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前月号で消費者の大きな変化を述べたが、今月及び来月号では消費者の変化に対し小売業がどのように対応し、変化しているかについて述べてみよう


下表が示す通り、小売業全体の成長率は2015年第4四半期で1.3%程度と低成長だが、Eコマースは15%の高度成長をしている。


【米国小売業とEコマース】
小売総計
売上(百万ドル)
Eコマースシェア
前年同期比(%)
小売総計
Eコマース
(%)
小売総計
Eコマース
2015年第4四半期
1,184,753
89,078
7.5
1.3
14.7
2015年第3四半期
1,184,473
87,509
7.4
1.6
14.7
2015年第2四半期
1,171,453
83,862
7.2
1.0
14.3
2015年第1四半期
1,152,986
80,451
7.0
1.8
14.8
(資料)Census

そのため大手小売業はネットと店舗を融合させた「いつでも・どこでも」を可能にするオムニチャネル化を進めている。またウォルグリーンでは、店舗とネットの両方を利用する顧客は店舗だけを利用する顧客の3倍以上の売上げと利益において価値があると分析をしており、それらの調査結果もオムニチャネル化に拍車をかけている。しかしあれだけ力を入れているウォルマートでさえ、まだネットの売上げは総売上げの2.5%しかない。アマゾンに比べて品揃えの魅力度が少ないのが大きな要因になっている。小売業の場合ネットで注文した商品は店舗で受け取る顧客が意外と多く、4割程度いる。そして店舗に来た人の多くがついで買いをしているので、ネットから店舗への送客機能にもなっている。何故ネットで注文した商品を店に取りに行くのが普及しているかというと、家に配達してもらうと多くの場合送料は有料だが店舗に取りに行くと無料、家に送ってもらうと玄関先に置かれた商品が盗まれる心配がある(家の人への直接手渡しは追加料金が取られる)、荷物が送られてくるのを待つのは面倒、プライバシーの問題等の理由がある。ドラッグストアによっては、ネットで注文された商品を1時間以内に袋詰めし、店舗に取りに来た顧客に商品を渡せる「ウェブ・ピックアップ」プログラムを展開している。またネットで購入した商品の支払いや返品を店舗で実施している。


チャネル利用度を見てみると、インターネットは2014年度4.6ポイント上昇して33%になった。米国でネットショッピングをする一番の理由は「店舗までの移動時間、営業時間を気にせず買い物ができる」等の便利性だ。ダラーストアの利用率は2.7%増の65%、ホールセールクラブは1.6ポイント増の56.8%になっている。一方スーパーマーケットは変わりなしで、99%の人々が利用している。一番利用率が減少したのはマスマーチャンダイザー&スーパーセンターで、5.9ポイントの下落をし、71.5%になった。消費者が便利性に欠けるチャネルの利用を避けている傾向がうかがえる。そのためウォルマートでは、ネット販売を強化し、実店舗では1200坪程度のネイバーフッドマーケットの強化や、コンビニエンスストアのテストマーケティングをしている。ウォルマートのCEOが述べているとおり「便利性に欠けている小売業の崩壊」が始まっているのだ。


【チャネル利用度(2014年)】
-
利用する人(%)
前年比
 増加業態
-
-
 インターネット 
33
+4.6ポイント
 ダラーストア 
65
+2.7ポイント
 ホールセールクラブ 
57
+1.6ポイント
 スーパーマーケット 
99
+0.1ポイント増
-
-
 -
 減少業態
-
-
ドラッグストア 
80
▲3ポイント
マスマーチャンダイザー&スーパーセンター 
72
▲5.9ポイント
(資料) CDR


インスタカートという購買代行業は、消費者がパソコンやスマートフォン、タブレットなどのオンライン上で提携先のスーパー(例えばホールフーズ、セーフウェイ、コストコ)から必要な商品を選ぶと、同社と契約した一般人(パーソナルショッパー)が買い物をして届けてくれるシステムだ。一回の買い物が35ドル以上で、買い物や配達にかかる手数料が2時間以内の配達は3.99ドル、1時間以内は5.99ドルだ。パーソナルショッパー向けのアプリケーションが開発されており、そこには最短でどの道を通ればスーパーに行けるか、またスーパーのどの棚に目的の商品があるかまで指示を出してくれる。2016年からは年会費149ドル払うと2時間以内の配達は回数無制限で無料でしてくれる。インスタカートは倉庫や車など物流インフラを一切持たないため、配送インフラを物流会社に頼るよりはるかに低コストで運営できる。パーソナルショッパーも時給15ドル程度稼げるので、空いている時間を使ったちょっとしたお小遣い稼ぎになる。アマゾンも地域により食料品を即日配送してくれる。買い物も「買い物に行く」時代から「買い物が来る」時代に入った。


ニューヨーク5番街のユニクロがスタバを導入して休憩客で溢れている。アメリカンカジュアルの大手アーバンアウトフィッターが、店内でカフェをオープンしてサンドイッチ、スープ、スイーツやコーヒーを提供している。家具のイケアでは朝食・昼食・夕食の提供で多くの顧客を集めている。コストコではイートインコーナーでホットドッグやピザそしてサラダを低価格で提供し、昼食時には長い列ができている。百貨店でもバー、レストランやコーヒーショップを導入している。ドラッグストアでは加工食品に加え、惣菜、サンドイッチ、カット野菜やフルーツ、量り売りのアイスクリーム、ドーナツ、焙煎したてのコーヒーの提供、イートインコーナーの設置をしてフードを積極的に取り入れている。今ではCVS、ウォルグリーン、そしてライトエイドというドラッグストアのトップ3企業は米国食品小売業のトップ50に入り、ターゲット、ホールフーズマーケット、そして7-イレブンより大きな食品の売上げを上げている。食品を強化するのは顧客の来店頻度を高める戦略だ。来店頻度増加のために来店ポイントを提供する小売業もある。これはスマホにショップキックというアプリをダウンロードすると、店の入り口のセンサーに反応して自動的にポイントが貯まる仕組みだ。


人々の健康に関する関心は高まり、ヘルス&ウェルネス分野の充実が小売店選択の重要な要素になっている。そのためオーガニックやナチュラル商品の品揃えが食品、健康食品そしてビューティーケア商品にまで及んでいる。
ドラッグストアはヘルスケアに関連したビジネスであるため、ナチュラル、オーガニック、そしてグルテンフリーの食品を強化している。CVSは戦略として売り上げの1%強あったたばこ販売を止めたが、代わってヘルスフードの強化をしており、10億ドルの売上げ目標を掲げている。ヘルスフードは顧客の健康作りに良いだけでなく、店にも良い。価格志向が余り強くないカテゴリーなので、店に利益を運んでくるからだ。そのためヘルスフードを目的来店性カテゴリーと位置づけている。
ちなみに、米国ではフードアレルギーが増加し一大問題になっている。1億人が何らかのフードアレルギー症状を持ち、1997年〜2011年の間に子供のフードアレルギーは50%増加。フードアレルギーにはっきりした治療法はなく、その食品を避けるしかない。そこで登場したのが「free-from 食品カテゴリー」だ。「フリー・フロム」とは「ない」「存在しない」という意味で、フリー・フロム食品とは原材料からアレルギーの原因となる物質や、消費者から健康に悪いと思われている物質を取り除いた食品のことを指す。「グルテン・フリー(gluten-free)」「ラクトース・フリー(lactose-free)」「抗生物質フリー(antibiotic-free)」「ホルモン剤フリー(hormone-free)」「非遺伝子組み換え(non-GMO)」食品などだ。これらはヘルス&ウェルネスの食品分野で大きなトレンドとなっている。市場は急成長しており、グルテン・フリーを謳う食品は2014年382億ドル市場で前年比14%、2011年比60%近くも増加。「非遺伝子組み換え(non-GMO)」食品市場は2014年、100億ドルを突破し、前年比15%、2011年比50%の増加だ。その物質が科学的に有害だと証明されているわけではないが、フリー・フロムは付加価値を訴求できる売れる言葉として食品メーカーが積極的に使っており、今後もフリー・フロムは注目されるカテゴリーとなっている。

ディスカウントストアやスーパーマーケット等の小売業も調剤薬やOTC医薬品に力を入れており、今では調剤薬の43%そしてOTC医薬品の65%の売上シェアはドラッグストア以外の小売業で販売されている。インストアクリニック(小売店内クリニック)に関してウォルマートは米国で一番の店舗数になるという目標を立てている。このように多くの業態がヘルスケアに力を入れるのは、高齢社会による需要の拡大や、成長する数少ない市場であるからだ。


  

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