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経済誌フォーブスは、セルフメディケーションの担い手、プライマリーケアへの貢献、医療費高騰の抑制等に大きな役割を果たすドラッグストアを、これからの数年間追い風が吹く代表的なビジネスとして取上げている。2014年度の北米のドラッグストア業態は、2013年の4.2%を上回る5.7%の成長を遂げた。チェーンドラッグは5.8%成長したが、その主要因は既存店舗が4.6%成長したことだ。ドラッグストアトータルの店舗数は2013年よりわずかな減少(▲16店舗)を記録したが、ドラッグストアが昔のようにむやみやたらと新店舗を作らず、利益を考えた出店をし、既存店舗を大切にしているのが分かる。

【2014年度北米(米国&カナダ)ドラッグストア業界】
項目
実績
前年比
構成比
 チェーンドラッグ売上
2891億ドル 
+5.8%
75.4%
 独立ドラッグ売上
943億ドル
+3.9%
24.6%
 ドラッグストアトータル売上
3834億ドル
5.7%
100.0%
 ドラッグ店舗当り売上
8.6百万ドル
-
-
 チェーンドラッグ売上/坪
37548ドル
21.7%
-
 チェーンドラッグ既存店売上伸長率
+4.6%
+1.5%ポイント
-
 チェーンドラッグ税引き後純利益率
1.5%
+0.1%ポイント
-
 チェーンドラッグ税引き後純利益率
25066店舗
+193店舗
56.0%
 独立ドラッグ店舗数
19695店舗
▲209店舗
44.0%
 ドラッグストアトータル店舗数
 44761店舗
▲16店舗
100.0%
 チェーンドラッグ平均店舗売場サイズ
 305坪
-
-
(資料) Chain Drug Review 

上記表の通り、独立ドラッグ(10店舗以下のドラッグ企業)も3.9%の成長と健闘していることに驚かされる。21世紀には生き残れないといわれた独立ドラッグがしっかりと成長しているのは、高い顧客満足度によるものだ。特に調剤において消費者の評価が一番高いのが独立ドラッグで、家族全員の健康状態を把握している専門性、待たせない調剤、大手ドラッグでは在庫しない調剤薬の品揃え、なじみの薬剤師(大手は転勤で始終変わる)、近隣の医師を定期的に訪問することによる必要な薬の情報と在庫、マッケソンなど大手薬卸による経営サポートなどが功を奏している。また大手ドラッグが手を出しにくいホームヘルスケア(介護・看護用品)に力を入れているのも大手との大きな差別化になっている。

 


2014年度764億ドル(前年比+5.8%)の売上げを記録した業界のリーダーウォルグリーンは、2014年12月アライアンスブーツとの完全合併を実施し、社名もウォルグリーン・アライアンス・ブーツINC(WBA)に変えた。グローバルドラッグストアの誕生だ。2015年の決算からWBAの数値になるが、2015年は1053億ドル、そして2016年は1233億ドルが計画されており、ドラッグストア業界に1000億ドル企業の出現だ。  このようにグローバルに躍進を続けるWBAは、25ヶ国で320,000人の従業員抱え、小売りビジネスを見ると11ヶ国で12,800店舗のドラッグストア&ファーマシーを展開している。卸業分野では25ヶ国で340の流通センターを展開し毎年180,000ヶ所のファーマシー、医師、ヘルスセンターそして病院へ医薬品を提供している。

 

 


下記の表の通り、調剤はドラッグストアの商品構成において64%を占めるという圧倒的な核部門である。そして今では調剤の無いドラッグストアは、ドラッグストアとして認められていない。調剤薬市場は高齢社会の到来や国民皆保険を目指したオバマケアの施行により、順調に拡大すると考えられており、2014年は6.8%、2015年は6.4%、そして2019年まで年率平均5%台の成長があると予測されている。調剤薬はロイヤルカスタマー創りにも大変役立つので、各ドラッグストアは益々力を入れている。

 

 

 
【2013年度チェーンドラッグストア商品構成】
 部門
売上高
($億)
構成比合計
(%)
構成比(調剤除く)
(%)
 調剤薬
1682
64.3
-
 OTC&ヘルスケア
275
11.0
30.8
 食品
152
10.5
29.4
 パーソナルケア
81
5.8
16.2
 化粧品/フレグランス
14.5
3.1
8.7
 消耗雑貨
68
2.6
7.3
 ジェネラルマーチャンダイズ
52
2.0
5.6
 事務用品/文房具
18
0.7
2.0
 合計
2615
100.0
100.0

【調剤薬の売上金額伸長予測】
 年度
前年比
 2013年
+0.6%
 2014年
+6.8%
 2015年
+6.4%
 2016年
+5.1%
 2017年
+5.2%
 2018年
+5.4%
 2019年
+5.9%
(資料) Chain Drug Review 


アマゾンに代表されるネットショッピングに対抗するため、ドラッグストアはより狭商圏と高来店頻度政策を取っている。そのため、今までのHBC(健康美容商品)にプラスして、コンスーマブル(コンビニエンス食品+消耗雑貨)を強化し、「ヘルス&デイリーリビングストア」に変革している。今までの加工食品、スナック菓子、飲料水、アルコールに加えてフレッシュフード(カット野菜/果物/サンドイッチ/お寿司/コーヒー/ジュース)の強化や、店内での飲食を可能にするイートイン機能を充実させている。また使用頻度の高い消耗雑貨の品揃えの充実や、レッドボックスと呼ばれるレンタルビデオ機(1日1ドルでレンタル)・コピー機・ロータリー機・写真のプリント機の設置、ローンの取扱いや宅急便の取扱いをして来店頻度を高める工夫をしている。

 

 


 

医師の処方箋に従った薬を提供する伝統的なファーマシー機能から、予防・診断・軽医療の治療、薬・サプリメント・介護&看護商品の提供やカウンセリング・服薬管理をするヘルスケアステーションを目指している。そのためドラッグストア店舗、ヘルスケアクリニック、スペシャリティファーマシー(がん、エイズ、臓器移植、筋ジストロフィー等の患者用のファーマシーで、薬の提供及び疾病管理を行う)にヘルスケアスタッフ(薬剤師、テクニシャン、上級看護師等)が従事し包括的なヘルスケアを提供している。ちなみにウォルグリーンは予防接種の件数では全米No.1で、2014年度は900万接種を実施した。

 

 

 


多くのドラッグストアは、顧客が「いつでも・どこでも」買い物ができるよう、リアルとネットの融合型オムニチャネル機能を展開している。ドラッグストアがネットに力を入れる背景には、顧客が「いつでも・どこでも」機能を求めていることもあるが、実は店舗とネットの両方を活用するお客は、店舗のみの利用客の3倍の購入額があるからだ。ちなみにウォルグリーンのネットは20万アイテムの商品の品揃えがあり、ネット商品の注文・支払い・受け取り・返品はリアル店舗で行える。

 

 

 

 

 


顧客がドラッグストアの商材で必要性が生じた時に、まず自社チェーンを思い出してもらえるように、企業ブランディングを強化し、モノを売る前に「企業の信頼」を訴求している。例えばウォルグリーンでは、顧客から「My Walgreen(私の敬愛するウォルグリーン)」と言われる存在になることを目指し、「企業理念(「The Pharmacy America Trust」(アメリカの国家・国民に信頼されるファーマシーを創り、地域の人々の健康生活に貢献する)」を再度重要視し、「ビジョン」として「My Walgreen for Patients to Get Well, Stay Well and Live Well」(病気の回復、健康維持、質の高い日々の生活のために欠かせない「私のウォルグリーン」とお客様から呼ばれる存在になる)を掲げている。これらを通して今までの効率主義の「自社中心の発想」から「顧客中心の発想」へ変革している。

 

 


「他企業との差別化」及び「利益の向上」という観点からプライベートブランド(PB)の開発に力を入れているが、最近ではアマゾン対策としてでも活用している。それはPB商品なら、アマゾンと価格比較されないからだ。下記の図表はチャネル別PBシェアだが、ドラッグストアは金額ベースで16.9%だ。
ウォルグリーンは23%のPB売上構成比を持つが、30%に上げることを目指している。そのためアライアンスブーツ社との合併により、彼らの有名なPB製品である「No.7」に代表されるビューティーケアのPBを強化している。一方No.2ドラッグストアのCVSは、現在17%程度のシェアを25%に上げることを目標にしている。

【チャネル別PBシェア】
 販売高
グローサリーストア
(前年比)
ドラッグストア
(前年比)
コンビニエンスストア
(前年比)
 金額ベース
18.2%
(0.0ポイント)
16.9%
(+0.6ポイント)
1.7%
(+0.1ポイント)
 数量ベース
+6.8%
21.9
17.6
(+1.0ポイント)
2.4
(+0.1ポイント)


無機質なネットショッピングとの差別化の為に「Well Experience(快適買い物体験)」を戦略の一つとし、快適な「売り場空間」と「おもてなし接客」に力を入れている。そのため買い物のお手伝いをするヘルスアンバサダーという、コンシェルジュの役割をする人の配置を始めた。また「Yes, I Canサービス」を励行し、出来るだけお客の要望を受け入れているが、店舗にない商品は48時間以内にお取り寄せをしている。

 


 

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