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【2015年米国小売業業態別売上高】(単位:百万ドル)
業態
2015年 (構成比%)
2005年 (構成比%)
2015 vs 2005 (%)
 全小売売上高(自動車及び
 自動車部品ディーラーの売上除外)
3,620,687 (100.0)
2,800,976 (100.0)
+29.3
 スーパーマーケット
588,331 (16.2)
435,523 (15.5)
+35.1
 ウエアハウスクラブ&スーパーストア
440,142 (12.2)
271,920 (9.7)
+61.9
 ネットショッピング&メールオーダー
432,742 (12.0)
175,900 (6.3)
+146.0
 薬局・ドラッグストア
263,273 (7.3)
179,170 (6.4)
+46.9
 衣料・装飾品店
254,883 (7.0)
200,969 (7.2)
+26.8
 百貨店
164,701 (4.5)
215,266 (7.7)
▲23.5
 家具・室内装飾品店
105,376 (2.9)
109,120 (3.9)
▲3.4
 家電店
104,511 (2.9)
100,461 (3.6)
+4.0
注)2015年は速報値   (資料)United states Census

米国のセンサスによると2015年の小売業(自動車及び自動車部品ディーラーの売上除外)の売上高は約3.6兆円ドルを記録した。これは10年前の2005年と比較すると29.3%の成長だ。業態別にみるとネットショッピング&メールオーダーが146%増加するというダントツの成長ぶりで、売り上げ構成比でも2005年の約2倍の12%を占めた。価格を武器にしたコストコやウォルマートが属するウェアハウスクラブ&スーパーストアが61.9%成長し、構成比は12.2%になった。薬局・ドラッグストアもヘルスケアニーズの高まりと利便性を武器に46.9%と堅調に拡大し、構成比も7.3%を占めた。スーパーマーケットは最大の構成比の16.2%を占めているが、平均を少し上回る程度の伸びしかなく、食品の市場が他業態に浸食されているのが大きな要因になっている。一方、百貨店や家具はマイナス成長、家電店も伸びがわずかしかなく不振業態になっている。近年の人々のショッピングには二つの大きな変化が起きているが、これらがその要因となっている。一つは、買う場所としてネットの利用が増えたことと、業態間の壁がなくなったことだ。2014年の資料だが、チャネル利用度(2014年)調査でインターネット利用者が前年比4.6ポイントも増加している。ダラーストアも便利な小型ディスカウントストアとして利用され前年比2.7ポイントも増加し、大商圏のウォルマートの売り上げを奪っているとも言われている。一方ドラッグストアを利用する人が減少しているのは、他の業態がヘルス&ビューティー商材を積極的に取り扱っていることで浸食されているのだ。


【チャネル利用度(2014年)】
-
利用する人(%)
前年比
 増加業態
--
-
 インターネット
33
+4.6ポイント
 ダラーストア
65
+2.7ポイント
 ホールセールクラブ
57
+1.6ポイント
 スーパーマーケット
99
+0.1ポイント増
 減少業態 -- --
ドラッグストア
80
▲3ポイント
マスマーチャンダイザー&スーパーセンター
72
▲5.9ポイント
(資料)CDR

二つ目は、顧客がロイヤリティカードに距離を置き始めたことだ。ロイヤリティカードメンバーが2013年-2014年と2年連続し減少し、アクティブメンバーも現在50%を切っている状態だ。停滞している理由は、魅力の少ないカードプログラムだ。カードメンバーになっても長期的にみると2%程度しかお得さがないという報道もあり、消費者の興味は以前ほどでない。ポイントによる特典も魅力が乏しいケースもあり、例えばスーパーマーケットラルフスの場合、買い物金額が一定以上になると提携ガソリンスタンドでディスカウントになるが、1ガロン10セント程度だ(しかも給油量に制限がある)。高齢社会になり余り遠出をしなくなった中高年の人々には魅力が無いし、シティライフを求める車を持たないミレニアルズ(1982年〜2000年の間に誕生した8300万人の巨大消費者層)の人々にとって何もメリットが無い。
また顧客が自分の買い物データーが分析され、それがメーカーや卸などに売却されている現状を知ってプライバシーに対する不安を持ったり、商売のネタにされているのを気分良く思わない人も増えている。小売業もメーカーも、ロイヤリティカードから得た素晴らしい分析結果があっても、消費者はその通り動いてくれず、より有利な販促のある小売店へ行ってしまうので、プログラムを維持するコストに見合った売上・利益の見返りが無い。実際、顧客はメンバーになっている店よりディスカウント率のより大きい店の方を利用したりする。また貯めたポイントも有効期限があるため失効してしまい失望する経験も多々ある。
これらの状況に対応するために、米国の流通業では下記の事柄が起きている。まず第一に、店舗の大量閉鎖だ。すでに1990年代頃から「米国には店舗があり過ぎる」との言葉が頻繁に使われていた。それから20年間店舗は増え続け、現在では「あり過ぎる」をはるかに超えた数の店が存在している。その結果、今年は店舗の閉鎖に踏み切る小売業者が増加している。例えば、オフィス用品カテゴリーキラーNo.1のステープルズは赤字を計上している50店舗を閉鎖し、業績改善に向けた計画に着手している。スポーツオーソリティは3月2日に連邦破産法第11条の適用を申請し、事業再編を目指して140店舗を閉鎖する計画だ。その他ディスカウントストアから百貨店チェーンに業態変化したコールズも18店舗を閉鎖する。保有する不動産の一部売却で資金を工面するなど経営不振を乗り切ろうと苦労を重ねているシアーズ・ホールディングスは、売上高の減少が続く店舗の閉鎖計画を加速させている。百貨店メイシーズも40店舗を閉鎖し、マンハッタンやサンフランシスコの旗艦店舗の売却も考えている。マンハッタンの店に行っても、建物がランドマークになっている関係上、訪問者は多いが実際に買い物袋を持っている人は少ない。そして、米国小売最大手の肩書を持つウォルマートも同様だ。インターナショナル事業を含む269店舗、国内では小型店舗の「ウォルマート・エクスプレス」の全店やスーパーセンター16店舗を含み154店舗を閉鎖する。ターゲットは基盤の合理化を図るため、数十店舗を閉鎖するし、調剤部門はCVSヘルスケアに売却した。ウォルグリーンもかつては17時間に1店舗新店をオープンしていたが、今では既存店重視政策で店舗数は伸びていない。
二番目に、来店した顧客に良い買い物体験(Well-Experience)を提供するために顧客サービスの徹底を図っている。「我々の仕事は顧客を幸せにすることである。満足した顧客だけが再来店してくれるという事を常に覚えておきなさい。顧客無しに我々のビジネスは存在しない。利益はご褒美であり、決して権利ではない。つまり満足して頂いた顧客からの賞賛の証である」これは顧客満足を重視するスチューレオナードの社長(世界一の売り場生産性を挙げ、ギネスブックに登録された米国東海岸のスーパーマーケット)の言葉だ。心理学の「返報性の法則」という考え方によれば、親切にしてくれた人やお世話になった人にはお返しをしたくなる(好意の返報)。逆に、嫌なことをされた人には仕返しをしたくなる(悪意の返報)。良い場合も悪い場合も、人間には「返す」という気持ちがある。店舗に置き換えてみると、店に親切にしてもらったり、感じの良い雰囲気、センスの良い品揃えなどに好印象を抱くと、お客はその店をひいきにし、固定客になる。逆に嫌な思いをすると、店を離れ、口コミで悪評をまく。良い経験をした人は3〜4人に話し、悪い経験をした人は10〜12人に口コミすると言われている。良くも悪しくもこれら全てが顧客の返報なのだ。米国のリアル店舗がネットに押されて停滞しているのは、顧客の悪い返報の法則が働いているとみることもできる。標準化・平準化や利益率の高いPB商品の拡販という自らの都合を優先する店舗の姿勢をお客は敏感に感じ取り、客離れを起こしているのかもしれない。そこで今力を入れているのが「顧客サービス」だ。「顧客サービス」は一昔前より遥かに良くなっている。スーパーマーケットやドラッグストアの店内で探し物をしていると、すぐ「How may I help you?(お手伝いをいたしましょうか)」と声をかけてくる。またドラッグストアでは「ヘルスアンバサダー」や「ヘルスガイド」と呼ばれるコンシェルジュの役割の人を店に配置し、買い物客のお手伝いをしている。ドラッグストアNo.2のCVSヘルスケアでは、「Customers(カスタマーズ)」の頭文字を取って次のような標語を作りカスタマーサービスに励んでいる。

 C = Customers are why you are here.  お客様のお蔭で我々があるのです。
 U = Understand their needs.  お客様のニーズを理解しなさい。
 S = Strive to be your best.  ベストを尽くしなさい。
 T = Try, Try, Try  行動に次ぐ行動。
 O = Open check-stands when needed.  お客様を待たせないため、必要な時はすぐ新しいレジを開きなさい。
 M = Make yourself available.  いつでもお客様の役に立つようにしなさい。
 E = Every customer is special.
 どのお客様もとても大切な方々です。
 R = Receive all customers with a smile.
 いつもすべてのお客様に笑顔で接しなさい。
 S = Silence isn’t always golden…Speak up.
 沈黙は必ずしも金でない。お客様に話しかけなさい。

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