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2012年8月2日にウォルグリーンはブーツ社の株45%を、そして2014年12月に残りの55%を取得し、2014年12月31日会社名をWalgreen Co.からWalgreens Boots Alliance Inc.(WBA)に変更しホールディング会社となった。
2013年3月19日ウォルグリーン、アライアンスブーツ、そして米国大手医薬品卸のアメリソースバーゲン社は色々な分野で提携をした。特筆すべきは、米国におけるブランド及びジェネリック調剤薬の供給と店舗への配送はアメリソースバーゲン社が一手に行う10年契約を結んで2014年8月31日までに委託完了したことだ。一方、調剤薬以外のOTCやその他ヘルスケア商品はメーカーや卸から購入している。
また2015年10月27日米国31州およびワシントンDCで4561店舗を展開する全米第三位のドラッグストア・ライトエイドの買収を試み、株主の承認や独禁法がらみで裁判所の認可が必要だが、2016年の下半期に合併が完了する予定だ。このような大きな変化を起こしているウォルグリーン・ブーツアライアンス社の最近の状況について述べてみよう。
2015年8月31日に合併以来初めての決算を迎えた。103,444百万ドルと10兆円を超える規模のドラッグストアの誕生だ。


下表が示す通り、小売業全体の成長率は2015年第4四半期で1.3%程度と低成長だが、Eコマースは15%の高度成長をしている。


【Walgreens Boots Alliance Inc.のファイナンシャルデータ】
項目
2015年
(百万$)
前年比
(%)

(%)
 売上高
103,444
+35.4
100.0
 売上原価
76,520
+39.6
74.0
 粗利益
26,924
+24.8
26.0
 販売管理費
22,571
+25.5
21.8
 営業利益
4,668
+11.3
4.5
 純利益
4,220
+118.4
4.1

現在WBAは3つの事業部門(Retail Pharmacy USA、Retail Pharmacy International、Pharmaceutical Wholesaler)に分かれ、36万人の従業員が働いている。売上げの77%はRetail Pharmacy USA(ドラッグストアウォルグリーン及びデュエンリード)の8173店舗であげている。Retail Pharmacy Internationalは主にブーツの店名でヨーロッパで展開している。店舗数は4582店舗、売上げは8%強の構成比だ。売上げの約15%の構成比を占めるファーマシーホールセール事業部門は薬、ヘルスケア商品等を302配送センターから米国以外の12カ国、14万カ所以上のファーマシー、医師、病院やクリニックに供給をしている。


【事業部門別売上】
事業部門
2015年売上金額
(億$)
構成比
(%)
 Retail Pharmacy USA(店名:Walgreen、Duane Reade)
810
77.1
 Retail Pharmacy International(店名:Boots等)
88
8.4
 Pharmaceutical Wholesaler
153
14.5
 合計
1051
100.0
 (注)合計の1051億ドルには17億ドルの事業区分間の売上げを含む。

【店舗数】
事業部門
展開国
店舗数
構成比
(%)
 Retail Pharmacy USA計
-
8,173
64.1
 -
 USA
8,051
63.1
 -  Puerto Rico
121
0.9
 -  U.S.Virgin Islands
1
0.0
 Retail Pharmacy International計  -
4,582
35.9
 -  United Kingdom
2,510
19.7
 -  Mexico
1,028
8.1
 -  Chile
451
3.5
 -  Thailand
261
2.1
 -  Norway
161
1.3
 -  Ireland
80
0.6
 -  The Netherlands
66
0.5
 -
 Lithuania
25
0.2
 総合計
-
12,755
100.0

リテールファーマシーUSA事業部門は、米国50州、ワシントンDC、プエルトリコ、USバージンアイランドでウォルグリーンやデュエンリード(主にニュ−ヨークマンハッタンで展開。ウォルグリーンが買収したとき店名を変えようとしたが、余りにもニューヨーカーに親しまれているドラッグストアであったために店名を残した)の店名で、2015年8月31日現在8182店舗を展開しており、米国ドラッグストアのマーケットリーダーとなっている。この事業部門はWBAの売上げの77%の構成比を持っている基幹部門だ。現在米国民の76%はウォルグリーン及びデュエンリードの店舗の5マイル以内に居住し、オムニチャネル機能も積極的に進化させているため、消費者にとっていつでも利用できる身近な存在となっている。


【Retail Pharmacy USAの2015年度実績】
項目
2015年
(百万$)
前年比
(%)

(%)
 売上高
80,974
+6.0
100.0
 既存店舗ドラッグストア売上
+6.4
 調剤売上
+8.2
 既存店舗調剤売上
1
 粗利益
21,822
+1.2
26.9
 販売管理費
18,247
+1.4
22.5
 営業利益
3,890
-7.2
4.8
 処方箋枚数
723百万枚
+3.5
 処方箋枚数(30日換算)
894百万枚
+4.6
 店舗&拠点数
8,182店舗
-127店舗

2015年度の売上高は、店舗&拠点数が8182店舗と前年より127カ所減少した状況下、前年比6.0%の810億ドルの成長をした。既存店の成長に支えられた業績だが、特に調剤の売上げの伸びが大きく、既存店舗の調剤が9.3%も成長したのは驚きだ。粗利益率は食品構成比の増加により前年の28.2%から26.9%へと下落し、その結果営業利益率も前年の5.5%から4.8%へと落ちてしまった。既述の通り、店舗数は2年連続減少し、かつての17時間に1店舗オープンするという出店競争の時代は終わり、既存店舗を大切にする方針に変わっている。
売上げ構成比をみると、2015年度で調剤が66%を占めており、ウォルグリーンのビジネスの核となっている。90日処方箋を合算した処方箋枚数は723百万枚だが、30日処方箋に換算すると894百万枚になり、全米小売処方箋の20%弱のシェアを持ちマーケットリーダーだ。保険会社や政府等の第三者機関を通しての処方箋の売り上げが96.8%を占めており、利益の多い現金客は3.2%まで落ちてしまった(かつては現金客の方が多かった)。調剤薬の長期展望は高齢社会、寿命の延長、無保険者の減少、効果的な新薬、クオリティ・オブ・ライフ(質の高い生活)、ACA(通称オバマケア)と呼ばれる国民皆保険を目指した新医療保険制度)の施行などにより、順調な成長が見込まれており調剤薬はドラッグストア成長のドライバーとなっている。一方、政府の医療費高騰抑制政策や、保険会社などの第三者機関からドラッグストアに対する還付金の低下、30日調剤より利益率の低い90日調剤の増加は調剤薬の利益率の低下を意味しており、より強いバイイングパワーの発揮とコストの低下が求められている。そのためブランドより利益率の高いジェネリックドラッグの売上げ向上に力を入れているが、価格もブランドより遥かに低いため、売上げの伸びに対してはネガティブな結果を呼んでいる。


【商品売上構成】
項目
2015年
(%)
2014年度
(%)
2013年度
(%)
 調剤
66
64
63
 フロントエンド
34
36
37
 合計
100
100
100

ウォルグリーンのファーマシーは米国民のヘルスケアのフロントラインであり、医療費高騰抑制やプライマリーケア医師不足の現状下なくてはならない存在になっている。そのためウォルグリーンの74000人のヘルスケアサービス提供者(薬剤師、テクニシャン、看護師、その他ヘルス関連専門職)の活躍は地域のヘルスケアに非常に貢献している。彼らは薬の提供のみならず予防接種(全米で一番行っているのはウォルグリーン)や他の予防ケア、ドラッグストア店内にあるヘルスケアクリニック(400カ所以上)、メディケーションセラピーマネージメント(薬剤治療管理)、疾病管理、がん・臓器移植・HIV・小人症などの治療のためのスペシアリティファーマシー(7カ所)、オンサイトファーマシー(病院内でのファーマシー機能)、メールサービス調剤施設(2カ所)の職務に従事している。

ドラッグストア店舗での取扱いアイテム数は約2万アイテムだが、NICE, Delish,
Well at Walgreensのブランド名のプライベートブランドも含まれており、現在15%程度の売上げシェアだが、PB比率を25%まで持っていく計画だ。競合との差別化や利益率の向上に役立っている。
ウォルグリーンのネットは20万アイテム品揃えされており、ウエブサイトには月間平均68百万のビジットがあり、調剤、一般品の注文や写真のDPE等多方面において活用されている。またWalgreen.comで注文すると、指定した店舗で1時間程度で商品を受け取れる「Web pick-up」プログラムを展開している。
ロイヤリティプログラムであるバランスリワードのアクティブメンバー数(2015年8月31日までの6カ月にウォルグリーンを利用した客)は85百万人で全米最大のメンバー数を誇る。


この事業部門は2015年8月31日現在8カ国で展開しており、ヨーロッパにやタイではBoots 、チリではFarmacias Ahumada、そしてメキシコではFarmacias Benavidesの店名で4582店舗あり、ヨーロッパにおいてはマーケットリーダーとなっている。またNo.7、Boots Pharmaceuticals、Botanics、Liz Earle、Soap&Glory等のPBは長年消費者からの信頼が厚く、競合との差別化に非常に役立っている。英国では「Order and Collect」プログラムを展開しており、ブーツのネット(boots.com)で3万アイテムの中から午前8時までに注文を出すと、翌日指定した店舗で商品を受け取れる。ブーツはイギリスにおいて眼鏡ストアを637店舗展開しており、その分野でトップの地位を占めている。眼鏡店舗の30%はブーツ店内で残りはフリースタンディングストアで展開している。

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