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米国のスーパーマーケットの実験によると、顧客が商品選択に使っているのは買い物時間のたった20%程度で、残りは「売り場の移動時間」と「レジでの時間」ということだ。ドラッグストアや他の業態もそれほど変わりはないはずだ。ウォルグリーンではレイアウトによって「効率的な買い物」や「衝動買いの促進」を進めている。前号に続いて彼らのレイアウトの考え方について述べてみよう。


売り場レイアウトを考える場合、まず衝動買いが強い商品から買い物をスタートさせている。スーパーマーケットでは「青果」、ドラッグストアでは「化粧品」のように、それぞれの業態によって最も衝動性の高い商品群を入り口付近つまり買い物のスタート地点に配置する。購買行動に入る最初の場面で見た商品は、お客様の心理をフレーミング(枠組み)し、その後の買い物行動に影響を与える。そのため衝動買いから買い物を始めると、お客様の心理に衝動買いのフレーミングが出来て、その後も衝動買いに違和感を覚えなくなる。通常買い物リストを持ってくる顧客は約40%いると言われているが、その人たちでさえ購入した金額は買い物リストの金額の倍を超えている。衝動買い購買率を高めた売り場作りをしていれば、売り上げが上がっていく。多忙な人が多い今日、店に来てから決める衝動買い傾向はより高い割合を占めており、ウォルグリーン社によれば、フロント売り場(調剤以外のセルフサービス売り場)の売り上げの6〜7割は店に来てから決める「衝動買い」によるものだという。
【ウォルグリーンでの買い物スタイル】
買い物スタイル
比率
店への貢献
 計画購買
30〜40%
店にお客を運ぶ
 非計画購買(衝動買い)
60〜70%
店に売り上げ・利益を運ぶ

ウォルグリーン フロアレイアウト


ドラッグストアに求める10分の買い物時間では、4ケ所の売り場にしか寄れないため、 「ビューティーケア」 「ヘルスケア」 「コンビニエンスケア」 「ホームケア」の4つの大部門でくくられていることを前号で述べた。それぞれの大部門の配置理由を述べよう。
a)ビューティーケアゾーン
ビューティーケアゾーンが出入り口から第一主通路の奥まで売り場を独占するように配置されているのは下記の理由による。この「第一主通路」は「魅惑の通路(ファッシネーション・アイル)」と呼ばれている。
イ)良い第一印象を与える
スーパーマーケットでは新鮮で季節感のある果物を入り口付近に配置し、続いて野菜を第一主通路に置いている。同じようにドラッグストアもお客に美しさと季節感を与え、店のイメージをよくするコスメティックを入り口付近に配置する。心理学ではこれを「初頭効果」と呼ぶが、人間は第一印象が良いとその印象を維持しようという気持ちが働き、その後も良い印象を持ったまま買い物を続ける。最初に良い印象を持つと、お客の滞店時間が長くなるし、化粧品のような非日常性の高い商品を見ると、お客の気持ちはオープンになり、衝動買い傾向が強くなり価格志向も薄れる。
ロ)トイレタリー商品は目的買い商品
身体の洗浄や身嗜み、嗜好などを目的とした商品(ヘアケア、バスケア、ボディケア、メンズケア、サンケアなど)をトイレタリーというが、これらはヘルスケアに次いで目的買いが多い商品群だ。第一主通路の奥に配置されるのは、目的買い商品の性格上、通路の奥までお客を引っ張れるからだ。
b)ヘルスケアゾーン
店舗奥の「第二主通路」は「黄金の通路(ゴールデン・アイル)」と呼ばれ、ドラッグストアの一番の基本商品群である調剤&ヘルスケア部門が配置されている。調剤室を出入口から見て対角線上の一番奥に配置し、そこを中心にOTC薬やヘルスエイドカテゴリーを陳列している。
前回も述べたが、「プライバシーが確保しやすいこと」 と 「目的来店性が高いこと」で店の奥まで顧客を誘導できることが配置の理由だ。
c)コンビニエンスケアゾーン(コンビニエンスフード)
「第三主通路」は「便利性の通路(コンビニエンス・アイル)」と呼ばれ、コンビニエンス食品が配置される。それは以下の理由による。
イ)便利な店のイメージを作る
出入り口からそれほど離れていないところに配置することで、購買頻度の高い食品を便利に買えるというイメージを与える
ロ)壁面にウォークインクーラーを設置できる
冷凍・冷蔵・飲料水・アルコール・アイスクリーム・乳製品などを陳列するクーラーは、機器の裏側から商品補充をするウォークインクーラーである必要がある。そのためには壁面が必要である。且つ、冷凍・冷蔵商品は冷たさを保持できるように買い物の最後の場面で購入したい意向が強い商品だからだ。
ハ)売り場の相性に配慮する
夢の世界のビューティーケア商品と現実的な食品は売り場の相性が悪く、そばに配置すると足を引っ張りあい、両方の売り上げが落ちる。そのため第一と第三主通路に配置して売り場を離している。
d)ホームケアゾーン(日用品、家庭用品)
ホームケア商材はドラッグストアの補完部門だ。売り場としては、壁面ではなく売り場の内側のセンター売り場に配置される。
利益率が高く思い出し購買率の高い商品は、第4主通路(インパルス・アイル)に面した「レジ壁」と呼ばれているところに陳列され、買い物の最後で衝動買いを高める工夫をしている。


人々は非日常から日常の流れには容易に流れるが、逆は流れにくい。ドラッグストアでは日常商品である低価格日用品や食品から買い物を始めると、非日常的商品性格を持ち価格が高めの「化粧品」の購入に対して抵抗感が出てくる。ドラッグストアで、入り口近辺の売り場や第一主通路にカップラーメンや冷凍食品に大きな売り場を設け、第三主通路や出口近辺にビューティーケア売り場を設けている店は、ビューティーケアの売り上げが不振だ。


4つの大部門をゾーニングした後、各ゾーンの境目にどんなカテゴリーを配置するかも重要なポイントだ。ビューティーケアからヘルスケアゾーンに移るところには、オーラルケアやフットケアカテゴリーを配置している。それらのカテゴリーはビューティーケア(例:白い歯)とヘルス(歯周病予防)の両方の性格を有した商品だからだ。ヘルスケアとコンビニエンスケアの境目には両方の部門の性格を持ったビタミンやダイエットカテゴリーが配置されている。このように部門の境目を関連するカテゴリーが配置されると、顧客は次の部門に関心を保持したまま移って行ってくれる。このゾーニングを「シームレスゾーニング」と呼んでおり、境目になるカテゴリーを「ブリッジカテゴリー」と呼んでいる。


健康と美を売り物にするドラッグストアにとって、店舗が薄汚く無味乾燥な売り場であってはならない。しかし豪華な建造物や売り場什器を導入してはコストがかかる。そのため、陳列されている商品のカラーコントロールで、売り場の華やかさを演出している。店に入ったお客様にきれいなお店という印象を持ってもらうために入り口近辺や売り場の前列部分は色がきれいで映える商品群を陳列し、店のデコレーションとしている。


お客の買い物意欲は店での時間の経過と共に減退する。集中力の低下、疲労の高まり、時間に追われるなどが要因だ。従って買い物の初期に判断力を要する主力商品を配置している。

     

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