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長く続いた不景気による消費者の買い控えや企業の設備投資に対する慎重な姿勢がやっと緩み、米ドル高が純輸出の下押し圧力になるというネガティブ要因もあるが、米国の景気も上向いている。多くのエコノミストは、2014年の緩やかな回復(GDP成長率2.4%予測)から引き続いて、その後も堅調な経済成長(2015年のGDP成長率3.1%、2016年のGDP成長率2.9%)になると予測している。これは底堅い一般消費や数年間続くといわれている好調な住宅市場に牽引された消費支出(2014年前年比2.5%アップ、2015年前年比3.3%アップ、2016年前年比2.6%アップ予測)と、拡大する政府支出によるところが大である。また労働市場も拡大しており、2015年、2016年と毎月25万人の雇用が増加すると予測されている。失業率も低下を続け、一時10%を超えていた時から改善され、2016年末には5%になるのでは言われている。この失業率の低下は賃金の向上を招き、結果として消費に回すお金が拡大するという好循環を呼ぶ傾向にある。好調な労働市場、低下した失業率、ガソリン価格の低下、上昇する株価、強くなった消費者の消費意欲は小売業にとって強い追い風になっている。その結果2015年の小売業(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランの売り上げを除く)の成長率は4.1%で、無店舗販売は7〜10%成長するとNRF(全米小売業協会)は予測している。
ヘルスケア(医療)コストは2013年までの5年間は年率伸長率が4%以下であったが、2014年は5.6%増加して3.06兆ドルに拡大した。2015年は4.9%アップ(3.21兆ドル)し、2023年まで年平均6%台の拡大があると予測されている。それはオバマケアと呼ばれている医療保険制度改革による保険対象者が今後31百万人増大することと、高齢者の増加が大きな要因となっている。

【米国経済指標の推移】
 項目
2014年
2015年(推測%)
2016年(推測%)
 実質GDP(前年比)
2.4
3.1
2.9
 消費支出(前年比)
2.5
3.3
2.6
 失業率
5.6
5.1
5.0
(資料) Chain Drug Review 

2014年度の北米のドラッグストア業態は2013年の4.2%を上回る5.7%の成長を遂げた。チェーンドラッグは5.8%成長したが、独立ドラッグ(10店舗以下のドラッグ企業)も3.9%の成長と健闘していることに驚かされる。売上げ構成比でみると、チェーンドラッグが75%、そして独立ドラッグが25%だ。21世紀には生き残れないといわれた独立ドラッグがしっかりと成長しているのは、高い顧客満足度によるものだ。特に調剤において消費者の評価が一番高いのが独立ドラッグで、家族全員の健康状態を把握している専門性、待たせない調剤、大手ドラッグでは在庫しない調剤薬の品揃え、なじみの薬剤師(大手は転勤で始終変わる)、近隣の医師を定期的に訪問することによる必要な薬の情報と在庫、マッケソンなど大手薬卸による経営サポートなどが功を奏している。また大手ドラッグが手を出しにくいホームヘルスケア(介護・看護用品)に力を入れているのも大手との大きな差別化になっている。
ドラッグストアトータルの店舗数は44761店舗で、2013年よりわずかな減少(▲16店舗)を記録した。チェーンドラッグは193店舗増加したが、独立ドラッグが209店舗減少した。店舗数構成比では、チェーンドラッグが56%、独立ドラッグが44%だ。店舗数減少の要因は独立ドラッグが不採算店を積極的に閉店したことと、大手ドラッグストアが昔のようにむやみやたらと新店舗を作らず、利益を考えた出店をしているためだ。一時期のウォルグリーンやCVSが1日に1店舗以上の店をオープンしていた時代から考えると隔世の感がある。立派なのはチェーンドラッグの既存店舗の売り上げが、4.6%成長したことだ。
ドラッグストアの平均売り場面積は300坪程度で、日本のドラッグストアとさほどかけ離れた違いは無いが、店舗当りの売上げは8.6百万ドルと1ドル120円換算で10億円を超えるボリュームだ。これは65%の構成比を占める調剤薬の売上げ(日本は10%以下)と、食品の強化による売上拡大が大きな要因だ。日本もドラッグストア市場を拡大するためには、調剤及び食品の更なる展開が必要だ。

【2014年度北米(米国&カナダ)ドラッグストア業界】
 項目
実績
前年比(%)
構成比(%)
 チェーンドラッグ売上
 2891億ドル
+5.8%
75.4%
 独立ドラッグ売上
943億ドル
+5.8%
24.6%
 ドラッグストアトータル売上
3834億ドル
5.7%
 100.0%
 ドラッグ店舗当たり売上
8.6百万ドル
-
-
 チェーンドラッグ売上/坪
37548ドル
21.7%
-
 チェーンドラッグ既存店売上伸長率
+4.6%
+1.5%ポイント
-
 チェーンドラッグ税引き後純利益率
1.5%
+0.1%ポイント
-
 チェーンドラッグ店舗数
25066店舗
+193店舗
56.0%
 独立ドラッグ店舗数
19695店舗
▲209店舗
44.0%
 ドラッグストアトータル店舗数
44761店舗
▲16店舗
100.0%
 チェーンドラッグ平均店舗売場サイズ
305坪
-
-
(資料) Chain Drug Review 

チェーンドラッグ大手3社の動きを見てみよう。
2014年度764億ドル(前年比+5.8%)の売上げを記録した業界のリーダーウォルグリーンは、2014年12月アライアンスブーツとの完全合併を実施し、社名もウォルグリーン・アライアンス・ブーツINC(WBA)に変えた。グローバルヘルスケアリーダーの誕生だ。2015年の決算からWBAの数値になるが、2015年は1053億ドル、そして2016年は1233億ドルが計画されており、ドラッグストア業界に1000億ドル企業の出現だ。業界第二位のCVSは社名をCVSへルスに変更した。売上げは678億ドル(前年比+3.3%)を記録したが、企業イメージを上げるためにたばこの販売をやめた。セルフ売り場の売り上げの2〜3%を占めていた部門のカットは大きな決断であった。第三位のライトエイドの2014年度の売上げは265億ドルで前年比+3.9%を記録した。ビジネスを多様化させるために、PBM(薬剤給付管理会社)のEnvisionRx社の買収とインストアクリニックRediClinicを展開始め、一時の後ろ向きの姿勢からやっと脱却し、積極的に攻めの姿勢に転じた。純利益率は前年が1%以下であったのが、2014年は8.0%という一過性の非常に高い数値を出した。2016年度は1%以下になることが予測されている。いずれにしても倒産が噂されていたこの企業の復活ぶりに拍手を送りたい。
バイイングパワーと効率を上げるために大手チェーンドラッグと卸とのパートナーシップが進んだ。ウォルグリーンはアメリソースバーゲンと10年契約、CVSはカージナルヘルス、そしてライトエイドは医薬品卸No.1のマッケソンと5年間の提携契約を結んだ。


【3大チェーンドラッグ2014年度業績】
 企業名
ウォルグリーン
(8/31/14までの1年間)
CVS
(8/31/14までの1年間)
ライトエイド
2/28/15年までの1年間)
 売上
 764億ドル
676億ドル
265億ドル
 売上前年比
(+5.8億ドル)
+3.3%
+3.9%
 既存店売上成長率
+4.9%
+2.1%
+4.3%
 純利益率
2.5%
3.3%
8.0%
 店舗数
8232店舗
7822店舗
4571店舗
 売上/店舗
8.5百万ドル
8.7百万ドル
5.6百万ドル
(資料) 3社の年次報告書 

処方薬市場の成長はヘルスケアコストの増大と同じようなペースで拡大すると考えられており、2014年は6.8%、2015年は6.4%、そして2019年まで年率平均5%台の成長があると予測されている。

【調剤薬の売上金額伸長予測】
 年度
前年比
 2013年
+0.6%
 2014年
+6.8%
 2015年
+6.4%
 2016年
+5.1%
 2017年
+5.2%
 2018年
+5.4%
 2019年
+5.9%
  (資料) Chain Drug Review 

上記のような調剤薬市場の成長性、増加するシニアや忙しい人々の近場での買い物需要の拡大、ドラッグストアによるインストアクリニックビジネスの拡大や薬剤師による薬物治療管理の増大、医療費の高騰抑制によるセルフメディケーションの促進、デイリーリビング商品の強化等は、ドラッグストアビジネスを拡大し数年先まで見通しが明るい。
次号では、アマゾンを代表とするネット販売からの侵略やウォルマート等のディスカウンターが仕掛ける小商圏戦略に対し米国のドラッグストアがどのようにして乗り越えようとしているかについて述べよう。

 

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