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米国のCPG(消費財)市場の規模は7950億ドル(2016年9月11日までの52週)で、ナショナルブランド(PB)とプライベートブランド(PB)の激しい戦いが続いている。プライベートブランドは利益率の向上、お買い得価格イメージ、ロイヤルカスタマー創造、競合との差別化などに貢献するため、低価格の提供、品質の向上及び取り扱い店舗数の増加を通し順調に成長してきた。しかしその市場もかつての勢いを感じず、成長に息切れの兆候も見られている。要因として、「景気の回復による消費者の質志向ニーズの増加」「NBとの価格差の縮小」そして「商品部門によってはプライベートブランドシェアの飽和化」がPB市場の停滞を導き、2015年及び2016年は成長の鈍化と、商品部門によってはシェアを落とした。例えば、価格差では平均でみるとPBはNBより2010年には24%低かったが、2015年は22%と縮小している。この価格差が縮まる傾向はここ数年起きているが、PBがプレミアムラインを拡大したことや、NBが価格を意識した値付けをしたことによるものだ。この状況はPBに対する価格の魅力を減少させている。
【CPG(消費財)市場&PB市場と成長率】
価格差
2015年(%)
2010年(%)
50%以上
5
6
(1)ポイント
30〜49%
31
34
(3)
20〜29%
32
31
+1
10〜19%
12
11
+1
10%以下
20
18
+2
平均
22
24
(2)ポイント
(資料)WAG

下図はIRI Market Advantageによるものだ。金額ベースでみると、PB市場は14.5%のシェアで1154億j。2015年・2016年ともにトータル市場成長率よりPB市場の成長率が低い。数量ベースでも大方NBより成長率は低く、年によっては前年を割っている。

【CPG(消費財)市場&PB市場と成長率】
年度
トータル市場規模
(億ドル)
PB市場規模
(億ドル)
金額ベース成長率
数量ベース成長率
トータル(%)
PB(%)
トータル(%)
PB(%)
2016年
7950
1154
1.9
0.0
0.5
(0.2)
2015年
7800
1154
3.3
3.2
0.8
0.2
2014年
7549
1117
2.0
2.8
0.6
(0.1)
2013年
7403
1088
1.8
2.5
0.1
0.4
2012年
7272
1062
3.8
4.5
0.1
(0.6)
(資料)IRI Market Advantage

一方PBの小売市場シェアを見てみると、2016年は過去5年間で最も低く、金額ベースで14.5%、数量ベースで17.1%だった。

【PBの小売市場シェア】
(マルチアウトレット&コンビニエンスストア)
年度
金額ベース(%)
数量ベース(%)
2016年
14.5
17.1
2015年
14.8
17.2
2014年
14.8
17.3
2013年
14.7
17.4
2012年
14.6
17.4
(資料)IRI Market Advantage

チャネル別にみると、下図の通りPBの構成比が最も高いスーパーマーケットは金額ベースで24%、数量ベースで29%だ。スーパーマーケット、ホールセールクラブそしてコンビニエンスストアはその構成比を伸ばしているが、逆にマス&スーパーセンターやダラーストアはシェアを落としている。ドラッグチャネルは数量ベースでシェアを減少させたが、これはキャンディ、ボトルウォーターやクッキーなどの食品でシェアを落としたからだ。その対策として単なる飲料水でなく、機能性を高めた飲料水(栄養成分、エナジー含入)や果物・野菜スムージーを導入し、これらのシェアがジャンプした結果落ち込みを少なく出来た。このようにナショナルブランドより安いというだけのPBでは今後の成長は見込めず、たとえマーケットが小さくても、時代ニーズにあった商品群への積極的な参入が重要視されている。
No.1スーパーマーケットのクローガーは、グローサリーにおけるPB比率は金額ベースで27%、数量ベースで37%と非常に高い。4層構想のPB戦略をとっており、「バリューライン」(ノンフリルで徹底した低価格の提供)、「スタンダードライン」(NBに類似したMe Too商品で、20〜30%安い価格を提供)、「ナチュラル&オーガニックライン」そして「プレミアムライン(NBより上品質の提供)」の4つのラインで構成され積極的に展開している。
ドラッグストアでは、No.1のウォルグリーンは25%のPB構成比を持つが30%を目指している。アライアンスブーツ社との合併により、彼らの有名なビューティーケアPB製品である「No.7」、「Botanics」や他のPBを強化している。グローサリーや家庭用品・日用品カテゴリーで「グッド&デリッシュ」(トランス脂肪酸フリー、グルテンフリー、低いカロリーやナチュラル成分の製品が多い)、数年前に「ナイス」ラインで多種の製品が食品やハウスホールド分野で投入された。また「Well at Walgreens」ブランド名はヘルスとウェルネスのイメージが強いために、それらの商品に絞って展開している。

コンビニエンスストアは成長したとはいえPBのシェアは他チャネルよりはるかに低い2%程度で、NB製品の品揃えが強いのが分かる。これは男性客が多く、NB志向であるからだ。

【2016年チャネル別PB状況】
チャネル
PBシェア
PBシェア成長ポイント
金額(%)
数量(%)
金額
数量
 スーパーマーケット
24.2
29.2
+0.1
+0.4
 ホールセールクラブ
23.7
24.1
+1.3
+2.0
 ドラッグストア
18.3
17.4
0.0
(0.4)
 マス&スーパーセンター
16.1
16.6
(1.0)
(1.2)
 ダラーストア
15.0
13.9
(0.2)
(0.4)
 コンビニエンスストア
2.1
3.0
+0.1
+0.1
(資料)MMR 01/09/17

商品部門別にPBの状況を述べてみよう。PB全体の売り上げの2/3をトップ50部門で占めているほど上位集中化が進んでいる。フード計のPBシェアは9.5%だが、PBシェアを落とす部門が多く、結果としてフードトータルで0.6ポイントシェアを落としている。一方19.4%のPB構成比を占めるノンフードは0.6ポイント押し上げ、合計で0.2ポイントの成長に貢献した。


【商品部門別トッププライベートブランド(2015年)】
部門
PB販売金額シェア(%)
シェア前年比
 デリ
33.2
▲2.0
 青果
26.8
4.8
 冷凍食品
17.5
▲2.1
 乳製品
14.1
0.6
 ドライグローサリー
11.0
▲0.8
 加工肉
8.7
1.8
 精肉
3.8
▲2.0
 アルコール飲料
1.1
▲0.1
フード計
9.5
▲0.6
 健康美容商品
21.4
0.2
 ジェネラルマーチャンダイズ
20.8
▲0.3
 消耗雑貨
10.9
0.9
ノンフード計
19.4
0.6
合計
16.7
0.2
(資料)WBA


ドラッグストアにおけるプライベートブランド状況を見ると、いろいろなカテゴリーが含まれる。「薬&治療薬一般」が1位で、構成比として33.7%だ。救急医療用品や鎮痛剤もPBシェアが高く、人々が医療用品や薬でもNBにこだわらない姿が見える。一方、スキンケアやオーラルケア商品、コスメティックのシェアが低いのは、このようなパーソナル商品に対して人々がこだわっており、NB志向が強いのが分かる。

【ドラッグストアにおけるプライベートブランド比率】
順位
カテゴリー
PB販売金額
(百万ドル)
PBシェア
(%)
1
 薬&治療薬一般
2000
33.7
2
 セキ&カゼ薬
1000
29.0
3
 ビタミン
686
21.8
4
 救急医療用品
616
46.4
5
 鎮痛薬
504
37.9
6
 紙製品
333
28.5
7
 ナッツ
240
54.9
8
 ボトルウォーター
231
33.0
9
 スキンケア用品
199
10.6
10
 オフィス&学校用品
197
26.0
11
 オーラルケア用品
170
11.2
12
 キャンディ
165
5.8
13
 グルーミング用品
158
22.9
14
 スナック
140
13.9
15
 バッテリー/フラッシュライト
126
22.5
16
 生理用品関連
112
17.8
17
 ペットケア
78
44.4
18
 包装材料/袋
76
48.0
19
 ソープ&バス用品
75
11.2
20
 コスメティック
75
3.2
(資料)CDR

最近の消費者のPBに対する考え方は、「NBと品質が変わらない」とポジティブに受け取っている。特にミレニアル世代の人々の86%は「PBとNBは品質に差がない」と述べている。しかし彼らの90%は「産地及び成分・原料に関心がある」、75%は「パッケージの栄養成分ラベルを読んでいる」と答えており、PB開発にあたりそれらの事柄を十分注意する必要がある。。
今後PBにとって、今までのNBに類似した商品開発の踏襲ではその成長は疑わしい。そのためにDiversification(多様性)、Premiumization(プレミアムPB)とBranding(ブランディング)がカギを握ると考えられている。

1) 「Diversification(多様性)」
前述のとおり現在トップ50部門でPBトータルの売上げの2/3を占めているが、他の部門への積極的参入による市場拡大が求められている。特に成長している隙間マーケットにも積極的に参入することにより、多様なPB品揃えで顧客に魅力を与える必要がある。

2)「Premiumization(プレミアム化)」
まず大切なことは品質の向上だ。PBの品質が上がったとはいえ従業員が買わないという粗悪なPB商品もまだ多くある。そのような粗悪品の排除と、NBより優れたプレミアム商品開発が多くの商品部門で求められる。

3) 「Branding(ブランディング)」
これからはNBと同時に、競合PBとの戦いも激しくなる。そのため自社PBの認知率向上と販促力が重要になってくる。そのためマーケティングの4原則である4P(Product、 Place、Promotion、Price)をナショナルブランドと同じように戦略化し、実行することが重要だ。トレーダージョーがあれだけ繁盛するのは、安いだけでなく、NBが開発していない分野の商品やNB以上の美味しい商品開発、お買い得価格の提供、顧客への自社チラシによる積極的なPR、且つ新製品コーナーでの試食・試飲を積極的に展開しているからだ。H-E-Bスーパーでは、チラシやネットでPB商品を積極的に告知・販促し、店舗ではNBの隣にPBを陳列する比較陳列を徹底している。そして満足しない場合は返金する満足保証を打ち出し、顧客の安心感を高めている。ウォルグリーンはビューティーケア商品「No.7」をチラシやネットで訴求し、化粧品コーナーのベスト立地でそれらのPB製品を大々的に展開し認知率向上を図っている。そしてコスメティシャンが積極的に顧客に試用を勧めたり、提供ポイントも高めて普及を図っている。
「価格が安い」が最大な武器であったこれまでの時代が終わり、PBにもNBが実施しているマーケティング戦略がより必要な時代が来たのだ。


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