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先月に引き続きトレーダージョー(トレジョ)のご紹介をしよう。トレジョは最近の顧客満足度調査で、首位のパブリックスに僅差で第二位になったという報道があったが、それほど顧客に評判が良い。


トレジョは 「売れるものだけを売り続ける!」 という商法を行っているので、毎月20点以上もの新商品を出すが、その全てを長期間販売するのではなく、売れ行きの鈍いものはすぐ棚から外していく。「売れるもの=お客様のニーズ」 「売れないもの=お客様のニーズ無し」 という基本的考え方があるからだ。

a)ワンストップショッピング機能を追求せず、絞り込んだ品揃え
普通のスーパーは4〜5万アイテムの品揃えをしてワンストップショッピング機能を追求するが、トレジョでは4000アイテム程度しか品揃えがなく、ワンストップショッピングには不向きだ。日用品などを必要とする人は普通のスーパーで求めることを促し、差別化されたユニークで美味な食品に絞り込んでいる。

b)厳選された自社PB及び専売製品主体の品揃え
イ)PB・専売品主体の品揃え
ナショナルブランドは殆ど取り扱っていない。トレジョでしか買えない独自性のあるPB商品や専売品が品揃えの85%を占めている。中には普通のスーパーでも売っている商品も見かけるが、トレジョマークがついて専売品になっている。輸入PB品には現地語風にしたラベル(例えば日本からのPB品にはTrader Joe-San)を貼って雰囲気を出している。納入しているメーカーとの契約で、トレジョに商品供給をしていることを明かせないようになっているが、トレジョの商品は、結構有名な企業が製造しており、日本の一流メーカーも商品供給をしているという話を聞いた。

ロ)3つの性格に分かれるPB・専売品
(1)「In-Out PB」: 売り切り商品で、PB商品の15〜20%の構成比を占め、シーズン品に多い。顧客を宝探し気分にし、再来店を促す目的で活用されている。
(2)「Everyday Products PB」: パスタや塩という家庭の必須品で40〜60%の構成比だ。必ず陳列されているが、サプライヤーや商品は時々変えている。
(3) 「Branded Products PB」 :ワィン、ビールやキャンディカテゴリーに多い。トレジョのマークを付け専売品として販売され、品揃えの20〜40%の構成比だ。

ハ)NB商品との差別化のために味・サイズ等を変える
NB商品との差別化のために、商品の味やパッケージサイズ(小型重視)を変えている。
それがロイヤルカスタマー作りに役立っているし、他スーパーマーケットとの価格競争にならない。

c)限られた生鮮食品の品揃えと充実した冷凍食品
生鮮食品の種類は少ない。色々な種類を求めたいなら普通のスーパーでお求め下さいということだ。ただし美味しくて手頃な値段の冷凍食品が充実していて、他のスーパーマーケットよりはるかに優れている。チャーハンなどはレストランで食べるより美味と我が家では評判だ。

d)Free From食品主体
グルテン・ラクトース・遺伝子組換え・ホルモン剤・人工甘味料・保存料等フリー、つまり使用していない食品が主体で、ヘルシーコンセプトを大切にする姿勢が、食アレルギーに敏感な消費者のサポートを得ている。

e)積極的な商品開発
お客様にエキサイトメントを提供するために、常に週20〜25アイテムの新製品を開発し、導入している。その場合、企業が売りたい商品を売るのでなく、顧客のニーズを追求し「顧客が求める商品を販売する」ことをモットーにしている。新製品導入は、バイヤーの審査をパスすると、4店舗で6〜8週間テスト販売する。それを通過すると50店舗でテストし、パスすると全店舗で導入する。そのため最初の段階から全店舗導入までに1年間必要となる。
製品開発においては 「The World of Why Not(前例がなくても果敢にやってみよう)」精神があり、新しい提案に勇気をもって取り組んでいる。その成功例として、トレーダージョーを有名にした 「2バックチャックワイン (2ドルのチャールズショーワイン)」 がある。或る飛行機会社が機内用ワインとして提供していたが、その会社が倒産してしまった。困ったワイナリーの窮状を見て、当店で販売しようと安い価格で仕入れ1.99ドルで販売したら飛ぶように売れ、トレーダージョーの代名詞になるほどの成果を収めた。一説によると本数ベースで米国で一番売れるワインになったとのことだ。これも 「やってみよう」 精神が無ければ出来なかったことだ。

f)取引先選択基準
取引先選定で大切にしていることは、納入条件より 「商品の開発力及び発掘力」 だ。20名以上いるバイヤーが国内・海外の取引先開拓や商品開発に飛び回っており、今では取引先の20%強は海外の企業だ。通常の小売業は、商品導入するに当り、定番フィー・スペースチャージ・販促費・年間リベート・定番撤去フィー等を求めるが、トレジョはすべて納入価格に反映させる方針をとっている。一度納入価格が決まればそれ以上の経費が掛からないし、現金払いや専売品の場合複数年契約をきっちり守ってくれるので、儲かる小売業ということで納入業者に非常に評判が良い。トレジョと共に育って今では大きな企業になった納入業者が多いが、トレジョが納入業者に強く求めることは、トレジョとの取引の情報をオープンにしないことだ。

g) 消費者が選ぶユニークなお勧め商品コンテスト
毎年恒例になって9回目を迎えたトレーダージョーズの 「消費者が選ぶお勧め商品2017年度版」が、2018年1月16日に17部門で下記の通り発表された。これはバイヤーや納入業者の商品開発モチベーションを非常に高めているし、消費者に注目されることでそれらの商品の売り上げが伸びる。

部門
商品
内容
 ベーカリー部門
Almond Kringle
スカンジナビアのデニッシュパン
 ドリンク部門 
Spiced Cider
リンゴジュースにシナモン、オールスパイスクローブのようなスパイスが加えられたサイダー(64オンス$2.99)
 キャンディー・チョコレート部門
Dark Chocolate
Peanut Butter Cups
濃厚でしょっぱいピーナツバターが入ったダークチョコ(36個入り$4.29)
 チーズ部門
Unexpected Chedder
チェダーチーズで3年続けて1位
 コーヒー部門 
Cold Brew Coffee
水出しコーヒーの濃縮タイプ
 調味料部門 Organic Ketchup 24オンス$1.99のオーガニックケチャップ
 冷凍アピタイザー部門 Spanakopita ほうれん草が中に入っているパイで、ギリシャ料理の一つ(12個入り$3.99)
 フローズンデザート部門 Hold the Corne! Mini Vanilla Ice Cream Cones チョコレートコーティングされた甘くてクリーミーなバニラアイスクリームがカリカリのコーンに乗っている
 健康美容商品部門 Tea Tree Tingle Shampoo 16オンス$3.99のティーツリーシャンプー
 ホリデー商品部門 Candy Cane Joe-Joe’s クールミント味のキャンディーケーンが細かくミルククリームに混ぜられてクッキーに挟まっているホリデーシーズン限定商品
 ホーム部門 花束
 お手軽な弁当部門 Black Bean & Jack Cheese Burrito 味付けされた黒豆とジャックチーズが入ったブリート(電子レンジ加熱)
 肉部門 Soy Chorizo 大豆ソーセージ
 野菜・果物部門 バナナ 1本19セントで13年間販売
 スナック部門 Peanut Butter Tilled Pretzels ピーナツバターのプリッツェル
 パンプキン大好き部門 Organic Pumpkin かぼちゃペースト缶
総合
Mandarin Orange Chiken チキンのから揚げの冷凍食品で、2度目の総合
1位。2004年から発売


トレジョは定番価格とディスカウント価格を組み合わせたハイ・ロー価格戦略でなく、常にバリュー価格を提供するエブリデーロープライス価格戦略をとっている。ロープライスを維持するために次の方針を持っている。

a)品揃えの絞り込みと大量購入
品揃えは、あえて通常スーパーマーケットの1/10の4000アイテム程度に絞り込み、一つの商品を大量購入することにより、原価を安くしている。また納入業者への返品は無く、開発商品は買取り保証を実現していることも原価の引き下げに貢献している。

b) 買い付けは中間業者を挟まずに直接行う
中間業者を通さないので価格を抑えることが出来る。また野菜などオーガニックの商品は、リンスやスプレーなどせず、包装も簡易な状態で出すことで無駄な手間を省いている。

c) 経費を抑える
2等地への出店、コンパクトな店舗サイズや駐車場、魅力的だが質素な店舗作り、そしてTVCMなど
マスメディア広告をしない等によって経費を抑制し、バリュー価格を実現させている。


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