アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
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今アメリカでは多くの人が病にかかっていると言われている。それは常に「健康」そして「健康」という「健康病」だ。このように米国人の健康に対する志向が高まっているのは、米国成人人口の6割以上が肥満で、それが原因で高血糖、高血圧、高コレステロールに悩む人々が沢山いるからだ。米国人の個人破産の6割はヘルスケア破産といわれ、高い治療費が払えずに破産している。そのため、米国人にとって病気にならない健康体を作り維持するのが幸せな家庭生活のための必須条件であるから、当然ヘルスに関心が高い。1970年代からセルフメディケーション運動が促進され、ドラッグストア及び薬剤師がセルフメディケーションの受け皿になっている。ヘルスチェックや予防接種をドラッグストアが実施し、ビタミンン・ミネラル・ハーブの積極的な摂取や、軽い病気の治療に薬剤師が相談に乗って治療のためのOTCを選択してくれる。近年のこのヘルシーブームを引っ張っているのがシニア入りしている750万人のベビーブーマーのみならず、1980年代そして90年代に誕生した8300万人の人口を持つミレニアル層の人々だ。ファストフードはヘルシーでないとマスコミが騒ぎ出した1990年代に育ったのが今20代・30代のミレニアルの人々で、マクドナルドの勢いの低下はこれらの人々の影響が大だ。国もヘルシー志向に舵を切り、マスコミもLOHAS(健康と持続可能社会に関心の高いライフスタイル)、ナチュラル、オーガニックを記事として多く取り上げるようになった近年、ミレニアルズの人々にとって健康志向とエコ意識は当り前のライフスタイルになっているのだ。彼らが食品はじめ他の消費財を選択するときの基準として「LATTES」をキーワードにしており、小売業の方も品揃えや商品開発にそれを生かし対応している。「LATTES」は下記の表の通りLocal, Authentic, Transparent, Traceable, EthicalそしてSustainableの頭文字で構成されている。
それでは「LATTES」に関して2回にわたって説明してみよう。 rakutennraku
LATTES
意味
L
 Local
 ローカル
A
 Authentic
 本物
T
 Transparent
 透明性
T
 Traceable
 トレース可
E
 Ethical
 倫理観
S
 Sustainable
 持続可能


人間には振り子が片方の方に振れ過ぎると、戻そうという習性がある。世の中がグローバライゼーション(国家や地域の境界を超え、地球規模で一体化していく現象)に向かうほど、その反動として国家主義やローカライゼーション(地域化)という考えが台頭し強くなってゆく。トランプ政権の誕生や自国第一主義の主張もその表れである。その考えが消費の世界でも表れており、米国の消費者の間に自分の住んでいる地元意識が高まっている。そのため小売業は今、店舗を展開するその地域の消費者やサプライヤーとの関係を強化し、地域に貢献する戦略を取らなければ生き残れなくなっている。
米国リテールマーチャント協会は 「Think Fiscally, Shop Locally」というキャンペーンを実施し、出来るだけ地元の小売業から、地元商品を購入しようというキャンペーンをしている。そして地元企業の小売業から購入すると、販売価格1ドルのうち45セントが地元に落ちるが、ナショナルチェーンの店舗の場合は15セントしか地元にお金が落ちないということを訴求した。地元の企業はその点を強調し「Shop Local !」(ローカルのお店で買物をしよう!)運動を展開している。その動きに危機感を抱いたリージョナルやナショナルチェーンという大きな企業も「ローカル」に力を入れ、地元に同化する戦略をとり始めた。消費者のローカル商品を購入する意識が強くなったことで、大型チェーンもローカルのメーカーや農場・牧場をサポートしなければ生き残れないということに気がついたのだ。
スーパーマーケットのホールフーズマーケットは早くからローカルキャンペーンに力を入れ、青果、卵、ベーカリー、菓子、ビール、化粧品、シャンプー、洗剤等でローカル商品を豊富に品揃えし、また農場などにローンを実施して彼らを財政的にも支援をしている。ビタミン売場のホールボディーコーナーでは、ローカルの職人を育てるプロググラムを展開している。またカリフォルニアのローカルスーパー・ナゲットマーケットでは近隣の農家と年間契約をし、農家を支援すると同時に消費者に地元青果を提供して好評だ。ドラッグストアのウォルグリーンは商圏の顧客に合う品揃えということで、全店共通品揃え率をかつての90%から現在は70%、そして将来的には50%まで落とす考えだ。ローカルマーチャンダイジングをしなければ商圏の消費者の満足と信頼を勝ち取れないという考えだ。そのためウォルグリーンのシカゴの食品を強化したフラッグシップストアでは、フレッシュフーズ、ワイン、デリカそしてベーカリー商品の多くをローカルの商品で品揃えしている。ウォルグリーンの子会社のデュエンリードはマンハッタンで店を展開するが、デリカコーナーにはレストランコーナーがあり、そこにはマンハッタンのレストランで料理されたパスタやソース、サンドイッチ、寿司が販売されている。中西部でスーパーセンターを展開するマイヤーはミシガン州立大学と提携して「メイドイン・ミシガン」プログラムを展開し、長期間経済不振に陥っているミシガンに少しでも貢献出来るようミシガンにある店舗で地元で作られた46アイテム(ソース、調味料、バターなど)を特別カウンターを設けて販売している。マイヤーの担当者によると、多くの消費者が地元産商品を喜んで購入しているとのことだ。シアトルに本部があり主にワシントン州で展開するローカルドラッグのバーテルドラッグは、比較的新しいフォーマット店舗の「アーバンマーケット」というフード・日用雑貨コーナーで、地元で生産された石鹸、暖炉用の薪、コーヒー、ワイン、ビールなど所狭しと陳列している。バーテルドラッグは20世紀初期の大恐慌のときから、地元の農場や企業の製品を販売すれば、それらの企業が潤い、結果として自分の店にお金を落としてくれるという考えから、積極的に地元商品を扱ってきた。その結果、大企業のウォルグリーンやCVSが参入しても、それらの企業と品揃えでの差別化と消費者のローカル意識の高まりでしっかりと勝ち残っているのだ。
各小売業がローカル戦略を強めているのには次のような背景がある。


フードマイレージは、食料の輸送に伴って排出される二酸化炭素が、地球環境に与える負荷に着目した考え方で、食品の生産地と消費地が近ければフードマイレージは小さくなり、遠ければ大きくなる。環境に関心の高い人々が増加している現在、消費者はフードマイレージの少ない食品を好む傾向がある。


地元で採れた農産物を地元で消費する地産地消によって地元の経済が潤う。地元が潤えば税収入の増加、雇用の促進、経済の地元内での良い循環と大きなメリットがある。消費者はどうせ買うなら地元のものを購入しようという意識が高い。


身土不ニ(身体と土・気候は密接に関係があり切り離すことは出来ない。つまり地元で取れたものが身体に一番良い)という言葉が漢方の世界にある。その意識が米国でも拡大している。


農場や牧場の活性化により、地元の自然環境が荒れ放題にならず健全に維持できる。


外国や他の地域からの食糧に頼る比率を下げ、地元の食料自給率を高めることにより食料の安定供給を可能にする。


ローカル農園の信頼性を保証するために、ホールフーズマーケとでは「リスポンシブリー・グロウン(Responsibly Grown)プログラム」つまり青果と生花の栽培方法を調べ、人体や環境への影響を査定している。そして「未査定」「グッド」「ベター」「ベスト」の4種類のラベルで生産者や商品を査定し、顧客に判断する材料を与えている。小売業ではローカル産の商品には「Iam a Local」というPOPを付けて消費者に訴求している。ベーカリーコーナーでは「この店から3マイル先のローカルパン工場で作られました」というPOP、青果売り場では農園一家の写真付きでついてローカル色を訴求している。
大量生産・大量流通・大量消費の流れに大きな変化が起きている。ミレニアルズの人々はそのような商品を敬遠する傾向にある。ファッションの分野でも有名ブランドを避け、特徴のある商品を好んでいる。ナショナルブランド離れしている顕著な例が米国のビールだ。かつてはバッドワイザー、クアーズ、ミラーの御三家がスーパーマーケットビール売り場陳列スペースの7割くらいのシェアを占め、残りがクラフトビールや輸入ビールが占めていた。今ではその立場が逆転し、陳列スペースの減少したバドワイザーのビールを探すのに苦労する。ホールフーズマーケットの話だが、かつてビールは200アイテムだったが、今は900アイテムあるという。そのうち7割を占めるのがクラフトビールで、ナチュラル・オーガニック原料でそしてローカル生産の商品が多い。先日訪問した時は一人2本までの限定販売ですぐ品切れする地元産(ロス近郊)ビールの価格は24ドルとワイン並み。賞味したが薬草の香りがし美味しいとは言えないが、特徴がありかつローカルビールのため、ミレニアルの人々に愛されている。
品揃えにおける差別化で、「ローカル」は今後日本でもキーワードになるに違いない。

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