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米国の小売業はネットの浸食に頭を悩ましている。何しろ、下記の表の通り小売業全体では年率4%弱の成長しかないが、Eコマースは15%程度成長しているからだ。

【2015年第一四半期小売りに占めるネット販売シェア7.0%、成長率14.5%】
 各四半期
売上金額(百万ドル)
Eコマース
シェア(%)
前年同期比(%)
小売り合計
Eコマース
小売り合計
Eコマース
 2015年第1四半期
1,151,196
80,259
7.0
1.6
14.5
 2014年第4四半期
1,168,601
77,558
6.6
3.8
14.0
 2014年第3四半期
1,167,011
76,172
6.5
4.1
15.6
 2014年第2四半期
1,160,023
73,586
6.3
4.3
15.0
 2014年第1四半期
1,133,058
70,102
6.2
2.1
13.2

その中でもアマゾンの成長は著しく、2011年に米国小売業ランキングで10位になったと思ったら、2012年には8位、そして2013年には下記の表の通り前年比21.9%アップの74452百万ドルの売上げで5位となった。そして2〜3年で2位になりウォルマートを猛追するとみられている。このアマゾンに代表されるネットの成長に引っ張られ、無舗販売の小売業に占める比率は10%(ネット自体は7%)のシェアを占めるようになった。


【2013年米国小業売上高ランキング】
順位
企業名
決算日
売上高
($百万)
前年比
(%)
純利益
($百万)
前年比
(%)
店舗数
1
 ウォルマート
2014.1.31
476,294
1.6
16,695
-6.0
10,942
2
 コストコ
2013.9.1
102,870
6.0
2,039
19.3
634
3
 クローガー
2014.2.1
98,375
1.8
1,519
1.5
2,640
4
 ホームデポ
2014.2.2
78,812
5.4
5,385
18.7
2,263
5
 アマゾン
2013.12.3
74,452
21.9
274
-
-
6
 ターゲット
2014.2.1
72,596
-1.0
1,971
-34.3
1,917
7
 ウォルグリーン
2013.8.31
72,217
0.8
2,450
15.2
8,116
8
 CVSヘルス
2013.12.3
65,618
3.1
6,268
11.2
7,660
9
 デル
2013.2.1
56,940
-8.3
2,372
-32.1
-
10
 ロウズ
2014.1.31
53,417
5.7
2,286
16.7
1,832
11
 ベストバイ
2014.2.1
42,410
-3.7
532
-
1,968
12
 アリマンタション・クシュ・タール
2014.4.27
37,957
6.8
812
41.8
8499
13
 シアーズ・ホールディングス
2014.2.1
36,188
-9.2
-1,365
-
2,429
14
 セフウエイー
2013.12.2
36,139
0.2
3,507
488.0
1,346
15
 パイロット・フライング
2013.12.3
30,430
4.1
NA
-
650
16
 パブリックス
2013.12.2
28,917
5.2
1,654
6.6
1,079
17
 メイシーズ
2014.2.1
27,931
0.9
1,486
11.3
840
18
 XTJ
2014.2.1
27,423
6.0
2,137
12.1
3,219
19
 アホールドUSA
2013.12.29
26,949
4.5
1,097
-
767
20
 ライトエイド
2014.3.1
25,526
0.5
249
111.2
4,587

ネットの成長に影響を受けたリアル店舗は来店客数の減少時代を迎え、来店した顧客の購買意欲を喚起してなるべく購買点数を上げる努力をしているが、その一つとして買い物かごを顧客に持たせることに非常に力を入れている。


お客は、買い物かごを持たないと2〜3点程度しか買わない。多くの商品を持てないので、購買意欲が抑制されるのだ。一方、買い物かごを持つと、買う気が湧いてきて買う量が増える。このように買い物かごを持つか持たないかで買い物に対するモードが違ってくる。実際、米国のホームファーニシングストアのベッド・バス&ビヨンドによると、買い物かごを持った場合、75%のお客は必ず買い物をするが、持たない場合35%程度の人しか買いものをしないという。ウォルマートでも、ショッピングカートを利用する人は、利用しない人の4倍の購入量があるという。
下記は月間18,000人来店する某ドラッグストア店舗で調査した結果だ。「買い物かご・カート無使用客」の割合が43%で、残りは買い物かごかカートを使用している。「買い物かご使用客」は滞店時間において「買い物かご無使用客」の2.6倍、そして買い上げ金額において3倍であった。カート使用客は滞店時間において4.4倍、買い上げ金額において5.4倍であった。


【顧客の買い物金額の違い】
 種類
使用率(%)
滞店時間(分)
客単価(円)
 買い物かご・カート無使用客
43
5
980
 買い物かご使用客
44
13
2,930
 カート使用客
13
22
5,340
 平均
57
10.7
2,405

計算上の仮定数値だが、カート使用比率は13%で維持し、「買い物かご無使用客」全員に買い物かごを持たせ「買い物かご無使用客」をゼロとした場合、下記の表のように売り上げが約35%上がる可能性もあるのだ。


【改善後売上げ約35%アップ】

月間18000人来店するA店で「買い物かご・カート無使用客」全員にかごを持たせた場合の効果(仮定)
 -
改善前
改善後
買物スタイル
(人)
改善前
比率(%)
単価客
(円)
購買金額
(円)
買物スタイル
(人)
改善後
比率(%)
単価客
(円
購買金額
(円)
 買い物かご・カート
  無使用客
7,740
43
980
7,585,200
0
0
980
0
 買い物かご使用客
7,920
44
2,930
23,205,600
15,660
87
2,930
45,883,800
 カート使用客
2,340
13
5,340
12,495,600
2,340
13
5,340
12,495,600
 合計
18,000
100
2,405
43,286,400
18,000
100
3,243
58,379,400

このように買い物かごの売上げに与える影響の大きさを実感している米国の小売業では、買い物かご・カートを積極的に設置し、来店客にかご・カートを持たせる努力をしている。
例えばウォルマートやターゲットでは、入り口にシニアのグリーターを配置し「いらっしゃいませ」の挨拶とともに、買い物かごやショッピングカートを顧客の顔を見ながら声をかけて手渡している。親切だなと顧客が良い気分になるだけでなく、売上げが上がることや万引き防止にも非常に役立っている。またドラッグストアでは半数程度の人がショッピングかごやカートを持たないで買い物をしている。そのため手の空いた従業員が、「買い物いかがですか?」と声をかけながら店内で買い物かごを配っている。これは途中で買い物かごの必要性を感じた顧客に便利がられている。またスーパーマーケットでは買い物かごやカートのハンドル等の汚れを気にして使用しない人もいるので、カートやかご置き場の脇にウエットペーパータオルを設置している。


買い物かごは入り口の右側に置く。右利きの人が多いので、お客が取り易い。左側に置くと取りにくいため、買い物かごを手にしないで店内に入っていく。入り口だけでなく、店内複数個所に買い物かごやカートを置いている店舗が多い。店内での買い物中に買い物かごの必要性が生じても、お客の殆どは入り口まで戻らず、あきらめて持てるだけの買い物で終わるからだ。そして出来るだけ持ってもらうために、買物かごにチラシや新製品の案内を入れている。業績の良い日本の某ドラッグストアは、チラシをいれておくと何かお買い得情報が得られるのではないかと買い物かごに関心がゆき、買い物かごを取る確率が50%程度上がると述べている。全米第二位ドラッグストアCVSでも、買い物かごにチラシ、新製品情報やメンバーシップのお誘い案内を入れて、買い物かごに関心がゆくように仕向けている。
買い物かごを重ねて平らに置かれると取るのに不便である。だから使わないという人もいるので、取り易い置き方をしなければならない。出来るだけお客の方へ顔を向けた傾斜をつけて取り易くする必要がある。


ショッピングカートは大量な買い物をする人には便利で、買い物意欲を掻き立てる。一方シニアには杖代わりにもなるので便利である。またシニアがPOPや価格表を見易いように、ショッピングカートに虫眼鏡を付けている店もある。ドラッグストアのように細かい商品を販売する店では、小型買い物かごも普通の買い物かごと併用で設置されている。特に小さくておしゃれな買い物かごは化粧品コーナーに設置され、女性のお客のゆったりした買い物を促進している。化粧品という非日常の夢の世界の商品を購入するのに、トイレットペーパー、洗剤、殺虫剤、食パン、牛乳等日常的な商品と同じ買い物かごだと、夢もないしパッケージが傷むなどで化粧品の購入を差し控える顧客もいる。そのため化粧品専用の買い物かごも用意されている。またキャラクターの付いたカートや小さな子供用買い物カートは子供に人気で、子供がそうしたカートが設置されている店に行きたがるので、母親の来店を誘導する効果もある。足の悪い人用の電動カートも必ず設置されているが、いずれ日本でも必要な時代が来る。ドラッグストアの最近2〜3年の傾向として、手で持つことも出来るし床に置いて引っ張ることも出来る買い物かごが開発され好評だ。ある時業績の悪いシアーズで買い物をしたが、買い物カートがなく商品を手で持って他の売場に行かなくてはならず、重くて困ったことがあった。消費者の立場に立たない小売業は不振に陥るのだなと実感した。


 

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