アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
Excell-K ドラッグストア研究会

研究会研究会ご案内
研究会研究会ご案内研究会セミナー日程研究会セミナー日程
松村清松村清プロフィール
ご案内 研究会事務局
レポート最新USレポート

PDFファイル

今回は顧客満足調査で常にトップクラスのスーパーマーケット・トレーダージョー(トレジョ)のご紹介最終回だ。


a)「費用の高いマスメディアを使いません。口コミが最良の広告と考えています。」
コストのかかるテレビ、新聞、雑誌などのマスメディア(たまにローカルのラジオ広告をするが)を使わない。それは、手頃価格をお客様に提供するという方針とは逆の販売価格を上げるからだ。一方、口コミこそが最も効果的な広告と考える。トレジョは熱心なファンが多く、お店の紹介、トレジョの商品を使ったレシピ等を載せるサイトや、お勧め商品を紹介するビデオがYouTubeにアップされ、ファンが自らレシピ紹介や商品宣伝をしてくれる。また最近では近くにトレジョの店舗がない女性が、ネットで店舗誘致嘆願を始めたというニュースがテレビで流された。

b)「チラシは商品紹介用で、ディスカウント販売のツールではありません。」
一般のスーパーは毎週価格チラシ、新聞・テレビ・ラジオ等のマスメディア広告、テクノロジーを活用した電子クーポンを発行している。競合と同じような店作り、品揃えやサービスであるため差別化が難しいからだ。トレジョの場合、1年に8回だけ 「大胆不敵のチラシ(Fearless Flyer)」 というチラシ的ニュースレターを出して店頭で配布している。価格表記を一切しないのは、低価格をアピールするのではなく、魅力的な自社商品の訴求や美味しい食べ方等を顧客に知らせるためのメディアとしてチラシを位置付けているからだ。TJ’s E-Newsletterに登録するとメールで知らせてくれる。新製品の情報、レシピなどもあるので、トレジョ好きにはたまらないお知らせだ。

c)「トレジョのエコバッグは歩く広告塔です。」
マスメディアを活用しない代わりに、通常用と保冷用の2種類のユニークなデザインのエコバッグを3〜6ドル程度で販売し、それを消費者が持って出歩くことで広告の役割をしてもらっている。定期的にデザインを変更し新しいエコバッグが導入される。なんと、エコバッグを持参して買い物をすると$25のギフトカードが当たる抽選がある。レジでエコバッグ使用のお客に白い紙(raffle ticket)とペンを出してくれるので名前と電話番号を書いて指定のボックスに入れると、抽選で$25のギフトカードが当たるという仕組みだ。

d)PR価格の提供
「バナナ1本19セント」 や 「2バックチャックワイン(2ドル台で買えるワイン)」 はトレジョの代名詞になる商品だが、この価格は商品の品質から見たら非常に安くてお買い得で、これがPR効果を呼ンで店の代名詞になった。


「我々のヒューマンタッチがトレジョのブランドを創り上げます。」 というほど接客を大切にしている。
a)「かしこまった接客でなく、親身なフレンドリー接客をモットーとしています。」
「楽しんで買い物をして欲しい」 との願いから、店の従業員は知識が豊富でフレンドリーな人が多い。従業員がアロハシャツやT-シャツを着ているのも、買い物という小旅行を楽しんでもらえたらというのが目的だ。ハロウィンやクリスマスなどは、仮装しているスタッフも非常に多く、買い物が楽しくなる。「お客様とのコミュニケーションがヒューマンタッチなお店の雰囲気を作ります。こちらから勝手にお客様に挨拶と話しかけをいたします。よろしければ挨拶を返してください。こちらからスマイルを投げかけます。どうぞスマイルバックしてください。そうやって幸せに満ちたひと時を共に創り上げましょう。」 と呼びかけている。店の奥の新製品試食コーナーでは、トレジョの商品やそれらをアレンジしたものを出しているので、それを楽しみに来店する顧客も多い。サンプルを出しているのはトレジョのスタッフで、顧客との会話や顧客同士のおしゃべりが弾んでいる。無料のコーヒーもポットに入れて置かれているので、買い物に疲れた人がコーヒーを飲みながら一休みしている。
b)満足保証 
「お買い上げの商品にご満足いただけない場合は、喜んで返金や商品の交換を致します。」という満足保証をしている。そのため毎週20商品以上の新商品が導入されても、顧客がそれらの商品を安心して買えるのは、気に入らなければ返品できるからだ。返品する時に理由など聞かれそうだが、トレーダージョーズではそれを聞かないポリシーだ。
c)子供にやさしい
トレジョは非常にキッズフレンドリーなショップで、店内で子供が楽しめるような工夫がいろいろされている。店舗によっては、子供用の小さなカートが置かれ、子供が大人の気分で親と買い物をしている。動物のぬいぐるみ(UCLA店では大学のマスコットであるブルーインベア)が売り場のあちこちにそっと置かれていて、その場所を当てるとぬいぐるみや他のご褒美がもらえるような仕掛けもある。またイースター(キリストの復活祭)の時には店内でエッグハント(イースターの定番イベント)が行われ、卵の形をしたチョコが店内の複数個所に隠し置かれていて、見つけた子供はそれをもらえる。また子供がハロウィーンの時仮装をして来店するとご褒美をもらえる。レジでは動物などのシールをくれることもあり、友達の息子はいつもレジの人に 「Sticker Please!」 とお願いしている。だからトレジョは子供が行きたいスーパーで、母親を店に引っ張ってくる。子どもたちが買い物時間を楽しめる工夫が多いので親も子供連れでも買い物がしやすい。 


トレジョは顧客満足の前に従業員満足が重要だという考えを持っている。ハッピーに働いている従業員は、そのハッピーな気持ちで接客をするから顧客満足が高まるということを知っているからだ。「我が社の従業員は非常に親切で専門知識も豊富だが、一体どこでそのような人を探してくるのかと聞かれることがある。それに対して “我々はそのような従業員を創造しているのです” と答えます。」 と幹部は述べていた。こうしたロイヤリティの高い従業員を創造するために彼らが大切にしていることについて述べてみてみよう。

a)従業員の位置づけを高める
とかく小売業界には従業員を使い捨ての道具と考え、彼らを大切にしない傾向が多々見られる。トレジョは、従業員は企業の資産であると考え、価値が高まるように教育し、自分だったらこう扱われたいというように処遇すれば、従業員は喜んで企業のために尽くしてくれるという考えだ。多くのスーパーマーケットではパート比率が6割を超え正社員の方が少ないが、トレジョは正社員主義をとりパートの人は少ない。
b)カスタマーサティスファイヤーの採用と教育
トレジョに入社したい人は沢山いる。採用時には勿論筆記テストも行われるが、大切にされるのが人間性である。
イ)明るくハッピーな人か?
小売業における経験より、明るくハッピーな人物であることを重んじている。それは顧客に安心感を与えるからだ。
ロ)チームワークを重んじるか?
トレジョは他の小売業と同様、年中無休・長時間営業で店舗運営をしている。急に空いたシフトの穴を埋めなければならないことも多い。チームワークが無いと潤滑な店舗運営ができないのだ。
ハ)バランス感覚があるか?
本当に良いサービスをするには、顧客の立場に立って臨機応変に行動しなければならない。その場合企業の方針と顧客の利益のバランスをとった行動をとらなければならない。
c)モチベーション向上
従業員のモチベーションが高まらなければ、顧客を満足させられないばかりでなく、生産性が向上しないことを知っている。そのために下記を行っている。
イ) 権限移譲
商圏に合った店づくり、品揃え、販促をしているトレジョでは「ローカルフレーバー(ローカル色)」が大切なコンセプトになっている。そのために権限委譲を積極的に行う必要がある。
ロ) 評価
従業員が会社に求めることの第一は 「良い仕事に対する評価だ」。特に大切にしていることとして、良い仕事をしたとき、「すぐに」 「具体的に」 「心から」 褒めることを実施している。
褒める文化が行きわたったトレジョは従業員が明るい。
ハ) 良い報酬
報酬は良く、他スーパーマーケットチェーンより2割良い。店長だと年収$130,000 (1$=110円換算で\1430万円) もらっている。これは業界ではトップレベルだ。
3回に亘って独自化戦略をとるトレーダージョーについて述べてきたが、トレジョがより多くの顧客にますます愛され成長していくことは間違いないないだろう。


 ページの先頭へ

Copyright (C) Drugstore-Kenkyukai. . All Rights Reserved.