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下記は2017年度米国小売業のトップ10だ。アマゾンが第2位に躍り出ているのが目につくが、3位のCVSと5位のウォルグリーンがドラッグストア関連企業だ。CVSの売り上げの50%以上は傘下保険会社で上げており、ドラッグストアというビジネスだけで見るならばウォルグリーンがNo.1である。
【2017年米国小売業トップ10社】
順位
社名
売上高
($百万)
前年比
(%)
売上高営業利益率
1
 ウォルマート・ストアーズ
505,491
3.7
4.4
2
 アマゾンドットコム
208,125
38.6
3.6
3
 CVSヘルス
186,967
3.4
5.5
4
 コストコ・ホールセール
139,465
13.1
3.2
5
 ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス
128,244
9.9
5.4
6
 クローガー
123,907
5.9
2.3
7
 ホーム・デポ
101,964
6.5
14.4
8
 ターゲット
72,437
4.2
5.9
9
 ロウズ
69,119
3.7
9.4
10
 ベスト・バイ
42,732
8.2
4.6
(資料)WBA社)



a)業績
世界No.1のドラッグストアウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)は、2018年8月31日決算で1,315億ドル(前年比11.3%増)の売り上げ、純利益50億ドル(前年比+23.2%)を記録した。WBAは11カ国に約14千軒強の店舗を持つ。また世界最大のヘルスケア卸及びディストリビューションネットワークを持っており、11カ国291カ所のディストリビューションセンターで、20カ国11万カ所のファーマシー、医師、ヘルスセンター、病院に薬を配送している。
【Walgreens Boots Alliance Inc.のファイナンシャルデータ】
順位
2018年度
(百万ドル)
前年比
(%)

(%)
前年比
(%ポイント)
 売上高
131,537
+11.3
100.0
-
 粗利益
30,792
+5.6
23.4
▲1.3
 販売管理費
24,569
+3.5
18.7
▲1.4
 営業利益
6,414
+15.4
4.9
+0.2
 純利益 
5,024
+23.2
3.8
+0.3
(注)数値データはWBAの年次報告書より

     
現在WBAは3つの事業部門(Retail Pharmacy USA、Retail Pharmacy International、Pharmaceutical Wholesaler)に分かれ、42万人の従業員が働いている。売上げの74.8%はRetail Pharmacy USA(ドラッグストアウォルグリーン及びデュエンリード)の9,560店舗であげている。Retail Pharmacy Internationalは主にブーツの店名でヨーロッパで展開している。店舗数は4,767店舗、売上げは9.3%強の構成比で成長性も前年比?4.0%と低めだ。今後低収益のメキシコやチリの店舗の見直しが行われる。ファーマシーホールセール事業部門は売上げの15.9%の構成比を占め、前年比8.6%の成長をした。
【2018年度事業部門別売上】
事業部門
2018年度
金額(百万ドル)
前年比
(%)
構成比
(%)
 Retail Pharmacy USA(店名: Walgreen、Duane Reade)
98,392
+12.7
74.8
 Retail Pharmacy International(店名:Boots等)
12,281
+4.0
9.3
 Pharmaceutical Wholesaler
20,864
+8.6
15.9
 合計
131,537
+11.3
100.0
(注)数値データはWBAの年次報告書より


b)店舗数
世界で14,327店舗あるが、7割近くは米国で展開されている。店舗数の大きな伸びは、米国第三位のドラッグストアライトエイドの1932店舗買収によるところが大きい。それを除けば逆にシュリンクしている。これはEコマースの発達により、リアル店舗の必要性が減少しているからだ。かつての17時間に1店舗オープンするという出店競争の時代は終わり、既存店舗を大切にする方針に変わっている。
【2018年度店舗数】
事業部門
展開国
店舗数
前年比
 Retail Pharmacy USA計
-
9,560
+1,460
 -
 USA
9,451
+1,472
 -
 Puerto Rico
108
▲12
 -
 U.S. Virgin Islands
1
0
 Retail Pharmacy International計
-
4,767
+45
-
 United Kingdom
2,485
▲1
-
 Mexico
1,240
+47
-  Chile
424
▲6
-
 Thailand
285
+8
-
 Norway
160
0
-
 Ireland
87
+1
-  The Netherlands
59
▲4
-  Lithuania
27
0
総合計
-
14,327
+1,505
(注)米国の数字にはスペシャルティファーマシー7カ所やメールサービス施設2カ所を含まず。



リテールファーマシーUSA事業部門は、米国50州、ワシントンDC、プエルトリコ、USバージンアイランドでウォルグリーンやデュエンリードの店名で、2018年8月31日現在9,560店舗を展開している。売り上げは前年比12.7%成長の983億ドルを記録し、米国No.1ドラッグストアの地位を守った。現在米国民の78%はウォルグリーン及びデュエンリードの店舗の5マイル以内に居住し、オムニチャネル機能も積極的に進化させているため、消費者にとって「いつでも」「どこでも」利用できる身近な存在となっている。
売上げは12.7%成長したが、ライトエイドの半分の店舗の買収や既存店の調剤売り上げ成長3.4%に支えられた業績だ。逆にフロントエンドの既存店舗の売り上げは2.4%のマイナスであった。粗利益率は前年より1.6%ポイント下落し、24.1%になった。調剤の利益率の低下や食品構成比の増加による。販売管理費率が前年より1.7%ポイント低下し19.2%になったおかげで、5%の営業利益率を確保出来た。
【Retail Pharmacy USAの2018年度実績】
項目
2018年度
(百万ドル)
前年比
(%)

(%)
前年比
(%ポイント)
 売上高
98,392
+12.7
100.0
-
 既存店舗売上
-
+1.5
-
-
 調剤売上
-
+17.2
-
-
 既存店舗調剤売上
-
+3.4
-
-
 フロントエンド売り上げ
-
+2.4
-
-
 既存店舗フロントエンド売り上げ
-
▲2.4
-
-
 粗利益
23,758
+5.8
24.1
▲1.6
 販売管理費
18,862
+5.3
19.2
▲1.7
 営業利益
4,896
+16.7
5.0
+0.2
 処方箋枚数
823百万枚
+7.7
-
-
 処方箋枚数(30日換算)
1,094百万枚
+10.5
-
-
 店舗&拠点数
9,569店舗
1,460店舗
-
-
(注)店舗数には7店舗のスぺシャリティファーマシーと2カ所のメールサービス施設を含む

 


米国市場ではより一層「ヘルス」に重点を置き、調剤の比率を大幅に引き上げ、ウォルマートやアマゾンなどの大手小売業との差別化を図っている。そのため売上げ構成比をみると、2018年度は調剤が72%を占めており、ウォルグリーンのビジネスの核となっている。90日処方箋を合算した処方箋枚数は823百万枚だが、30日処方箋に換算すると1,094百万枚になり、全米小売処方箋の22%のシェアを持ちマーケットリーダーだ。保険会社や政府等の第三者機関を通しての処方箋の売り上げが98%を占めており、利益の多い現金客は2%までに落ちてしまった。調剤では売り上げの1/3を占める「スペシャリティ医薬品(ガン・臓器移植・小人症・HIVなどの特定患者向け医薬品)に力を入れている。調剤薬の長期展望はトランプ政権によりいろいろな変化が起きるだろうが、高齢社会、寿命の延長、無保険者の減少、効果的な新薬、クオリティ・オブ・ライフ(質の高い生活)追求などで、順調な成長が見込まれており、調剤薬はドラッグストア成長のドライバーとなっている。一方、政府の医療費高騰抑制政策、保険会社などの第三者機関からドラッグストアに対する還付金の低下、30日調剤より利益率の低い90日調剤の増加等は調剤薬の利益率の低下を意味しており、より強いバイイングパワーの発揮とコストの低下が求められている。またブランドより利益率の高いジェネリックドラッグの売上げ向上に力を入れているが、価格はブランドより遥かに低いため、売上げの伸びに対してはネガティブな結果を呼ぶ悩みがある。

 【商品売上構成】
売上げ構成比
2018年度(%)
2017年度(%)
2016年度(%)
 調剤
72
69
67
 フロントエンド
28
31
33
 合計
100
100
100
(注)数値データはWBAの年次報告書より


オンラインで薬品を購入する消費者が増えており、チェーン店舗への来店者数が減少傾向にあること、米同業大手CVSヘルスがすでに米医療保険エトナの買収を完了していること、米オンライン小売り大手アマゾン・ドットコムもヘルスケア事業を強化するため、7月に米オンライン処方薬販売大手ピルパックを買収したこと等で今後競争が一段と激化する見通しだ。そのような環境下ウォルグリーンは集客力を伸ばすため、米医療保険大手Humana(医療保険客の確保のため)や米医療診断大手ラボラトリー・コーポレーション・オブ・アメリカ・ホールディングズ(検査サービス利用客の確保)、米スーパーマーケット最大手クローガー(食品やヘルスケア商品の相互融通によるワンストップショッピング機能強化)、世界最大手の米物流大手フェデックス(宅急便客の確保と調剤薬の配送)、米携帯電話サービス大手スプリント・コーポレーション(e顧客の確保とオムニチャネル化)と
相次いで提携している。
また米国大手医薬品卸のアメリソースバーゲン社と提携しており、米国におけるブランド及びジェネリック調剤薬の供給と店舗への配送はアメリソースバーゲン社が一手に行う10年契約を結び、その後26年までに延長。現在ウォルグリーンはその会社の26%の株を保有する大株主となり、買収を計画している。また今後3年間で10億ドルのコストカットを計画し、徹底したローコストオペレーションを目指している。

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