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2019年の米国の経済は、ヨーロッパや中国の経済成長率の低下、保護貿易主義による米中の貿易戦争、不安定なトランプ政権、金利上昇リスクなどがあるが、歴史的な低い失業率や賃金の上昇、個人消費支出成長率2.8%という強い消費性向、好調な住宅市場等により、2018年ほどの強さはないが、2.1%の堅実な成長をすると予測されている。

項目
2017年
2018年
2019年(予測)
 実質GDP成長率
2.5%
2.5%
2.1%
 失業率
 4.1%
3.9%
3.9%
 個人消費支出成長率
 2.7%
2.8%
2.8%
 (資料)Chain Drug Review 2019年4月号


今後のドラッグストア業界をみてみると、高齢社会によるヘルスケアの需要増という追い風はあるが、Eコマースや他業態との厳しい戦い、調剤薬に対する保険会社からの還付率の低下、来店頻度下落、アマゾンのPillPack社買収による調剤への参入など課題が多い。
2018年度の北米(米国及びカナダ)のドラッグストア業態は2017年比3.7%の成長を遂げた。その内チェーンドラッグは3.8%成長したが、独立ドラッグ(10店舗以下のドラッグ企業)の成長は3.3%に留まった。
チェーンドラッグの既存店成長率は21%で2017年の1.6%より0.5ポイント大きく成長をした。過去を振り返ると、2007年既存店は5.6%、トータル店舗は7.7%成長したが、近年のネットの成長や他業態の攻勢はドラッグストアの成長にダメージを与えている。
売上げ構成比でみると、チェーンドラッグが76%、独立ドラッグが24%だ。21世紀には生き残れないと言われていた独立ドラッグの健闘は見事で、高い顧客満足度に支えられている。特に調剤において消費者の満足度評価が一番高いのが独立ドラッグで、家族全員の健康状態を把握している専門性、待たせない調剤、大手ドラッグでは在庫しない調剤薬の品揃え、なじみの薬剤師(大手は転勤で始終変わる)、近隣の医師を定期的に訪問することによる必要な薬の情報と在庫、マッケソンなど大手薬卸による経営サポートなどが功を奏している。また大手ドラッグが力を入れにくいホームヘルスケア(介護・看護用品)を強化しているのも大手との大きな差別化になっている。
ドラッグストアトータルの店舗数は45,987店舗で、前年より369店舗も減少した。チェーンドラッグは175店、独立ドラッグは194店の減だ。大手チェーンドラッグがオーバーストアの状態にあること、既存店重視政策を打ち出していること、そして独立ドラッグが不採算店を積極的に閉店したこと等が店舗減の要因だ。約10年ほど前までは大手ドラッグストアは出店競争をし、ウォルグリーンは年間450店舗近く新店をオープンしていたことを思うと隔世の感がある。
ドラッグストアの平均売り場面積は297坪で前年より3坪縮小した。日本のドラッグストアと坪当たり売り場生産性を見てみると、米国のドラッグストアは年間453万円(1ドル110円換算)の売上げをあげているが、日本はその半分弱の売上げしかあげていない。これは7割近い構成比を占める調剤薬売上げ(日本は10%程度)、OTC医薬品の拡販、食品の強化による売上拡大、長時間営業、サービス機能の強化(クリニックの導入、予防接種、ヘルスチェック、イートイン、宅急便取り扱い等)が大きな要因だ。
目立った動きとしては、米国のドラッグストア業界は合併による規模拡大がメインテーマだったが、全米第3位のドラッグストア・ライトエイドの半分の店がウォルグリーンに買収されてほぼ終了した。ビジネス基盤を強くするために、異業態との提携が盛んになっている。例えばウォルグリーンは、米国No.1スーパーマーケットクローガーと提携し、ウォルグリーン店内へクローガーエキスプレスという食料品売り場の設置やPB商品の相互活用のテスト、マイクロソフトとの提携では彼らのクラウドサービスの全面活用、フェデックスとの提携で調剤の即日配達、スプリントとの提携では、スプリントモバイル機器の販売のテスト、また20ドルの年会費制ポイントプログラムをテストしている。CVSはたばこの取り扱いを止め、健康を意識したBetter for Youフード(グルテンフリー、ラクトフリー、非遺伝子組み換え、低塩分、オーガニック食品等)に力を入れており、Grab-and-Goと呼ばれる即食(サンドイッチ、惣菜、カット野菜・果物等)を中心にした食品売り場は、ヘルスへのこだわりから消費者の支持を得ている。その他ビジネスでみると、リテールクリニックをCVSは1134ケ所展開(全米No.1)、ウォルグリーンは400ケ所展開し強化している。リテールクリニックは年平均成長率が20.3%と高く、2025年に73億ドル市場になると予測されているからだ。風邪、耳痛、鼻炎、予防注射など軽い病気の診断や治療のために利用する人が増えており、地域のプライマリーケアの拠点になりつつある。特にミレニアルズやジェネレーションZ等の若い年齢層に好まれており、ドラッグストアの新しい顧客層として期待されている。
店によっては眼科医を配置しての眼鏡販売、歯科医を配置したオーラル治療やケア、今後の成長性が非常に高いと予測されているスペシャリティファーマシー機能も強化している。米国人の84%つまり287百万人はインターネットを利用しているが、2018年の米国オンラインセールスは14.2%成長し、5,136億ドル市場になった。ドラッグストアのフロントエンド商材のオンラインによる売り上げ増は28%もあり、ドラッグストアの売り上げを圧迫している。そのため大手ドラッグストアはオムニチャネル化に努めており、顧客がネットで注文して店舗に取りに来るクリック&コレクト機能を強化している。クリック&コレクト客は店舗のみの利用客より3~5倍の顧客価値があることが分かっている。
【2018年度北米(米国&カナダ)ドラッグストア業界】
項目
実績
vs. 2017
構成比 (%)
 チェーンドラッグ売上
3,279億ドル
+3.8%
76.0
 独立ドラッグ売上
1,036億ドル
+3.3%
24.0
 ドラッグストアトータル売上
4,315億ドル
+3.7%
100.0
 チェーンドラッグ店舗当たり売上
12.2百万ドル
+0.8 百万ドル
-
 チェーンドラッグ売上/坪
41,220ドル
+2160ドル
-
 チェーンドラッグ既存店売上伸長率
+2.1%
+0.5%ポイント
-
 チェーンドラッグ税引き後純利益率
1.5%
同じ
-
 チェーンドラッグ店舗数
26,804店舗
▲175店舗
58.3
 独立ドラッグ店舗数
19,183店舗
▲194店舗
41.7
 ドラッグストアトータル店舗数
45,987店舗
▲369店舗
100.0
 チェーンドラッグ平均店舗売場サイズ
297坪
▲3坪
-
(資料) Chain Drug Review 2019年4月号


北米ドラッグストア企業ランキングを見てみると、ウォルグリーンとCVSが圧倒的な強さで、ウォルグリーンは約1000億j企業だ。第3位がライトエイドだが、約半分の店舗をウォルグリーンに売却したので、売上げは158億jへ下がった。このトップ3と多くの小規模ドラッグストアで構成されているのが米国ドラッグストアの現状だ。第4位のGood Neighborと第6位のHealth Martは、米国医薬品卸No.3のアメリソースバーゲンとNo.1のマッケソンが小規模ドラッグストア&ファーマシーを組織化したボランタリーチェーンだ。卸店が色々な経営サポートをしており、加入しているドラッグストアやファーマシーは顧客への販売・サービスに専念できるようになっている。ディプロマット・スペシャリティ・ファームは特殊な病気(がん・エイズ・臓器移植・小人症・不妊症等)の患者用の調剤薬やOTCの提供と生活習慣のカウンセリングを行っている。19位のBartell Drug は主にワシントン州に出店しているが、地産地消をモットーに地元商品を大切にし大手ナショナルチェーンと差別化をしている。

 
【2018年北米ドラッグストアトップ20】
 チェーンストア

売上金額
(億ドル)

前年比
(%)
店舗数
前年比
 1) Walgreens
984.0
+12.7
9,560
9,560
 2) CVS Health
840.0
+5.8
9,900
+97
 3) Rite Aid
158.0
▲0.4
2,468
▲80
 4)Good Neighbor Pharmacies
151.0
+5.9
4,098
+32
 5)Metro(Canada)
143.8
NA
662
+244
 6) Health Mart
130.2
+5.0
5,032
+86
 7) McKesson Canada(Canada)
101.0
+44.2
2,500
0
 8) Shoppers Drug Mart(Canada)
96.7
▲3.1
1,433
+109
 9) Diplomat Specialty Pharm. 
47.0
+4.9
75
+2
 10)London Drug(Canada)
21.8
0
81
+1
 11) Fred’s Pharmacy
19.6
▲6.0
360
▲2
 12) Medicine Shoppe
17.9
▲5.3
483
▲27
 13) Genoa
15.8
+5.3
451
+55
 14) Marc Glassman
15.8
+5.3
58
0
 15) Pharmasave(Canada)
15.0
▲1.8
671
+21
 16) Kinney Drugs
7.9
▲9.7
100
0
 17)Discount Drug Mart
7.2
+2.3
75
+2
 18) Care Pharmacies
6.9
+4.9
98
+19
 19) Bartell Drugs
4.9
+5.6
68
0
 20) Thrifty White Stores
4.9
+12.9
99
+4
(資料) Chain Drug Review 2019年4月号


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