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2016年8月31日合併以来2度目の決算を迎えた世界No.1のドラッグストアウォルグリーン・ブーツアライアンス(WBA)は1174億ドル(前年比13.4%増)の売り上げを記録した。WBAは11カ国で約13千軒の店舗、また世界で最大のヘルスケア卸及びディストリビューションネットワークを持っており、19カ国350カ所のディストリビューションセンターで、20カ国23万カ所のファーマシー、医師、ヘルスセンター、病院に薬を配送している。
また米国大手医薬品卸のアメリソースバーゲン社と提携しており、米国におけるブランド及びジェネリック調剤薬の供給と店舗への配送はアメリソースバーゲン社が一手に行う10年契約を結んでいる。現在ウォルグリーンはその会社の24%の株を保有し、発言権を高めている。
【Walgreens Boots Alliance Inc.のファイナンシャルデータ】
項目
2016年
(百万$)
前年比
(%)

(%)
売上高
117,351
+13.4
100.0
粗利益
29,874
+11.7
25.5
販売管理費
23,910
+6.7
20.4
営業利益
6,001
+28.6
5.1
純利益
4,173
(1.1)
3.6
(注)数値データはWBAの年次報告書より

現在WBAは3つの事業部門(Retail Pharmacy USA、Retail Pharmacy International、Pharmaceutical Wholesaler)に分かれ、40万人の従業員が働いている。売上げの71%はRetail Pharmacy USA(ドラッグストアウォルグリーン及びデュエンリード)の8175店舗であげている。Retail Pharmacy Internationalは主にブーツの店名でヨーロッパで展開している。店舗数は4,673店舗、売上げは11%強の構成比だ。ファーマシーホールセール事業部門は売上げの約17%の構成比を占めている。

【事業部門別売上】
事業部門
2016年売上金額
(百万$)
前年比
(%)
構成比
(%)
 Retail Pharmacy USA(店名: Walgreen、Duane Reade)
83,802
+3.5
71.4
 Retail Pharmacy International(店名:Boots等)
13,256
+53.1
11.3
 Pharmaceutical Wholesaler
20,293
+47.3
17.3
合計
117,351
+13.4
100.0
(注)数値データはWBAの年次報告書より

【店舗数】
事業部門
展開国
店舗数
構成比 (%)
 Retail Pharmacy USA計
8,175
63.6
 USA
8,054
62.7
 Puerto Rico
120
0.9
 U.S.Virgin Islands
1
0.0
 Retail Pharmacy International計
4,673
36.4
 United Kingdom
2,509
19.5
 Mexico
1,118
8.7
 Chile
438
3.4
 Thailand
272
2.1
 Norway
161
1.3
 Ireland 
84
0.6
 The Netherlands
65
0.5
   Lithuania
26
0.2
総合計
 
12,848
100.0
(注)米国の数字にはスペシャルティファーマシー7カ所やメールサービス施設2カ所を含まず。

 


リテールファーマシーUSA事業部門は、米国50州、ワシントンDC、プエルトリコ、USバージンアイランドでウォルグリーンやデュエンリード(主にニュ−ヨークマンハッタンで展開。ウォルグリーンが買収したとき店名を変えようとしたが、余りにもニューヨーカーに親しまれているドラッグストアであったために店名を残した)の店名で、2016年8月31日現在8175店舗を展開し、売り上げは前年比3.5%成長の838億ドルを記録し、米国No.1ドラッグストアの地位を守った。この事業部門はWBAの売上げの71%の構成比を持っている基幹事業部門だ。現在米国民の76%はウォルグリーン及びデュエンリードの店舗の5マイル以内に居住し、オムニチャネル機能も積極的に進化させているため、消費者にとっていつでも利用できる身近な存在となっている。


【Retail Pharmacy USAの2016年度実績】
項目
2016年 (百万$)
前年比 (%)
率 (%)
 売上高
83,802
+3.5
100.0
 既存店舗売上
+3.8
 調剤売上
+5.5
 既存店舗調剤売上
+6.0
 フロントエンド売り上げ
▲0.3
 既存店舗フロントエンド売り上げ
▲0.3
 粗利益
22,323
+2.3
26.6
 販売管理費
17,918
▲1.8
21.4
 営業利益
4,405
+13.2
5.3
 処方箋枚数
740百万枚
+2.4
 処方箋枚数(30日換算)
929百万枚
+3.8
 店舗&拠点数
8,184店舗
+2店舗
(注)店舗数には7店舗のスぺシャリティファーマシーと2カ所のメールサービス施設を含む


既存店の売り上げ成長3.8%に支えられた業績だが、特に調剤の売上げの伸びが5.5%と大きく、既存店舗の調剤が6.0%も成長したのは驚きだ。逆にフロントエンドの売り上げはわずかだが0.3%のマイナスであった。粗利益率は食品構成比の増加により前年の26.9%から26.6%へと下落した。販売管理費率が2015年の22.5%から21.4%に削減したため、営業利益は前年比13.2%増加し、率でも前年の4.8%から5.3%を確保した。


店舗&拠点数は8184店舗(スペシアリティファーマシーの7店舗と2カ所のメールサービス施設を含む)と前年とほぼ同数だ。かつての17時間に1店舗オープンするという出店競争の時代は終わり、既存店舗を大切にする方針に変わっている。
売上げ構成比をみると、2016年度は調剤が67%を占めており、ウォルグリーンのビジネスの核となっている。90日処方箋を合算した処方箋枚数は740百万枚だが、30日処方箋に換算すると929百万枚になり、全米小売処方箋の20%弱のシェアを持ちマーケットリーダーだ。保険会社や政府等の第三者機関を通しての処方箋の売り上げが96.8%を占めており、利益の多い現金客は3.2%まで落ちてしまった(かつては現金客の方が多かったため利益率が良かった)。調剤薬の長期展望は、トランプ政権によりいろいろな変化が起きるだろうが、高齢社会、寿命の延長、無保険者の減少、効果的な新薬、クオリティ・オブ・ライフ(質の高い生活)追求などで、順調な成長が見込まれており、調剤薬はドラッグストア成長のドライバーとなっている。一方、政府の医療費高騰抑制政策、保険会社などの第三者機関からドラッグストアに対する還付金の低下、30日調剤より利益率の低い90日調剤の増加等は調剤薬の利益率の低下を意味しており、より強いバイイングパワーの発揮とコストの低下が求められている。またブランドより利益率の高いジェネリックドラッグの売上げ向上に力を入れているが、価格はブランドより遥かに低いため、売上げの伸びに対してはネガティブな結果を呼ぶ悩みがある。

【商品売上構成】
売上げ構成比
2016年度(%)
2015年度(%)
2014年度(%)
2013年度(%)
 調剤
67
66
64
63
 フロントエンド
33
34
36
37
 合計
100
100
100
100
(注)数値データはWBAの年次報告書より

ウォルグリーンのファーマシーは米国民のヘルスケアのフロントラインであり、医療費高騰抑制やプライマリーケア医師不足の現状下なくてはならない存在になっている。そのためウォルグリーンの74000人のヘルスケアサービス提供者(薬剤師、テクニシャン、看護師、その他ヘルス関連専門職)の活躍は地域のヘルスケアに非常に貢献している。彼らは薬の提供のみならず予防接種(全米で一番行っているのはウォルグリーン)や他の予防ケア、ドラッグストア店内にあるヘルスケアクリニック(400カ所以上)、メディ
ケーションセラピーマネージメント(薬剤治療管理)、疾病管理、がん・臓器移植・HIV・小人症などの治療のためのスペシアリティファーマシー(7カ所)、オンサイトファーマシー(病院内でのファーマシー機能)、メールサービス調剤施設(2カ所)の職務に従事している。
ドラッグストア店舗での取扱いアイテム数は約2万アイテムだが、食品の「NICE」や「Delish」、ヘルスケアの「Well at Walgreens」そしてビューティーケアの「No.7」、「Botanics」、「Liz Earle」、「Soap&Glory」等のPBも含まれている。現在PB売り上げは約25%のシェアだが、PB比率を30%まで持っていく計画だ。競合との差別化や利益率の向上やロイヤルカスタマー作りに役立っている。
ウォルグリーンのネットは20万アイテム品揃えされており、ウェブサイトには月間平均68百万のビジットがあり、調剤、一般品の注文や写真のDPE等多方面において活用されている。またWalgreen.comで注文すると、指定した店舗で商品を受け取れる「Web Pick-Up」プログラムを展開している。
また新しい取り組みとして自動注文(オートオーダー)をネット客に提供しており、ビタミン、髭剃り、紙類、洗剤、生理用品など始終使用する商品に対し、定期的に顧客が選択した頻度で自動的に送付をしている。
ロイヤリティプログラムであるバランスリワードのアクティブメンバー数(2016年8月31日までの6カ月にウォルグリーンを利用した客)は87百万人で全米最大のメンバー数を誇る。
21世紀のビジネスは今までの「店舗サイズの拡大&店舗数の拡大」というビジネスモデルから、今後の成長のための3つのキーワード「TMW」つまり、「Time(時間)」「Money(お金)」「Wellness(ウェルネス)」を掲げ戦略化している。

a) Time(時間)
「時は金なり」のことわざの通り、消費者は時間の節約できる便利な問題解決(ソリューション)をさらに求めるため…
イ) 今までの「モノ(調剤・商品)の提供」から「クイックなヘルスケアの問題解決」の提供
ロ)「便利な立地」から「便利な買い物体験」の提供
ハ)「多過ぎる品揃え」から「顧客のニーズに合った絞り込まれた品揃えによるクイックな買い物」の提供
b) Money
収入の伸びない一般消費者は節約志向を強めるため…
イ) 単価アップで売り上げを作るのでなく、PB商品の買い上げ点数を上げる
ロ) 価格競争を導くNB商品の販促多発から、PBや専売品の販売強化
ハ) ローコストオペレーションの実現による、値ごろ価格の提供
c) Wellness
高齢社会の到来、女性の社会進出、そして医療費の高騰抑制のために高まる心身の健康を意味する「ウェルネス」の促進がますます強まるため…
イ)「モノ提供業」から「ソリューションを提供するライフスタイルマーチャント」へ。サービス機能(クリニック、予防接種、ヘルスチェック、ビューティー
サロン、マニキュア、イートイン)の強化
ロ) 消費者教育・啓蒙の強化



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