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アマゾンを代表とするネット販売からの侵略や、ウォルマート等のディスカウンターの小商圏戦略による競争の激化を米国のドラッグストアがどのように乗り越えようとしているかについて述べてみよう。


消費者が過去3ヶ月間に買い物した店舗調査によると、トップ3はウォルマートの属するマスマーチャンダイザー、スーパーマーケット、そしてドラッグストアだが、2010年との比較では全く伸びていない。一方インターネットは激しく成長しており、2010年度との比較で18%ポイント伸びて第4位に踊り出ている。インターネットで購入する女性の2/3は、その理由の一番に「価格」ではなく「買い物が便利にし易い」を挙げている。そのため大手ドラッグストアは「便利性」を強化し、習慣的に店舗を利用してもらえるような取り組みを強化している。

【過去3ヶ月の買い物をした店舗調査】
 項目
2014年(%)
2010年対比(ポイント)
 マスマーチャンダイザー
73
+0
 スーパーマーケット
70
+1
 ドラッグストア
67
+0
 インターネット
65
+18
 ダラーストア
59
+8
 デパートメントストア
50
+3
 ウエアハウスクラブ
35
-7
 ディープディスカウントグローサリーストア
24
+11
(資料) Chain Drug Review

a) 来店目的の増加
人間の脳には習慣的に物事を行う「習慣脳」がある。朝起きて家を出る迄の行動にしても、会社や学校へ行く道順や利用する交通機関等にしても、いちいち自分の記憶の中から引っ張り出して行動に移しているわけではなく、自然に行っている。これは習慣脳が活用されているからだ。コンビニに行かないと一日が終わった気持ちにならない人がいるが、これも習慣脳による行動だ。コンビニが朝・昼・夕用の弁当、焙煎し立てのコーヒー、ドーナツや雑誌を揃えることにより、人々は何度も店に足を運び習慣脳が育てられているのだ。ウォルグリーンでは週に複数回来店する客が10%いて、売上げの50%を占めている。習慣脳を育成することによって、この10%を20%に引き上げることをもくろんでいる。そのために来店目的を多様化(コンビニフード・惣菜・イートイン・焙煎したてのコーヒー・ビデオレンタル・DPE・ヘアセット&マニキュア・雑誌・インストアクリニック・調剤・予防接種・ローンの取扱い・宅急便・コピー・乗り物の切符販売等)することにより来店回数を増加させ習慣脳を育成する試みをしている。

b)便利性の強化
習慣脳を育成するに当たり重要なのは便利性の強化だ。まず消費者にとって一番都合の良い買い物とは「どこでも・いつでも」出来ることだ。その為にドラッグストアはオムニチャネル化を進めている。オムニチャネルとは、店舗とネットを融合したスタイルの小売り形態だが、365日24時間買い物が出来るのは便利だ。ウォルグリーンのネットでは20万アイテムの商品がいつでも購入できる。リアル店舗も便利性を強め、小商圏店舗展開、来店し易い立地、クイックショッピングを可能にする300坪程度の店舗サイズ、365日長時間営業、日常生活用品の品揃え、ドライブスルー調剤、ウェブピックアップ(注文をネットでし、指定した店舗で1時間以内にピックアップ)、配達、店内でのネット商品の注文・受け取り・返品が出来る。

a)「薬の提供」から「患者のケア」へ
米国は「ヘルスケアの質の向上」と「医療費の高騰抑制」のため、国を挙げてファーマシーの位置付けをより重要視し始めている。ドラッグストアもそれに応えるためにインストクリニックの積極的展開や地域の人々に対してのヘルスコーチングを展開している。またACA(Affordable Care Act:医療保険制度改革法で、通称オバマケアとも呼ばれる。これにより10年間で3100万人が保険に加入し、国民の殆どが保険でカバーされる)の施行が2014年初めからスタートした。そこで4万人のプライマリーケアドクターの不足が表面化し始めている(通常アメリカでは、患者が自分の健康に何か問題を感じた場合、まず自分のかかりつけの開業医つまりプライマリーケアドクターに相談し、より専門的な診療が必要と判断された場合には、プライマリーケアドクターを通じて専門医が紹介される)。特に貧困地区や過疎地では医師が少ないため、ファーマシーがプライマリーケアの役割を果たし始めている。その結果、薬剤師の仕事は「薬の提供」から「患者ケア」に移ってきている。2009年には「処方薬の提供」に使う時間が一日の仕事の55%を占めていたが、2014年は49%に減少し、逆にメディケーショセラピーマネージメント(薬物治療管理)の仕事の割合が10年前より13%アップして6割になった。患者が薬を決められた通りに服薬しないことから起きる健康被害が増加しており、それにかかる医療費は年間3000億ドルにも上がるため、きちんと服薬してもらえるように導いていくのが薬剤師の大きな仕事になっている。また25%の病院などの医療施設は、医師と協働する薬剤師の仕事を院内のクリティカルパスに組み込んできている。このように、薬剤師の仕事はヘルスケア分野において今までに無いほど重要な存在になってきている。そこで、ドラッグストアが強化している戦略が「ヘルスケアステーション化」だ。つまり、これまでのドラッグストアが単に薬を提供する場所であったのを、ヘルスケアステーションというコンセプトを導入し、調剤薬やOTCの提供に加えてインストアクリニック(最初のインストアクリニックは2000年にスタートしたが、その便利さと低価格が受けて2015年末には2800ヶ所になると予測されている。CVSへルスがリーダーで現在ミニッツクリニックの名で1000ヶ所弱あり、2017年までに1500ヶ所にする予定)では予防接種、健康相談、カウンセリングルームの設置、ヘルスケア情報のためのスクリーンの設置や小冊子の配布、そして医療機関との提携によるサービスの提供をしている。ライトエイドはそのコンセプトを強化して、店内にクリニックの設置(約80ヶ所)は勿論、ライトエイド・ヘルス・アライアンスと呼ぶプログラムでローカルの医師と提携し、患者のそれぞれの状態に応じたケアが出来る包括的なサービスを実施し始めた。ウォルグリーンは現在約450か所でインストアクリニックを展開し、また全米で最も信頼度の高いメイヨクリニックと提携している。このドラッグストアのヘルスケア分野への積極的な参入は、医療費高騰の抑制やプライマリーケアドクター不足に大いに貢献している。

b)調剤薬の更なる強化
2019年まで毎年5%台の成長が見込まれる調剤薬市場において、チェーンドラッグはその利用し易さと便利性により、調剤薬の売上げを伸ばしている。オバマケアにより保険でカバーされるようになった人々は、保険がきくため調剤薬の値段より便利性を店舗の選択で重要視するので、便利性に富んだドラッグストアが選択される比率が高い。そして調剤薬は勿論のこと、OTC、ウエルネス、ビューティーケア、コンスーマブル、そしてプライマリーメディカルケアとしてのインストアクリニックや予防接種、メディカルカウンセリングなどを利用している。しかし調剤薬の保険会社からのプレッシャーにより利益が少なくなっており、そのためドラッグストアは利益の出るインストアクリニックや、がん、エイズ、臓器移植など特殊な病気用の薬を提供するスペシャルティファーマシーに力を入れている。調剤薬に関しては、マスマーケットとしての低価格ジェネリック薬と、高価格調剤薬マーケットとしてのスペシャルティドラッグ(がん、臓器移植、不妊症、小人症、エイズなどの特別ケアのいる病用の薬)が2大トピックスになっており、調剤薬の成長予測を高いものにしている。まず2018年までに調剤薬の売上金額の半分はスペシャルティドラッグになると予測されている。その流れに乗って製薬メーカーもスペシャルティドラッグの開発を強化し、ドラッグストアはスペシャルティドラッグの販売を増加させている。一方、近年ジェネリック薬の普及により調剤トータル売上金額の伸びが鈍化していたが、2014年からスタートした前述のACA(オバマケア)によりジェネリック薬の調剤件数が増加することが予測されている。しかしジェネリックのブームも近い将来終了するとみられている。そのためポストジェネリック戦略が必要になっている。


小売業全般の顧客満足度は過去4年間は向上していたが、2014年度は1.4%ポイント落ち込み100点中77点であった。ドラッグストアに対する満足度ランキングでは、「近くて便利なファーマシーサービス(88点)」が一番点数を稼いでいる。調剤薬はドラッグストアの売上げの65%を占める絶対的な核部門だが、保険対象者にとっては「便利性」が店舗選択の第一条件になっている。「従業員の感じの良い接客(85点)」、「NB商品の充実した品揃え(85点)」、「清潔で買い易い店内(84点)」、「品揃えの豊富さ(81点)」、「欠品が無い売り場(82点)」、「魅力的な販促(81点)」、「クイックなレジ(79点)」という順で評価されている。ちなみにどの小売業も「クイックレジ」に関する評価は余り高くなく、ドラッグストアの79点は一番高い。この顧客満足度を高めるために「専門性(Specialty)」「便利性(Speed)」「接客性(Service)」そして「エンタメ性(Show)」の4Sを強化している。

 

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