アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
Excell-K ドラッグストア研究会

研究会研究会ご案内
研究会研究会ご案内研究会セミナー日程研究会セミナー日程
松村清松村清プロフィール
ご案内 研究会事務局
レポート最新USレポート

PDFファイル

消費者が感じる世の中の景気の良し悪しは、10年単位でみると70%の期間は悪く、30%の期間は良いと感じているようだ。つまり圧倒的に悪いと感じる期間が長いのだ。そのため人々は常に価格に対して敏感なのだ。どんなに内容が素晴らしい販売促進や店頭MDを実施しても、価格に無神経な展開をしたのでは、消費に対して慎重になっている消費者は購買に前向きにならないし、時には店を離れてしまう。消費者が価格に神経質になるもう一つの要因として、「高い買い物をするのは愚かな証し」という心理が働き、「賢い買い物客」を演じたいために、お金があっても価格に注意深くなる。買い物において、価格のみが買い物の決め手という消費者は19%存在し、残りの81%は「総合価値」をベースに買い物をしているということを理解しなければならない。その「総合価値」は「商品価値」+「便利性価値」+「サービス価値」+「雰囲気価値」+「価格価値」で構成されるが、短く言えば、支払った価格と総合価値を比較してお得感があれば、消費者は喜んで購入していく。
IT機器の発達により、ショールーミング購買行動(店舗で値段をチェックし、ネットで購買する購買行動)も当然のように行われる時代になった。そこで米国のリアル店舗が価格に敏感になっている消費者に対して、どのような価格対策をしているかについて2回に亘って述べてみよう。
価格に厳しいお客様の種類も、「安い商品・安い店でしか買わない
「安くても必要な量しか買わない」「安くても必要のないものは買わない」「得をする店やタイミングでしか買わない」等々に分かれていく。そのため、米国の小売業が提供している価格のプログラムは、こうしたお客の多様な買い物についての考え方に対応している。


値段だけがショッピングの絶対条件と考える人が19%の比率でいると述べたが、その人たちが実際に多くの小売業の値段を調べて回るのは不可能だ。安いと思われている店でも取扱っている全ての商品を安くすることは不可能で、安い商品と利益の取れる商品を販売することによって利益を確保している。つまりそのような対策のカギは、「当店は価格に自信があります。お買い得な店です」というイメージを作り上げることだ。


イ)最低価格保証(Low Price Guaranteed)
ウォルマートの「エブリデー・ロープライス戦略」は、その優れた手法によって、
「全ての商品でウォルマートの価格は一番安く、他の店と比較しなくても大丈夫。
もし他の店がウォルマートより安ければ、その値段に合わせて差額を返金する「We’ll Match It」というポスターを店内に貼付し、最低価格保証をしている。実際にはセイビングキャッチャーというシステムを活用し、差額のクーポンを提供している。価格を武器にするカテゴリーキラー業態には最低価格保証をとる企業が多い。中には価格を合わせるだけでなく差額の10%を上乗せする企業もある。これらの価格保証プログラムの導入は、「最低価格を提供している店」というイメージを消費者の頭の中に刷り込んでいる。さすがアマゾンの価格にはかなわないため、リアル店舗間での価格最低保証にとどまっている。
このように最低価格保証をしても、実際に値段の申し立てをする顧客の数は限られていること、PB商品アイテムが増加している今日、同一商品の数が減ったことなどで利益に対するダメージは少なくなっている。それよりも最低価格保証という政策を打ち出し、消費者に安心して購入してもらう環境作りの方が好ましいと考えているのだ。
ロ)PI値の高い商品が安い「アフォーダブルエッセンシャルコーナー」や「ロールバック」を展開
米国No.1のドラッグストア「ウォルグリーン」では、PI値の高い売れ筋商品を集め、ゴンドラエンド2〜3本を活用して、地域内ドラッグストア及びスーパーマーケットとの比較で最低価格を1~3ケ月間展開している。これをアフォーダブルエッセンシャルコーナーと呼んでいる。「ウォルマート」も「ロールバック
という呼び名のディスカウント手法をとって、対象商品を長期間さらにディスカウントして提供し、来店した人に安いという印象を与えている。
ハ)競合小売企業との比較価格の提示
北カリフォルニアにある独立スーパーマーケット「ナゲットスーパー」は、レジを出た壁面に近隣の競合スーパー(セーフウエイ、レイリーズなど)との価格比較をし、どの位のアイテム数で競合店より安かったかを月毎と累計で表示することにより、その安さを顧客に訴求している。またデリカで全米一の評判をとる東部のスーパーマーケット「ウエグマン」は、比較的所得の高い地域に出店をしているが、価格に敏感な消費者が増加したため、同じ商圏内の競合との7アイテム程度の価格比較をし、タテ看板で顧客に訴求している。面白いことに低価格で評判の「コストコ
も競合の中に入れており、比較価格リスト中で1アイテムだけがコストコより安く、他の商品は同じ価格かコストコが扱っていない商品を掲載し、調査不可としている。低価格を売り物にするコストコより安い価格の商品を1アイテム訴求することにより、消費者に安いというイメージを与えようとしている。


現在非常に人気のあるスーパーマーケット「トレーダージョーは、ロサンゼルスからスタートし、シカゴそしてニューヨークと全国展開を目指している。食にうるさいニューヨークでも大成功しており、店舗では毎日顧客整理係が配置されレジで長蛇の列の顧客を誘導している。何しろ2015年グローサリーストアの顧客満足度調査でNo.1を獲得した店だ。その要因として、「常に笑顔のフレンドリーサービス」「わくわく感のある店の雰囲気」そして「吟味された商品の品揃えが挙げられた。300坪程度の店に2500〜4000アイテムと絞り込まれた品揃えで、生鮮食品の品揃えは余り多くないが冷凍食品が充実している。待遇が良いためフルタイムの従業員が殆どで、明るく笑顔の接遇は抜群だ。このスーパーマーケットの商品は値ごろ価格の商品が多いが。その中でも圧倒的安さのプライベートブランドのワイン「Charles Shaw」(通称2ドルのチャック=ツーバック・チャックと呼ばれている)は常時山積みされている。今では全米のワインで本数ベースでは一番売られている。かつては1.99ドルで販売され、今では少し値上げされ2.49ドルだ。日本のアルコールメーカーのソムリエの資格を持った人に試飲してもらったが、味は試飲した20ドルのワインと同等だと述べていた。また価格が意識されるバナナは1本19セントとで大きな価格POPが貼付されやすさを訴求している。このように強烈な低価格の商品を1〜2品持つだけで、トレーダージョーは安いお買い得な店だという印象を作り上げている。
家具のイケアが99セントの朝食、コストコが1.5ドルのホットドッグとコーラのセットを提供するのも、安いイメージづくりをしているのだ。


常に低価格イメージのPOPを貼付しているA店と貼付していないB店では、例え価格が全く同じでも、消費者はA店の方がB店より安いと感じる。そのため、家具の「イケアでは「クレイジープライスや」」や「昨年よりさらに値引き」などのサインを掲げている。また「ウォルグリーン
やディスカウントストア「ターゲット」では、レジ近辺で1ドルコーナーを時々設置して安さを訴求している。1ドルという文字のPOPは非常に目立ち、手ごろな店というイメージを与えている。オーガニックスーパーで有名な「ホールフーズマーケット
は、比較的平均所得より上の高所得・高学歴のロハスの人々を対象にして成長し続けてきた。しかし不景気の波には勝てず、リーマンショック以後顧客離れが続き不振が続いた(ロハスの人々で所得を落とした人たちは、スーパーマーケットのトレーダージョーにスイッチ。トレーダージョーも意識的にホールフーズマーケットの近くに出店し、ホールフーズの顧客奪取をしていた)。そこでセールに無縁であったこの企業も、ホールディールという小冊子を作成し、お買い得商品や節約生活の提案をして、価格が高いというイメージを払拭している。
比較ポイント」の意味で、人間は物事を決める場合、常に比較しながら、与えられた条件の中でベストを選択しようとする。値段、量、サービス、店のセンス、商品の品質や機能、デザインなど、常に比較ポイントを持って判断をしている。この比較のポイントをアンカーと呼ぶ。例えば、PB商品の値段がいかに安いかを分からせるために、NBをアンカーとして使ってお客に比較させる。PBのみでは売りにくい商品でも、NBという比較商品が陳列されているから、PBを購入する決断ができる。またディスカウントして販売するとき、値札に今までの価格と新しいディスカウント価格を併記するのも、比較ポイントを見せていることだ。

 ページの先頭へ

Copyright (C) Drugstore-Kenkyukai. . All Rights Reserved.