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小売業トータルで年率2~3%しか成長しないが、Eコマースの成長は著しく15%程度の成長を記録している。そして総小売業(車や車部品ディーラーの売り上げを含む)に占めるシェアも8%に到達するところまで近づいている。そのためマスコミもEコマースに関連する記事でにぎわっている。しかしリアル店舗はいまだ消費者にとって必要な存在だ。タイムトレード社の調査によると、消費者の85%はリアル店舗でのショッピングを好んでいる。ネットショッピングの成長はリアル店舗のビジネスに大きな弊害を与えているように受け取られているが、リアル店舗は消費者に大いに利用されているのだ。店舗を好むのはベビーブーマーだけでなく、解答してくれたミレニアルズ(1980〜199年代に誕生した83百万人の人口層)の92%は店舗での買い物を増やしている。店舗での買い物を好む大きな動機は、買いたい商品を決断する前に「見て・触って感触を確かめてみたい」ということが85%を占めている。店内で良いエクスペリエンス(体験)を与えてくれると財布を喜んで開き、調査された消費者の82%は計画した以上に商品を買っている。多くの消費者はモバイル機器を商品・店舗そして価格比較に使用している(46%は最も近い店舗探し、50%は商品探し、60%は価格比較)。その他の興味ある調査結果は下記だ。

 ■米国の可処分所得の70%はベビーブーマー(1946年から1964年の間に誕生した75百万人の人口層)がコントロールしている。そのベビーブーマーは店舗を好む傾向がある。
 ■25〜34歳のミレニアルズ層は他の年代層よりオンラインショッピングをする
 ■消費者の90%近くは知識のある従業員からの助言があると商品を購入するし、買い物量を増やす
 ■調査協力者の63%は値段が同じであれば、カスタマーエクスペリエンスの良い店で購入する
 ■ショッパーはオンラインで商品や情報を集め、店舗でアドバイスを受けて購買の最終決断をする傾向がある

タイムトレード社のCEOアンブロシーノ氏によると、実際のところ顧客はリアル店舗におけるエクスペリエンスに価値を置いている。ショッパーはオンラインでショッピングをしたり商品を探し出したりするが、購買の最終決断をするために店舗に行き店の人のアドバイスを求めている。そのため小売業は商品や店舗に関する初期段階の問い合わせをネットでし易くし、価値の高い店舗における良い体験、知識の豊富な従業員によるクイックサービスの応対を提供できるクロスチャネル戦略が必要だ。そのため現在Eリテーラーは顧客を満足させるために、商品を「見る・触る・確かめる」機能の提供や、商品説明というサービスが必要だということを実感しているために、リアル店舗ロケーションを求めている。一方リアル店舗はよりパーソナルな進化したデジタルエクスペリエンスの提供を試みている。
リアル店舗の魅力の一つは「エクスペリエンス(良い買い物体験)」だ。顧客は買物をする時に「ハ・カ・タ」つまり「ハ=入り易さ」「カ=買い易さ」「タ=楽しみ易さ」の三つを求めているが、米国小売業はエクスペリエンスを「ハ・カ・タ」で実現しようとしている。その背景にある顧客の購買心理を2回に亘って実際例を挙げながら述べてみよう。




人間は感情の動物だ。理屈より感情が先に立つ。外観の感じが良い店舗はすべてがよく見えるというのも「初頭効果」だ(人は出会って1〜6秒で相手の印象を決定してしまう。つまり、最初に感じた 印象がとても重要で、後々の印象も決めてしまう)。これを心理学で「初頭効果」と言う。ハーバードビジネススクールの調査によると、流行る店と流行らない店の差は、人間の右脳に訴求しているか否かで決まるという。人間は感情の動物である。右脳(感情をつかさどる大脳)に「感じの良い店」というイメージを与えた後で、左脳(論理をつかさどる大脳)に「品揃えや価格」を訴求するという順序を踏むことが、売上げを上げ利益を上げるコツである。店舗作りの大事な要素の一つに「初頭効果」がある。これは小売業で例えると、最初にお客に「良い感じ」という印象をもってもらえた店は、他の機能も「良い」と評価されるように連合させてしまうということである。「あばたもえくぼ」である。そのため、店舗選択の80%はファサードと呼ばれる店の外観で決まるといわれているが、店の外観が清潔で、感じが良く、もしファッション店なら自分のおしゃれに対する期待を満たしてくれるのでないかというイメージが店全体から醸し出されていることが大切だ。逆にその店で働く従業員がファッションセンスの良いものを身につけていないと、連合の法則が働いてセンスの悪い店という判定を下されかねない。


お客が入っている店にさらにお客は集まる。行列しているラーメン屋があれば、人は並んでも食べたくなり行列はさらに長くなる。逆にお客が入っていない店に入るのはためらわれる。だからますますお客は入らない。これは人間の持つ「同調効果」という心理で、人と同じことをすると安心だという意識だ。冷やかしや時間潰しのお客を歓迎しなくてはならない。その人達はサクラとしての重要な役割(サクラパワー)を持つのだ。それと、水も空気も動かないと腐るように、店も動きがないと腐る。従業員がこまめに売り場に触れて清潔にし、陳列の整理整頓をしたりする動作が店内に動きを生んで、顧客は店に入り易く買物がし易くなる。何もせずに顧客が入ってくるのをじっと待っている姿は、逆に顧客を店に入りにくくする。同じことは商品の訴求方法にも言える。売れ行きの良いワインをさらに拡販したい場合は、売れ筋トップ10を発表するとよい。皆が買っている商品は安心するので、さらに売れる。男性化粧品コーナーで当店の売れ筋POPを付けた店も好調な売れ行きであった。代理購買(ご主人や息子用の男性化粧品を主婦が購買)され易い商品は、POPの情報が購買するときの判断基準になるからだ。


「形は知性に働きかけ、色は感情に働きかける」という言葉がある。人間の第一印象は、まず感情から形作られる。感情に働きかける「色」が人間の第一印象に与える影響は大だ。人間はまず五感を通して情報を得るが、その情報の約83%は視覚から得ている。そして視覚の約80%は色によって影響づけられている。その結果、計算上では人間の情報の7割弱(83%×80%=66%)は色で作られていることになる。それ程に色は大切なのだ。ロンドンのブラックフライヤーズ橋は、昔は自殺の名所であった。重厚感のある黒い橋は、曇りや雨の日の多いロンドンでは陰うつに感じられ、気の滅入った人を自殺に導いていたのかもしれない。ところが橋の色を明るいグリーンに変えたところ、自殺が3分の1に減った。色には人命を救うくらいの力があるのだ。このように色には人間の心理作用のみならず生理作用にも多大な影響を与える力があるので、色の使い方の善し悪しで来店客数も大きな影響を受ける。例えば赤という色は波長が長い為目に付き、興奮・力・バイタリティの印象を与え、副交感神経を刺激して胃腸の働きを良くするという長所がある。反面、痛さ・血・恐さ・暑さを呼び、興奮色である為に疲労感を覚えやすいなどの短所も併せ持つ。だからドラッグストアのクスリ売り場に赤を使いすぎると売り上げが落ちる。顧客が血の色を連想し、恐怖感を覚えるからだ。7-11がライバルのコンビニより売り上げが良い。ライバルは看板の色が寒色系で冬に寒々しく感じてしまう(同じ温度でも寒色と暖色では3度程度人々は差を感じる)。7-11は寒色と暖色を組み合わせ冬でも、夏でもお客に違和感を感じさせないことが、業績に差をつけている要因の一つに思える。色に関する詳細は、紙面の都合上述べられないが、興味のある方は拙著「目からウロコ販売心理学93の法則」を参考にして頂きたい。

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