通渋滞により不便になっているため、人々が郊外から街中へ住まいを移している。かつてはべビーブーマーの人々が郊外の大きな家に子供2人の家族4人で生活をしており、彼らの需要をくみ取ってGMS、スーパーセンター、カテゴリーキラーなどの大型店やショッピングセンターを郊外立地で展開し大繁盛したのだ。しかしミレニアルの人々は都市型ライフスタイルを好み、生まれた時からITテクノロジーの環境に囲まれ、フォークやスプーンを使うようにテクノロジーを使いこなす。そのため店舗とネットをシームレスに活用し、遠くの不便な買い物はネットを活用している。かつての小売りの成功ビジネスモデルであったローコストの郊外立地という利便性に欠けた店舗は、今ではお荷物になってしまった。

下記の表はカンターリテール社の米国小売業態成長予測だが、2017年〜2022年までの年平均成長率予想で見ると、オンライン小売りが12.7%と一番成長するが、ディスカウントストア(小型ディスカウントスーパーを意味する)やドラッグストアは平均の4.3%を超える成長性だが、他はみな平均以下だ。かつての小売りの成長を引っ張ってきた超大型店舗(5000坪)のスーパーセンターでさえ1.5%程度の成長しか見込まれていない。
平均以上と平均以下の成長のカギの一つは「利便性」で、繁盛しているALDIやトレーダージョーに代表される小型ディスカウントスーパーやドラッグストアは300〜400坪程度の店だ。そのためディスカウントストアのターゲット、ホームセンターのホームデポ、オフィス用品のステープルなどは街中にコンパクトストアを展開している。ウォルマートも、フーパ―センターの代わりに1300坪程度のネイバーフッドマーケットを積極出店している。一方、5万ケ所弱あるショッピングセンターの中で大き過ぎるショッピングセンターの多くが不振で、1/4が閉鎖するといわれている。何しろ米国のショッピングセンターの空室率は9%弱まで上がっている。

【米国小売業業態別年平均成長率予想(カンターリテール社)】
チャネル
2017年〜2022年 (%)
 アパレル
 2.3
 キャッシュ&キャリー(会員制)
 4.1
 スペシャリティストア
 3.0
 コンビニエンスストア
 3.5
 百貨店
 ▲3.6
 ディスカウントストア(小型ディスカウントスーパー)
 7.8
 ドラッグストア
 4.6
 スーパーセンター
 1.5
 総合スーパー
 1.1
 オンライン
12.7
 スーパーマーケット
3.6
平均
4.3


以前の調査だが、スーパーマーケット業界において、ロイヤリティプログラムのメンバー数は前年比で2014年は1%、2015年は2%減少し、ロイヤリティ度が低くなっていると発表された。一般消費財の購入において、ショッパーの80%以上は3チャネル以上を利用している。また多くのショッパーは食料品購入のために3人に一人はスーパー以外を利用している。調剤薬の4割そしてOTC薬の65%はドラッグストア以外の業態で購入されている。かつて食品はスーパー、薬はドラッグストアというように購入する商品により業態を使い分けていたが、今は業態の垣根がなくなり、ショッピングの目的によって業態を使い分ける消費者が増えている。特にミレニアルの人々はロイヤリティ度が低く、必要が生じた時クイックに解決してくれる便利な店をその都度選ぶ傾向が強い。そのためドラッグストアは食品の導入、ディスカウントストアは食品や薬の導入、スーパーマーケットは薬やレストラン機能の導入等をしてミレニアル層の人々のニーズに対応している。

【ショッピング目的による業態の使い分け】
ショッピングの目的
利用業態
 貯め置きショッピング
 スーパーマーケット、スーパーセンター、ホールセールクラブ
 間に合わせショッピング
 ドラッグストア、コンビニ
 クイックショッピング
 ドラッグストア、ダラーストア、コンビニエンスストア
(資料)ウォルグリーン社


     

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