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米国ではスーパーセンター、百貨店、GMSやカテゴリーキラー等かつての優良業態が苦戦をしている。一方、身近にある「利便性」が高いスーパーマーケット、ドラッグストア、ハードディスカウンター、コンビニエンスストアなどの小型店が好調を保っている。その背景を米国における我が家のショッピング行動の変化を例に挙げながら述べてみよう。


アメリカの消費やあらゆる流行を引っ張てきた1946年〜1964年の間に誕生した75百万人の巨大人口層のベービーブーマーは、長らく郊外の比較的大きな家で夫婦と子供二人という典型的な家族のスタイルであった。家は広かったし、まとめ買いした商品を保存する場所も十分あったので、人々の買い物はウォルマートのような大型店で週一回の大量買いが一般的であった。そのベビーブーマーも子供が手を離れたことから郊外の家を売却して、病院・役場・銀行・レストアラン・劇場・小売業などが集中する便利な街中のコンドミニアムに住み始めている。また1980年代〜1990年代に誕生したミレニアルと呼ばれる83百万人の新しい消費の主役達は、シティライフを好んで街中に居を構える人が多い。このように、シティライフを好む人々の増加と街中の家のサイズがコンパクトなこともあって、まとめ買い志向が薄れ、便利な街中の店舗が大繁盛だ。


かつて小売業界成長のエンジンであったスーパーセンターやカテゴリーキラーは、郊外に店を構え、ローコストオペレーションとエブリデーロープライスで成長を続けた。しかし人々が郊外から街中へ居住の場所を移していること、不便な買い物はネットに頼る時代になったことで、大型店の存在価値が薄れている。そして、欲しいものがすぐ手に入るという便利性から、近くの小型店舗が非常に重宝される時代になった。このような購買行動の変化により超大型店は不振になり、品目も絞り込まれた小型店舗の人気が高い。例えばロサンゼルス出身のスーパーマーケットトレーダージョーは絶好調で、シカゴやニュヨークまで進出し、全国展開を狙っている。店舗サイズは300〜400坪で3000SKU程度(普通のスーパーマーケットは3万〜5
SKU)と絞り込まれ、品選びがしやすくクイックショッピングが出来るので好評だ。東海岸にあるたった5店舗のスチューレオナードも2000SKUに絞り込まれ、
1店舗当たりの売上げは1億ドルと非常に高い。何しろ一般的な家庭が年間に購入する商品アイテムの種類は300〜400程度で、毎月購入するのはこの半分しかないという調査報告もあるように、品揃えが多過ぎるのは不便な買い物につながるのだ。


人々は「急ぎの買い物(当日か翌日に消費目的)」「買い足し買い物」そして「まとめ買い」の3種類を必要に応じて使い分けている。昔は小売店の数が今ほど多くなく、休日は店を閉め、営業時間も日に10時間程度であった。筆者が米国で学生生活を送っていた1970年頃は、家の近くのスーパーマーケットセーフウエイは休日は休み、土曜日は午後5時までしか店を開けていなかった。そのため消費者は1週間の食品などをまとめ買いし、家のガレージにある大型冷凍・冷蔵庫や食品庫に食料品を保存していた。また女性の社会進出は忙しい人の増加を生み、ワンストップショッピングが繁栄する店舗の条件となり、店舗はどんどん大型化していった。しかし現在小売店舗は身の回りに多数あり、それも24時間営業をはじめ年中長時間営業を行っていることから、まとめ買いのニーズが急速に減少し、より新鮮なものを必要なだけ購入するショッピングパターンに変化している。実際に消費者の買い物パターンの中で、下記の表のとおり「急ぎの買い物」はスーパーマーケットの場合月6回だが、まとめ買いは月1回(以前は月に2〜3回)しかない。

【買い物の3つのパターン】(スーパーマーケットのケース)
買い物のパターン
1回の買い物金額
月間回数
目的
売場の立寄り率
買い物時間
価格志向
 急ぎの買い物
(Quick Trip)
22ドル
6回
即時消費
12%
14分
 買い足し
(Fill-in Trip)
48ドル
3回
即時消費保存
20%
19分
まとめ買い
(Stock-up Trip)
103ドル
1回
保存
45%
32分
(資料)スーパーマーケットラルフス


ITの発達により買い物手段も大きく変化している。
a)ネットショッピング
代表的なのはネットショッピングで、その売上げは毎年15%程度の伸びを示し、小売業界の約10%の構成比に成長している。ネットショッピング経験者は9割近くと、殆どの人が利用するほど普及している。実際に我が家も水や紙類などかさばる買い物はアマゾンを利用している。
b)インスタカートの買い物
筆者もロサンゼルスにいるときはこのインスタカートという購買代行ビジネスを利用しているが、非常に便利だ。その流れを説明してみよう。
1 メンバー登録をする
名前、住所、電話番号、メールアドレス、決済クレジットカードを登録してインスタカートのメンバーになる。
2 ジップコード(郵便番号)を入力する
届けてほしい場所のジップコードを入れると、その地域でインスタカートが対応できる小売り企業名が出てくるので、自分が好む企業を選択する。
3 購入したい商品の部門を開き、欲しい商品をネット上のカートに入れる
ゲルソンスーパーの場合、セールアイテム、青果、肉・魚、卵・牛乳、調味料、冷凍・
冷蔵食品、総菜、ナッツ、飲料水、アルコール、缶詰、パスタ、日用品・家庭用品、パーソナルケア、ベビー、ペット等の部門があり、その中で様々なカテゴリーに分かれているのでそこから希望の商品を探す。もちろん店頭に置かれている商品がすべて購入できるわけではなく、限られた商品が写真付きで掲載されている。価格は契約小売業により違い、「店頭と同一価格」または「店頭と異なった価格」で展開している。
4 決済
請求金額には、商品代、袋代、配送料、消費税、パーソナルショッパーに対するチップ(最低10%は自動的についてくる。それ以上渡したい場合は現金で当人に支払う)が含まれ、クーポン券割引をした後で合計金額が出てくる。OKなら登録してあるクレジットカードで支払われる。
5 商品の配達
買い物が終わると商品が届けられるが、届ける人の名前と写真、届ける商品の写真と内容、請求金額がメールで送られてくる。アルコールは21歳未満の購入を禁止しているため、運転免許所などの証明書が必要で、パーソナルショッパーが購入者の証明書の写真を撮り、本人のサインを求められる。配送料は月間14.99ドル、年間149ドル支払うと、2時間以内の配達なら何度でも配送してくれるお得料金と、その都度払いがある。都度払いの場合35ドル以上の買い物が条件だが、配達1時間以内は5ドル99セント、2時間以内は3.99ドルだ。
クリック&コレクト
カーブサイド、ウェブサイドピックアップ、サイトツーストアなどいろいろな呼び方があるが、要は小売り企業のネットで注文し、自分の好む店舗に商品を取りに行くプログラムで非常に普及し始めている。
顧客のメリット
自分の都合の良い時間に取りに行ける。配達を待たなくてよい。自宅への配達は配達料を取られるが、自分の選択した店に取りに行けば無料だし、自宅配送で玄関前に置かれた商品が盗まれる心配や、店に行って商品を探して店内を歩き回る手間やレジ待ちのわずらわしさから解放される。
店のメリット
店に顧客を運ぶ送客の役割をしてくれる。店に取りに来た人の4割以上はついで買いをしてくれる。

ウーバー(Uber)
公共交通機関が発達している街中に住む人達にとって、自家用車はもはや生活のための必須アイテムでなくなっている。車が必要なときは、スマホの配車サービスウーバー(Uber:一種のタクシー代行業)やカーシェアリングをしている。
ウーバーに登録した後利用するには、出発地と目的地をスマートフォンで打ち込むと、料金が出てくる(同じ走行距離でも車種・時間帯・道路の混雑状況により値段が違う)。OKを打ち込むと車が来るが、後どの位の時間で来るか細かく知らせてくるので安心だ。
車が清潔(米国のタクシーは汚いのが多い)、値段がタクシーの半分以下(ロスの場合)、悪くない接客、近距離も嫌がらず行く(運転手が長距離だけを追うのを避けるために、ノルマとして回数も求められている)、身元チェックがしっかりしているので安心、登録されたクレジットカード決済なので簡単、チップがいらないので気楽(荷物を多量に積んだ場合はチップをあげた方がよい)、顧客の評価、運転手の評価をお互いにするので、評価の低い運転手ははじき出される。
我が家でもよく散歩がてら20分歩いてウエストウッドのスーパーマーケットラルフス、ドラッグストアのCVSやディスカウントストアのシティ・ターゲットに買い物に行き、帰りは荷物を持ってウーバーを利用して帰ってくる。料金は5ドル程度でとても便利だ。
米国で今このような買い物スタイルの大きな変化が起きているが、いずれ日本においても同様なことが起きると予想される。

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