アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
Excell-K ドラッグストア研究会

研究会研究会ご案内
研究会研究会ご案内研究会セミナー日程研究会セミナー日程
松村清松村清プロフィール
ご案内 研究会事務局
レポート最新USレポート

PDFファイル

小売業で一般的な部門構成は大分類、中分類、小分類そして品目(アイテム)という縦割りの機能分類でなされている。この機能分類は各カテゴリーバイヤーの作業責任及び数値責任と一致し、納入業者が提供する商品範囲内に一致する。こうした機能分類カテゴリーに対して、別の売り場に陳列される品種やアイテムを関連して陳列する技法を「クロスマーチャンダイジング(クロスMD)」と呼ぶ。最近の米国の小売業は、陳列において「売り場部門をまたぐ」そして「バイヤーの守備範囲をまたぐと」いう意味を持っている「クロスマーチャンダイジング(クロスMD)」に大変力を入れている。日本と米国の売り場作りでの大きな違いは、この「クロスMD」の多さの違いだ。日本の場合、バイヤーの縄張り問題や売り場での維持の問題があってなかなか進まないが、競争の激しい米国では、日本と同じ問題がありながらそれを克服して顧客主体の店作りをするため、クロスマーチャンダイジングが促進されている。逆を言えばそうしなければ勝ち残れないのだ。


a) 多忙な人の増加
多忙な人が増えている現在、「買い物時間の節約」というのが小売業繁栄のカギを握っている。多忙な人々は、自分が必要な商品が何かをきちんと頭で整理しているわけではない。またショッピングリストを持って行く人も減少している。そのため、店がクロスMDをするということは、お客の「買い物時間の節約」と「買い忘れ防止」に役立ち、お客に感謝される。下記の表は実際にある日本のスーパーマーケットの数値だが、タバスコや福神漬けのように、関連コーナーでの販売比率が定番コーナーより高い商品が往々にしてある。

商品
定番コーナー (販売比率)
関連コーナー(販売比率)
タバスコ
調味料コーナー (30%)
パスタコーナー (70%)
福神漬け
瓶詰コーナー (42%)
カレーコーナー (58%)
めんつゆ
調味料コーナー (78%)
麺コーナー (22%)

b) 利益の増加
関連陳列の場合、お客は価格志向が薄まっていることが多い。よって、関連付けによる衝動買いを増加させることは、店舗に大きな利益をもたらすので店舗も積極的だ。

c) 売り場を回遊しなくなったショッパー
現在の日常生活用品買い物客はスモールバスケットショッパーが多く、全顧客の2/3存在するといわれている。滞店時間も短縮され(米国ドラッグストアの場合平均滞店時間はかつての10分から現在は7分30秒へ)、売り場も1/3程度しか立ち寄らない。そのため顧客の短時間ショッピングニーズ、買い忘れ防止、そして小売店の売上・利益向上のためにもクロスマーチャンダイジングが重要になっている。下記は米国スーパーマーケットラルフスの社員から教えてもらった消費者のスーパーマーケットにおける「買い物行動」だ。

【米国スーパーマーケットにおける買い物行動】
買い物のパターン
1回の買い物金額
月間回数
目的
売り場回遊比率
 急ぎの買い物(Quick Trip)
約20ドル
6回
 即時消費
12%
 補充の買い物(Fill-in Trip)
約50ドル
3回
 即時消費&長期保存
22%
 まとめ買い(Stock-up Trip)
約100ドル
1回
 長期保存
43%

スーパーマーケットに関してだが、月間10回の買い物のうち、急ぎの買い物は6回だが、まとめ買いは1回しかない。そして急ぎの買い物の場合、売り場回遊率では店舗の12%程度の売り場しか行っていない。
こうしたスモールバスケットショッパーの増加は客単価を下げ、店の売上げに大きく響いてきている。そこでクロスMDをすることによって買い上げ点数を上げる試みをしている。そして売り場が150坪程度のコンパクトな店舗の時は、お客は売り場全体を歩くし、通った売り場に戻ることも簡単にできた。しかし店舗が大型化した現在、必要なものを思い出してもその売り場に戻ることはまれで、あきらめてしまうことが多々ある。そのチャンスロスを防ぐ目的もある。


クロスマーチャンダイジングを積極的に行うNo.1のドラッグストアウォルグリーンでは次のような法則を持っていると店長に聞いた。
a) お客からみて関連性がある(顕在的関連性/潜在的関連性を含む)
お店の都合ではなく、顧客の立場に立った関連性が重要である。彼らは常時500のアイディアを持っており、それを本部から定期的に店舗に流している。活用するかどうかは店舗の自由裁量だ。関連性を確認するために、90年代の後半からショッピング・バスケット分析を行っており、同時購買率の高い商品を関連陳列している。画面に商品コードを入力すると即座に同時購買の高い商品が出てくるが、その数値を参考にしている。

b) 主役より目立たない陳列
関連商品は主役になってはいけない。主役を引き立たせ、且つ一緒に購入してもらうことが必要だ。そのためパッケージは主役商品より小さく、価格は主役より低く、
そして陳列スペースは主役より小さめにして、主役商品を隠さない陳列をしている。
c) 利益の出る販売価格
ディスカウントで顧客の関心を引くのでなく、関連性によって関心を引くので定番価格で販売する。また関連商品に関してはお客が価格志向になっていないので、35%以上利益の取れる商品を陳列する。


米国のスーパーマーケット企業の中に、クロスMDのアイディア開発を下記のように3つに分類して行っているところがある。そして社員や納入業者からアイディアを集めている。
a) 「定番型」クロスマーチャンダイジング
ジュースにストローのように、ショッパーの「顕在意識に訴求」することによる定番型のクロスMD
b) 「気づき型」クロスマーチャンダイジング
パスタ&ピザコーナーにタバスコや、ベビーコーナーにチョコレート(育児に疲れた母親用)のように、ショッパーの「潜在意識に訴える」クロスMD
c) 「提案型」クロスマーチャンダイジング
ビールにピンポン玉(パーティーでグラスを一ケ所に集め、ピンポン玉を弾ませ入ったグラスの人はビールを飲み干すビアポンという遊び)のように顕在・潜在意識にないが、提案されることにより新しい欲求を起こさせる提案型クロスMD


クーラーでない普通のゴンドラ棚の清涼飲料水の隣に氷をクロスMDするわけにはいかない。溶けてしまうからだ。同様に、肉売り場に赤ワインをクロスMDすることは出来るが、赤ワイン売り場にステーキ肉を陳列するわけにいかない。そのような場合はPOPによってお客に知らせることでクロスMDをしている。クロスMD陳列はお客に気付かせればよいので、商品を置けない場合はPOPでもよいのだ。クロスMD陳列に「Need It?」マークを貼付しているケースをよく目にするが効果的だ。これは「お忘れではないですか?」とか「必要ではないですか?」という意味だが、全米第二位のドラッグストアCVSヘルスに買収されたロングスドラッグで長年行われていた。店長によると、クロスMDにこのサインを付けると、顧客の目を引いてクロスMD商材の売上げが8%伸びると話していた。今CVSヘルスの全店舗に水平展開されている。

最近の米国ドラッグストアのクロスMDの一例を紹介しよう。

【米国ドラッグストアでのクロスMD】(例)
カテゴリー
クロスMD商品
 「ヘルスケア」
風邪薬
 体温計、防寒帽、ビタミン、ジンク(亜鉛)、エキナシア、
 エナジドリンク、のど飴
胃薬
 アイスクリームクーポン券
歯ブラシコーナー
 チューインガム
ビタミンコーナー
 ピルケース―
生理用品
 ダイエット商材、妊娠診断薬、体温計、鎮痛剤、デオドラント
ベビーコーナー
 チョコレート
大人用紙おむつ
 デオドラント、芳香剤、ゴム手袋、ベビーパウダー、低栄養改善食クーポン券
介護コーナー
 口紅、ファウンデーション、フレグランス
 「ビューティーケア」
化粧品コーナー
 ビタミン/胃腸薬/アロマセラピー商品/ヒーリングミュージックCD
化粧品コーナー
 シャンパン(クリスマス時期)
スキンクリーム
 ビタミンC、サンブロック
男性化粧品
 育毛剤、スポーツニュートリション、トラベルキット
サンケア
 除毛剤、サングラス、ビタミンC
ボディーソープ
 シャワーキャップ、ボディブラシ
 「雑貨」
食器洗い洗剤
 ゴム手袋、ラップ、ホイル、ごみ袋、ハンドクリーム
台所用品
 メモ帳
殺虫剤
 綿棒、かゆみ止め
トイレットペーパー
 芳香剤
生ごみ袋
 脱臭・消臭剤
スポーツ用品
 水
パンスト
 フットケア商品
バッテリー
 7ケ所程度の売り場に関連陳列
 「食品」
ワイン
 ワインオープナー、ワイン袋、つまみ
飲料水
 ストロー
コカコーラ/ビール
 ピンポン玉
リカーコーナー
 レモン、ライム
お菓子
 子供用歯ブラシ
コーヒー
 ダイエットシュガー、クリーム
冷凍食品
 ケチャップ



 ページの先頭へ

Copyright (C) Drugstore-Kenkyukai. . All Rights Reserved.