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米国におけるウォルグリーンの企業スローガンが2017年12月に長年使用していた「At the Corner of Happy & Health」から「Walgreens, Trusted Since1901」へと変わった。ウォルグリーンの幹部にその理由を尋ねたところ、調剤薬への参入を発表したアマゾン対策だと言う。「ヘルスケアの経験の浅いアマゾンに自分や家族のヘルスケアを委ねられますか?1901年創業以来長年米国民に信頼されてきたウォルグリーンにお任せになりませんか?」という意味合いがあるとのことだ。アマゾンの調剤薬への進出発表以来、ウォルグリーンやCVSの株価は急落した。何しろアマゾンは調剤薬市場の10%強の市場シェアはすぐ獲得すると予測されているからだ。いよいよ米国のドラッグストアも真剣にアマゾン対策に乗り出した。


その世界No.1のドラッグストアウォルグリーン・ブーツアライアンス(WBA)は2017年度(2017年8月末決算)1182億ドル(前年比0.8%増)の売上げで、純利益は前年比2.1%減の4,101百万jを記録した。

【Walgreens Boots Alliance Inc.の2017年度業績】
項目
2017年度
(百万ドル)
前年比
(%)

(%)
前年比
(%ポイント)
 売上高
118,214
+0.7
100.0
-
 粗利益
29,162
▲2.4
24.7
▲0.8%
 販売管理費
23,740
▲0.7
20.1
▲0.3%
 営業利益
5,557
▲7.4
4.7
▲0.4%
 純利益
4,101
▲2.1
3.5
▲0.1%
 (注)数値データはWBAの年次報告書より

現在WBAは3つの事業部門(Retail Pharmacy USA、Retail Pharmacy International、Pharmaceutical Wholesaler)に分かれ、34.5万人の従業員(うち11万人は週30時間以下勤務のパートタイマー)が働いている。売上げの74%はRetail Pharmacy USA(ドラッグストアウォルグリーン及びデュエンリード)の8100店舗であげている。Retail Pharmacy Internationalは主にブーツの店名でヨーロッパで展開している。店舗数は4,722店舗、売上げは10%の構成比だ。ファーマシーホールセール事業部門は売上げの約17%の構成比を占めている。米国を除いた世界11ケ国で11万ケ所のファーマシー、病院、クリニック、医師、ヘルスセンターにヘルスケア商品を配荷している。Retail Pharmacy USA以外は不振で、WBAの業績に悪い影響を与えている。
【事業部門別売上】
事業部門
2017年売上金額
(百万j)
前年比
(%)
構成比
(%)
 Retail Pharmacy USA(店名: Walgreen、Duane Reade)
87,302
+4.2
73.8
 Retail Pharmacy International(店名:Boots等)
11,813
▲10.9
9.9
 Pharmaceutical Wholesaler
21,188
▲6.1
17.0
合計
118,214
+0.7
100.0
 (注)数値データはWBAの年次報告書より。3部門合計と企業トータルの売り上げ数値合わず(理由不明)

店舗数は世界で12822店舗だが、そのうち米国で約8000店舗をウォルグリーン及びデュエンリードの名前で展開している。                    

【店舗数】
事業部門
展開国
店舗数
前年比
(%)
構成比
(%ポイント)
 Retail Pharmacy USA計
-
8,100
▲75
63.2
 -
 USA
7,979
▲75
62.2
 -
 Puerto Rico
120
-
0.9
 -
 U.S.Virgin Islands
1
-
0.0
 Retail Pharmacy International計 
 
4,722
49
36.8
-
 United Kingdom
2,486
▲23
19.4
-
 Mexico
1,193
75
9.3
-
 Chile
430
▲8
3.4
-
 Thailand
277
5
2.2
-
 Norway
160
▲1
1.2
-
 Ireland
86
2
0.7
-
 The Netherlands
63
▲2
0.5
-  Lithuania
27
1
0.2
総合計
 -
12,822
▲26
100.0
 (注)米国の数字にはスペシャルティファーマシー7ケ所やメールサービス施設2ケ所を含まず

        
2017年度も企業の買収には積極的で、Prime Therapeutics LLCの買収(スペシャリティファーマシー及びメールサービス会社)、ライトエイドの約半分の店舗数である1932店と3ケ所の配送センターを438億jで購入、年末の12月には中国のGuoDaドラッグストア(70都市で3500店舗を展開するドラッグ&ファーマシーで中国の主要リーディング企業)の40%の株式を取得し、中国展開に乗り出した。


a) 業績
リテールファーマシーUSA事業部門は、米国50州、ワシントンDC、プエルトリコ、USバージンアイランドでウォルグリーンやデュエンリード(主にニュ−ヨークマンハッタンで展開。ウォルグリーンが買収したとき店名を変えようとしたが、余りにもニューヨーカーに親しまれているドラッグストアであったために店名を残した)の店名で、2017年8月31日現在8100店舗を展開、売上げは前年比4.2%成長の873億ドルを記録し、米国No.1ドラッグストアの地位を守った。この事業部門はWBAの売上げの74%の構成比を持っている基幹事業部門だ。現在米国民の76%はウォルグリーン及びデュエンリードの店舗の5マイル以内に居住し、オムニチャネル機能も積極的に進化させているため、消費者にとっていつでも利用できる身近な存在となっている。

【Retail Pharmacy USAの2017年度実績】
項目
2017年 (百万$)
前年比 (%)
率 (%)
ポイント(%)
 売上高
87,302
+4.2
100.0
-
 既存店舗売上
-
+2.8
-
-
 調剤売上
-
+7.3
-
-
 既存店舗調剤売上
-
+4.7
-
-
 フロントエンド売り上げ
-
▲2.4
-
-
 既存店舗フロントエンド売り上げ
-
▲0.3
-
-
 粗利益
22,450
+0..6
25.7
▲0.9
 販売管理費
17,918
▲1..0
20.9
▲0.5
 営業利益
4,195 
▲4.8
4.8
▲0.5
 処方箋枚数
764百万枚
+3.3
-
-
 処方箋枚数(30日換算)
990百万枚
+7.1
-
-
 店舗&拠点数
8,109店舗
▲75店舗
-
-
 (注)店舗数には7店舗のスぺシャリティファーマシーと2カ所のメールサービス施設を含む

既存店の売上げ成長2.8%に支えられた業績だが、特に調剤の売上げの伸びが7.3%と大きく、既存店舗の調剤が4.7%も成長したのは驚きだ。逆にフロントエンドの売上げは2.4%のマイナスであった。
その結果調剤薬の売上げ構成比が69%まで上昇し、フロントエンドの売上げ構成比が31%まで低下した。粗利益率は調剤薬の販売構成比が上昇したため前年の26.6%から25.7%へと下落した。
調剤薬の粗利益率は保険調剤の増加、保険会社からの還付率の低下、そして利益率の低い90日調剤の増加が要因になっている。販売管理費率が2016年の21.4%から20.9%に削減したが、粗利益率の低下をカバーしきれず、営業利益は前年比4.8%減少した。
店舗&拠点数は8109店舗(スペシアリティファーマシーの7店舗と2ケ所のメールサービス施設を含む)と前年より75店舗減少した。オーバーストア化が米国の小売業全般で大問題になっているが、ドラッグストアにもその火の粉は飛んでいる。
b) 商品売上げ構成比
売上げ構成比をみると、2016年度は記述の通り調剤が69%を占めており、ウォルグリーンのビジネスの核となっている。90日処方箋を合算した処方箋枚数は764百万枚だが、30日処方箋に換算すると990百万枚になり、全米小売処方箋の20%のシェアを持ちマーケットリーダーだ。保険会社や政府等の第三者機関を通しての処方箋の売り上げが96.8%を占めており、利益の多い現金客は3.2%まで落ちてしまった(かつては現金客の方が多かったため利益率が良かった)。調剤薬の長期展望は、高齢社会、寿命の延長、無保険者の減少、効果的な新薬、価格の高いスペシャリティドラッグの需要拡大、クオリティ・オブ・ライフ(質の高い生活)追求などで、順調な成長が見込まれており、調剤薬はドラッグストア成長のドライバーとなっている。ブランドより利益率の高いジェネリックドラッグの売上げ向上に力を入れているが、価格はブランドより遥かに低いため、売上げの伸びに対してはネガティブな結果を呼ぶ悩みがある。

 

【商品売上構成】
項目
2017年度
2016年度
2015年度
2014年度
 調剤
69
67
66
64
 フロントエンド
31
33
34
36
 合計
100
100
100
100
 (注)数値データはWBAの年次報告書より

c) ヘルスケアサービス
ウォルグリーンのファーマシーは米国民のヘルスケアのフロントラインであり、医療費高騰抑制やプライマリーケア医師不足の現状下なくてはならない存在になっている。そのためウォルグリーンの78000人のヘルスケアサービス提供者(薬剤師、テクニシャン、看護師、その他ヘルス関連専門職)の活躍は地域のヘルスケアに非常に貢献している。彼らは薬の提供のみならず予防接種(全米で一番行っているのはウォルグリーン)や他の予防ケア、ドラッグストア店内にあるヘルスケアクリニック(400ケ所以上)、メディケーションセラピーマネージメント(薬剤治療管理)、疾病管理、がん・臓器移植・HIV・小人症などの治療のためのスペシアリティファーマシー(7ケ所)、オンサイトファーマシー(病院内でのファーマシー機能)、メールサービス調剤施設(2ケ所)の職務に従事している。
d) PB商品
店舗でのフロントエンド商品取扱いアイテム数は約2万アイテムだが、食品の「NICE」や「Delish」、ヘルスケアの「Well at Walgreens」、そしてビューティーケアの「No.7」、「Botanics」、「Liz Earle」、「Soap&Glory」等のPBに大変力を入れている。現在PB売上げは約25%のシェアだが、PB比率を30%まで持っていく計画だ。競合との差別化、利益率の向上やロイヤルカスタマー作りに役立っているからだ。
e) Eコマース
ウォルグリーンのネットは20万アイテム品揃えされており、ウェブサイトには月間平均68百万のビジットがあり、調剤及び一般品の注文や写真のDPE等多方面において活用されている。またWalgreen.comで注文すると、1時間以内に指定した店舗で商品を受け取れる「Web Pick-Up」プログラムを展開している。
f) その他
イ)オートオーダー
新しい取り組みとして自動注文(オートオーダー)をネット客に提供しており、ビタミン、髭剃り、紙類、洗剤、生理用品など始終使用する商品に対し、定期的に顧客が選択した頻度で自動的に送付をしている。
ロ)ロイヤリティカード
ロイヤリティカードのバランスリワードはアクティブメンバー(過去6ケ月間に購買履歴のある人)が88.2百万人で、全米で最大のメンバー数だ。健康ポイントもメンバーに提供しており、定期的にジムに通ったり、ウォーキングやジョッギング、健康診断をしたりするとポイントがもらえる。そのように健康に留意する顧客はビタミンなどの服用が増えウォルグリーンにとっても良い顧客なのだ。


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