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前月号では、品揃えや商品開発のキーワード「LATTES」の「L=Local」の話をした。今月は残りのキーワードについて述べてみよう。


オーセンティックとは「本物」という意味だ。人々の健康に関する関心が高まり、ヘルス&ウェルネス分野の充実が小売店選択の重要な要素になっているが、人々のオーセンティック(本物)商品に対するニーズが高くなっている。そのため「Better-for-You(健康に良い)」という言葉が誕生し、 オーガニック&ナチュラル、そしてFree Fromの食品や健康食品だけでなくシャンプー、洗濯洗剤や石鹸から化粧品、衣服まで広がっている。化粧品を見てみると、オーガニックやナチュラル成分そして動物実験しないようなグリーンビューティーと呼ばれる商品群が成長しており、ドラッグストアでさえ3尺ゴンドラ5本程度を占めるようになっている。またプライベートブランドでも、自然派・健康志向の日用雑貨商品のPB開発が進んでいる。このように合成物質で作られた商品でなく、本物の商品つまりオーセンティックを重んじる時代になってきているが、そうした小売業の展開例を紹介しよう。
チェーンドラッグは「Better-for-You Food & Beverage(健康に良いフード及び飲み物)」の消費者ニーズが高いため、対応を積極的に行っている。シアトルのバーテルドラッグストアの新店では作り立てのサンドイッチを展開する「Fresh Food Fast Marketplace」コーナーを展開し、消費者のライフスタイルニーズに合ったプロテイン、ファイバー、低糖分の食品やヘルシーな惣菜・サンドイッチを提供している。CVSファーマシーは企業戦略として売り上げの1%強あったたばこ販売を、健康に良くない理由で2014年に中止し、ヘルスフーズに力を入れるようになった。そして目的来店性カテゴリーと位置づけした。このヘルシーコーナーの充実はCVS顧客の3/4によって評価されており、企業も10億ドルの売り上げを目指している。CVSの「Healthy Food Format」は約3000店舗で展開されており、品揃えにおいても「Better-for-You」食品が250アイテム追加され強化されている。その売り場ではVeganダイエット、PaleoダイエットやRawダイエットを試みる人たち用の品揃えもされている。そしてそれらの商品が見つけやすいように、それぞれの商品を表す「Fit Choice」シェルフタッグが価格表の脇についている。レジ前陳列の1/4は「Better-for-You Snack」に割かれている。このヘルスフードは顧客の健康作りに良いだけでなく、店にとっても良い。余り価格志向が強くないカテゴリーで、店に利益を運んでくるからだ。
米国ではフードアレルギーの増加が一大問題になっている。1億人が何らかのフードアレルギー症状を持ち、1990年代後半と比較し子供のフードアレルギーは60%以上増加している。フードアレルギーのはっきりした治療法はなく、その食品を避けるしかない。そこで登場したのが「free-from」 食品カテゴリーだ。「フリー・フロム」とは「ない」「存在しない」という意味で、フリー・フロム食品とは原材料からアレルギーの原因となる物質や、消費者から健康に悪いと思われている物質を取り除いた食品のことを指す。アメリカのスーパーに行くとPOPで「〇〇フリー」と書かれているのを目にする機会が多い。「グルテン・フリー(gluten-free)」「ラクトース・フリー(lactose-free)」「抗生剤物質フリー(antibiotic-free)」「ホルモン剤フリー(hormone-free)」「非遺伝子組み換え(non-GMO)」などだ。これらはヘルス&ウェルネスの食品分野で大きなトレンドとなっている「フリー・フロム(free-from)」食品カテゴリーなのだ。この市場は急成長しており、グルテン・フリーを謳う食品は2014年は382億ドル市場で前年比14%、2011年比60%近くも増加した。「非遺伝子組み換え(non-GMO)」食品市場は2014年に100億ドルを突破し、前年比15%、2011年比50%の増加だ。その物質が科学的に有害だと証明されているわけではないが、フリー・フロム食品は付加価値を訴求できる売れる言葉として食品メーカーが積極的に使っている。
ホールフーズマーケットでは「ボディケア・スタンダード」という規制をしており、典型的な成分75種類の不使用と動物テストをしてないことを取り扱い商品の条件としている。最近ではプレミアボディケアスタンダードも取り入れ、400種類の成分が除外され、それに合格した2500以上のアイテムがホールフーズマーケットに品揃えされている。非上場の優良スーパーマーケットパブリィックスは、2016年度売上げは340億jで、フロリダ、ジョージア、サウスカロライナなど東海岸で1146店舗展開している。その企業が2007年に始めたGreenWiseというナチュラル&オーガニック商品を主体にしたフォーマットに再度力を入れて展開していく。それだけ顧客のニーズが高いのだ。ウォルマートやスーパーマーケットNo.1のクローガーでさえナチュラル&オーガニック商品に力を入れている。アルコール飲料の世界でもナチュラルブームだ。ヘルシージュースの需要が増加しており、大麦の麦芽だけを原料としたアルコールつまりモルトアルコール入りのジュースバーカクテルが市場化され注目されている。例えば、ナチュラルな人参・アロエ・マンゴジュースに4.9%のアルコール入りのカクテルやナチュラルなパイナップルに4.7%のアルコール入りなどだ。
日本の有機食品市場は下記の表の通り非常に小さく、米国の4%以下だ。逆を言うとそれだけ可能性があるのだ。現にその可能性に目を付けたイオンはフランス企業と合弁で2016年12月に「ビオセボン」を麻布十番に開店し、有機の農産物、加工食品、ワイン、化粧品を扱って話題を呼んでいる。

【主要国の有機食品の市場規模】
(日本円換算:農林水産省の2016年の統計)
日本
英国
フランス
ドイツ
米国
市場規模
1200億円
2700億円
5700億円
1兆円
3.2兆円



現在ベビーブーマーやミレニアルの人々の80%以上が新しい商品の場合、成分・原材料・原産地等が書いてあるパッケージのラベルを読み、理解・納得してから商品を購入している。そのため、それらの表示が正直に分かりやすく表示されていないと商品に手を出さない。世界的に有名な大手A化粧品メーカーも最近フレグランスなどの成分を開示すると発表した。フレグランスは肌アレルギーを引き起こしやすいために、多くの消費者は成分を知りたがっていたがメーカーは企業秘密という理由で開示してこなかった。開示するこのメーカーは、商品についているスマートラベル(ラベルやパッケージにデジタル情報をプラスし、スマートフォンや電子タブレットで自由に閲覧できる先進ラベル)や自社のウェブサイトに成分、原材料等を掲載し、消費者が情報を得ることが出来るようにしている。スーパーマーケットでも食品の成分、原材料、原産地、加工製造メーカー、精肉の飼育方法、魚介類の捕獲方法等をスマートラベルを活用して開示してきている。このように、商品に関する諸々の情報を正直に開示・訴求することがマーケティング上重要な時代になっている。


ニューヨークで起業したハンバーガーチェーンシェイクシャックは、値段は高めだが大人気で店は顧客で満杯だ。使用されている肉は、100%ナチュラルアンガスビーフ、放牧され牧草で育てられ、手をかけて飼育されており、人工的な保存剤や着色料などを用いた飼料を与えていない。チポトレメキシカングリルはタコスやブリートス主体のメキシカンファストフードチェーンだが、非常に人気がある。檻の中でなく自然環境の中で育てられた食肉、オーガニックの野菜、ホルモン剤、抗生剤、非遺伝子遺伝子組み換え体などを使用していないことを訴求し、それが受けている。共通しているのはこれらの事柄の情報を積極的に開示して簡単にトレースできるようになっていることだ。


エシカル(ethical)とは、「倫理的」「道徳上」という意味で、「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いが強くなっている。身近な倫理的活動としては「エシカルコンシューマリズム」があるが、「動物や環境や人や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、そうでないものを選択しない」という消費活動である。米国のスーパーマーケットでは、フェアトレード協会の承認を得たマグロはじめ海産物や青果を積極的に販売している。海産物は漁師の労働環境、乱獲をしないマグロの捕獲方法、海の環境保全などから審査されパスしたものだけがフェアトレードの認証ラベルを貼付できる。輸入している果物にもフェアトレード協会の認証マークを貼付し、賛同する消費者に受け入れられている。


米国では健康と持続可能社会を志向するライフスタイルのLOHASの人々が6千万人以上おり、増加し続けている。この人々は同じ機能を持つなら、20%価格が高くても環境配慮の商品を購入すると述べている。サステイナブルとは、「持続可能」という意味だが「環境や社会にやさしい」ということだ。持続可能な開発とは、「次世代の人々のニーズを損なうことなく、現在のニーズを満たす」ということだ。ホールフーズマーケットでは、鮮魚売り場でMSC認証(MSC-Marine Stewardship Council=海洋管理協議会:責任ある漁業や世界の海洋環境の保全を目指す独立した非営利団体)マークをつけており、店に並ぶのは厳しい審査をパスした信頼ある魚だけで、それぞれの陳列のところに、ブルーマーク、橙色マーク、赤色マークがついており持続可能性のレベルを表示している。消費者もこのMSCのマークによって、それが水産資源や海洋環境に配慮した製品であることが分かるので、安心して水産物を買うことが出来る。

 

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