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Eコマースの成長が著しいが、総小売業の8%程度のシェアしかなく、小売業の主役はリアル店舗だ。ネットでなくリアル店舗に魅力を感じる要素の一つに「Well Experience(素晴らしい買い物体験)」がある。そのエクスペリエンスを実現するために、米国の小売業の店づくりとして「ハ・カ・タ」つまり「ハ:入り易い店」「カ:買い物のし易い店」「タ:楽しめる店」をコンセプトにしている。前月号では「入り易い店」について述べたので、今回は「買いやすい店」そして「楽しめる店」について述べてみよう。


a)押し付けられると買いたくなくなる------------------------------------------ 「リアクタンス(反発)現象の法則」
あからさまな売り込みや選択の余地のないような勧められ方はお客の反発を招く。強制されると反発したくなるのは心理的リアクタンス(反発)現象だからだ。ミキハウスの木村社長が興味深いことを述べていた。この会社は社員に顧客志向を徹底して叩き込んでいるが、それは創業時の経験からだそうだ。九州の小売店が大阪の繊維問屋に仕入れに来ていた。それならこちらから出向こうというので、奥さんが作った試作品を持って鹿児島、熊本、長崎、博多の問屋と回ったが話も聞いてもらえなかった。何故駄目なのか夜ホテルで考えた。そして気がついたのは「買ってくれという押し売りの売り方をしていた。そうでなく自分を使えばどのようなメリットがあるかという、相手の立場に立った商売の仕方をしなければ駄目だ」ということだ。そして次にいった小倉の店で、相手に役に立つ自分をという形でアプローチをしたところ、試作品を全部置いていけと言われた。そこから色々な店が紹介され、現在の成功の礎になった。顧客が店に入ってきたら、来店歓迎の挨拶をした後は顧客のペースで店内を歩かせなさい。すぐ従業員が寄ってくる店程嫌な店はない。顧客の気持は「Leave me alone… but take good care of me.」(ほっといて・・・だけど必要な時はすぐ飛んで来て!)なのだ。売らんばかりの気持ちになると顧客は逆に買わない。フランスの化粧品専門店の「セフォラ」はアメリカの主要都市のショッピングセンターや路面店で数多く展開している。これだけ米国人に受け入れられるようになったのも、品ぞろえだけでなくその接客にある。店員は顧客に必要なヘルプをすると、押しつけがましく付きまとわず、顧客が自分のペースで買い物ができるようすぐその場を去ってくれるので、買い物がしやすいのだ。
売れ筋に絞り込み過ぎた品揃えも、顧客の選択権を狭め面白味のない店にしてしまうし、その押しつけがましさが嫌われる。ドラッグストアのCVSでは口紅のカラーを豊富にしている。絞りすぎると選ぶ楽しみがなくなり、顧客が売り場に入ってこないからとバイヤーは答えていた。リアクタンス効果が働いたのである。
b)商品を気軽に触らせろ、試着させろ -----------------------------------「See me, Touch me, Feel me」の法則
お客は購入する前に自分の目で見て、触って、感じて確かめたいと思っている。これはアパレルでも食品でもどのような商品においても同じだ。従って売場での商品やサービスは出来るだけ接触させる工夫が重要だ。「触れる」という行為は、人間の持っている好奇心と所有欲を満足させるプロセスの第一歩である。車も試乗させると購買率は上がる。エアコンも実際に作動させ温度や風量を自ら体感させると顧客は納得し購入していく。アパレルショップでも、たとえ冷やかしの客でも出来るだけ試着させた方がよい。試着させると購買率は確実に上がる。試着室は雰囲気・照明・香り・鏡など全てにおいてお客を良い気分にさせるように設計されていなければならない。最近の米国の百貨店では試着室を1.5倍に広げ、ゆったりとした気分で、お客が美しく見えるように照明や姿見を研究している。ホールフーズマーケットはじめスーパーマーケットは売り場で購入を躊躇していると、すぐ賞味をさせてくれる。納得して購入してもらいたいというのと、賞味をすれば購入率が上がるのを知っているからだ。「See Me(見て)」「Touch Me(触れて)」「Feel Me(感じて)」をしてもらえば、購入率が圧倒的に高まるのを知っているからだ。
c)プロお勧めの言葉をもっと使え------------------------------------------------------- 「威光効果の法則」
お客を説得するには、その道のプロの影響力を活用すべきである。人は権威に弱く、専門的な知識や能力を持っている人や有名な人の言うことを信じる傾向がある。これを「威光効果」という。テレビの健康番組で報道された商品は次の日から品切れになるという。スーパーでは陳列されているオーガニック野菜に生産者のからの一言が添えられていると売れ行きが違う。宮内庁御用達に絶大な信頼が寄せられる。これら全て威光効果だ。ファッション店もデザイナーの写真に添えてどのような意図でデザインしたかの一言があると人々は買う気になる。有名な人が好きなスタイルや色とか、パリやニューヨークで人気という言葉を解説で付けたり、週刊誌の切り抜きをパウチしてPOPとして活用したりすると効果抜群だ。人々は単に洋服が欲しいだけでなく、その裏側にあるストーリーを楽しんでいるのだ。また迷っている顧客には、私も愛用していますという従業員の一言が購買につながるケースが多い。顧客は購入した品物に対して「よかったかしら?」と不安を抱くことがよくあるものだ。そのような時に「大変よいお買物をなさいました。お目が高いですね」というレジでの一言が安心を生む。これらも威光効果だ。コストコのワイン売り場では「パーカーポイント」(ワインの権威パーカー氏が毎年数多いワインを評価しポイント付け)をお勧めのワインにつけている。顧客はポイントを参考にしながら、予算を考えながら購入している。


a)顧客は店にハレを求める------------------------------------------------------------ 「ハレ効果の法則」
お客は明るい気持ちになれて何か発見がある楽しい店が好きである。何も売場をごちゃごちゃにせよと言っているのでない。売場の整理整頓は前提条件だが、そこに迫力があって、楽しく、エキサイトメントのある売場作りや陳列を展開することが重要だということだ。人間の日常生活にはハレとケがある。ハレは非日常的な晴れの時間と空間、ケは普段の暮らしのことだ。人間はケだけの生活を送っていると単調さに飽きてしまう。お客が店に足を運ぶのは、普段の生活と違う非日常性を期待しているからだ。米国では「販売は祭り・陳列は芸術」が売場作りの常識だ。時期にあったハレの雰囲気を作らないと、お客はその店に飽きてしまい来店してくれない。小売業は顧客の「飽き」との戦いだ。かつての繁盛店が駄目になるのは、顧客の「飽き」を打ち破れないからだ。そのため顧客の来店頻度に合わせて常に新鮮な「What’s New?(目新しい物は何かしら?)」を作らなければならない。そのため小売店はハレの日をどう設定し、どれだけ商品や売場を普段と変えられるかが問われる。シーズン性・祭事・記念日などに応じた品揃えや陳列は意識的に行わなければならない。雑誌プログレッシブグローサーによると、2015年のグローサリーストア顧客満足度調査でトレーダージョーが1位になった。要因は三つあり、従業員のフレンドリーな接客、ユニークで厳選された商品そしてエキサイティングな店の雰囲気が挙げられていた。にぎやかで魅力的なてがきPOPがエキサイトメント感を想像し、顧客に楽しさを提供している。
b)片面表示・両面表示はお客次第------------------------------------------------- 「コミュニケーションの法則」
商品やサービスの長所のみを示し、肯定的なイメージを形成しようというコミュニケーションの方法を「片面表示」という。それに対して、長所と短所の両方を示すのを「両面表示」のコミュニケーションという。例えば、麻の衣服を販売する場合に「麻は空気がよく通り涼しいので、夏服には最適です」という長所だけを述べたアプローチは「片面表示」である。それに対して「麻は空気が良く通り涼しいので、夏服には最適です。欠点はシワが出来やすいので、シワが気になる方には向きません」というように、長所と短所を述べるのが「両面表示」である。その効果の度合いは顧客の持つ情報と知識次第だ。お客に商品知識がない場合や、知的レベルが余り高くない場合には「片面表示」が効果的だ。一方、商品知識や知識レベルが比較的高い場合は「両面表示」が有効である。

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