アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
Excell-K ドラッグストア研究会

研究会研究会ご案内
研究会研究会ご案内研究会セミナー日程研究会セミナー日程
松村清松村清プロフィール
ご案内 研究会事務局
レポート最新USレポート

PDFファイル

アマゾンとの戦うためにリアル店舗は「便利性」の強化を高めている。低価格を最大武器として他の事柄を犠牲にしてきたあのウォルマートでさえ、CEOのマクミロン氏は「便利性の欠如した小売業の崩壊が始まった」と述べ、経営戦略に「Faster(より早く)、Easier(より簡便に)」という「便利性」を入れてきている。
米国のドラッグストアでも「アマゾンを超える便利性」をキーワードに、「人間行動学」や「心理学」に基づいて売り場レイアウトが作られている。最近会ったウォルグリーンの幹部によると、レイアウトの原則は「クイックショッピング」、「プライバシーの保持」、そして「衝動買いの促進」の3つだと述べていた。
ウォルグリーン フロアレイアウト


もともとドラッグストアは「30分ストア」と呼ばれ、来店に10分、買い物に10分、そして帰宅に10分、計30分で買い物が終了出来るように消費者から求められて、商圏設定や店作りをしてきた。そのため店舗サイズも300坪程度に収め、10分での買い物を可能にするレイアウトを追求してきた。彼らのレイアウト作りの実際について述べてみよう。

a)店の角に一ヶ所の出入口
かつて出入口は2ヶ所あったが、現在では4角形の売り場の角の一ヶ所だ。それは次のような理由による。
イ)来店客が店内を見易い
角に入り口を配置していれば、入店したお客は90度の視野で店内を一望できる。ドラッグストアに必要なクイックショッピングを実現させるためには、入り口で首を動かさずに店内全体を見渡せることが大切だ。もし入り口を中央にすると、首を180度近く回さなければ店内を見渡せないためお客は不便を感じてしまう。
ロ)4つの壁面の有効活用
ドラッグストアの立地は便利な場所なので高コストである。それだけに売り場の生産性を上げる必要があるのだが、出入り口を一ヶ所、そして角にすれば、4つの壁面を有効活用できる。
ハ)低コストで管理しやすい
出入口は複数個所より一ヶ所の方が管理がし易く、且つオペレーションコストが安上がりですむ。
ニ)ストーリーのある売り場を組みやすい
売り場レイアウトは入り口から出口まで「ストーリー」が必要だ。つまり、非日常的な化粧品から目的買いのヘルスケア、そして日常性の強いコンビニエンスフード、雑貨へと続く流れによって買い易い売り場になり、クイックショッピングがし易い。

b)回遊性を高める主通路
主通路とは、店に入ったお客の80%以上の人が歩く通路である。店内をくまなく回遊してもらうために重要な役割を担っている。
イ)口型主通路
4方の壁を効果的に活用するために、主通路を壁面に沿って口型にし、出入り口を
第一主通路とつなげ、お客が店の奥まで自然に歩いてくれるように作られている。
ロ)左回り(逆時計回り)
理想的な主通路は左回りである。それには次の3つの理由がある。
①右目が効き目の人が9割以上なので、多くの人は右の方へ関心がゆきやすい。
売り場として大切な壁面に関心を向かせるには左回りが原則だ。
②右手が利き手の人もやはり9割以上だ。このため、買い物かごは左手で持ち、右手で商品を陳列棚からピックアップする。右回りだと左手で持った買い物カゴが壁面売り場にぶつかるため、買い物かごを右手で持って左手で商品をピックアップしなければないため買い物がしにくい。
③右足が利き足の人が多い。運動場のトラック、ベースボールのダイヤモンド、アイススケートのリンク等が左回りに作られているのもそのためだ(円周を回る時左足を軸足にし、利き足の右足で内側に蹴り込んでいる)。そのため幼いころから身体が左回りに慣れている。
ハ)主通路の広さ
女性の肩幅は約50cm、両手を下すと60cmになる。従って、お客同士が通路で無理なくすれ違うためには最低120cm以上の通路幅が必要だ。主通路では、3人目が通過出来るように180p以上取っている
ニ)第一&第二主通路に平台などの陳列什器を設置しない
陳列什器を設置すると、顧客は歩きづらくなり、クイックショッピングがしにくく、回遊性が極端に低下して奥まで進んでゆかない。

c)シンプルレイアウト
ドラッグストアのようにクイックショッピング機能が求められる小売業では、お客が求める商品がどこにあるかすぐに分かるようなレイアウトでなければならない。コンビニエンスストアのように入り口で目隠しされても、雑誌、飲料水、即食、加工食品等主だった商品の売り場にすぐたどり着けるのは売り場レイアウトがシンプルだからだ。ドラッグストアのレイアウトも同様に「Simple Is Best」が非常に重要だ。ゴンドラの配置は「グリッド式」(レジに対して直角に配置するウナギの寝床式)が基本である。セルフ商品はグリッド式のゴンドラに陳列し、カウンセリングを必要とする核部門の化粧品、調剤、フォト兼サービスカウンターは独立した売り場カウンターを置くことによって、専門性の強化と売り場に変化をつけている。これまでも米国のドラッグストアでは、化粧品コーナーを中心に各売り場を放射線状に配置するなど様々なレイアウトを試みたが、買いにくい売り場になりことごとく失敗した。ゴンドラは出入口に対して縦方向に配置する。横方向だと、店内の見通しが悪くなり、買い物がしにくくなる。ゴンドラの幅は90pが基本。売り場面積300坪程度で1万8000アイテム程度を品揃えするので、カテゴリー管理をし易くするためだ。ゴンドラの連結を13本(約12m)程度にしているのは、シニアや忙しいお客が長く歩かずに目的の売り場に行き易いようにするためだ。

d)買い物時間10分以内を可能にする 「4つのゾーニング」
ドラッグストアにおける買い物は10分以内に終了することが求められている。コンビニは5分以内、スーパーマーケットは30分以内...というように、お客は業態によって買い物時間を決めている。その制限時間をオーバーするような店にすると、その店は他の業態の土俵で戦わなければならず、負けていくのだ。ドラッグストアで10分以内の買い物を可能にするには、お客は4ヶ所の売り場にしか寄れない。そのためウォルグリーンはじめ米国ドラッグストアは売り場を次の4つのゾーンに大別している。
イ) 「ビューティーケア」売り場 化粧品及びトイレタリー
ロ) 「ヘルスケア」売り場 調剤及・OTCやヘルスエイド
ハ) 「コンビニエンスケア」売り場 コンビニエンスフード
ニ) 「ホームケア」売り場 家庭用品・日用品・サービス
10分間はすぐ過ぎてしまうので、こうしたゾーニングがしっかり出来ていない店は、顧客からみれば買いにくい店、そして店からみれば買い上げ点数の上がらない店になってしまう。


ドラッグストアの多くの顧客は、自分の体調や病気に関しては薬剤師と相談し、服薬指導を受けている。その場合患者は他人に自分のプライバシーの部分は知られるたくない。精神の病、性病、がん等の病を持った患者は特にそうだ。このため調剤室を出入口の反対側である店の奥に配置して、プライバシー保護に非常に気を使っている。店の奥に配置すれば、高齢者、体調の悪い人、小さな子供連れの人や急いでいる人にとっては不便である。それを解決するために店の裏側の調剤室脇にドライブスルー機能を持たせている。現在ではドライブスルーによる調剤薬の売り上げは調剤件数ベースで約1/3と高くなっている。店の奥に配置するもう一つの理由は、調剤薬は目的来店性が最も高い商品だからだ。そのため調剤客はまず店に入ると調剤室へ行き、終わってからフロントエンドの商材を購入する。そのため調剤は店の奥まで顧客を誘引する力を持っており、顧客が店全体を歩いて商品を購入するチャンスを高めている。米国のドラッグストアは今まで何度も調剤室を店の前面に持ってくる試みをしたが、全て失敗した。

     

 ページの先頭へ

Copyright (C) Drugstore-Kenkyukai. . All Rights Reserved.