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下記の表は日本の人口推移予測だ。現在でも65歳以上の老年人口が1/4を占め、2060年には40%にも達する。表にはないが、50歳以上というくくりで見れば、現在40%を超え、2060年には60%以上になると予測されている。いずれにしても50歳以上の中高年層が小売業にとって最重要の顧客層になることは間違いない。そのため、彼らを十分に意識した店を作らなければビジネスの成功はおぼつかない。

【日本の人口推移】
 項目
2010年(万人)
(%)
2030年(万人)
(%)
2060年(万人)
(%)
 総数
 12806
(100)
11662
(100)
8674
(100)
 年少人口
 0−14歳
1684
(13.1)
1204
(10.3)
791
(9.4)
 生産年齢人口
 15−64歳
8173
(63.8)
6773
(58.1)
 4418
(50.9)
 老年人口
 65歳以上
2948
(23.0)
3685
(31.6)
3464
(39.9)
(資料)2010年は国勢調査、2030年及び2060年は国立社会保障/人口問題研究所推計

筆者の私はシニア年代だ。目が衰えてきた。歩くスピードも遅くなった。動作も鈍くなった。ゴルフのボールも飛ばなくなった。シニアは、気は若くても身体は確実に衰えてきている。衰えのスピードを遅らせるために、スポーツジムに通ったり、ウォーキングやジョッギングに励む。また新しいゴルフの道具を購入して距離を維持しようと努力する。しかし衰えは確実に進んでいる。
その肉体的な衰えにさりげなく気配りしてくれるサービスを「エイジフレンドリーサービス」と呼ぶ。シニア客はこのようなサービスを提供してくれる店に感激して固定客なる確率が高くなる一方、心遣いのない店を嫌って店を去っていく。エイジフレンドリーになるには、加齢によって肉体がどう変化するかを理解しなければならない。


一般的に目は40代半ばから変化が起きる。ピントを調節する機能が衰え、いわゆる老眼が進む。その機能は50代になると、10代の10分の1まで低下するという。眼球の表面を覆っている角膜も濁り、瞳孔も小さくなる。その結果、近くのものが見づらくなったり、色が識別しにくくなったり、暗い照明の下では文字が読みにくいという現象が起きる。また、動きの速いテレビの画像が見にくくなるので、コマーシャルで場面が早く切り替わるものにはついていけない。瞳孔が縮小すると明るさの適応力も鈍るので、より明るい光が必要になる。80歳を超えた人がものを鮮明に見るためには、20代の3倍の明るさが必要であるという。
色の識別能力も低下し、色彩感覚にも変化が現れる。ちょうど黄色いサングラスをかけた状態に近くなる。そのため、青、緑、紫の違いは識別しづらい。黒とグレーなど明度が近いと識別するのが難しくなる。以前シニアの友人が北欧へパッケージ旅行で出掛けた。非常に気配りの素晴らしい添乗員だったそうだが、中でも助かったのが、翌日のスケジュールを大きめの文字で紙に書いて参加者に配布してくれることだったという。こうしたシニア層の視力低下に対応するには、次のような配慮が要る。
a) 文字は大きくする
米国小売業のプライス文字の大きさは、ここ10年で倍になっている。また米国のドラッグストアでは、パッケージの裏の注意書きをよく読んでから購入したい薬などの売場には、簡易拡大鏡が据え付けられており、シニアの顧客に喜ばれている。
b) 色やピクトグラム(絵文字)を活用する
大手ドラッグストアのCVSでは、売り場サインや陳列棚のレールが売り場別に色分けされている。ヘルスケアは若草色、調剤は濃いブルー、ビューティーケアは薄い水色、食品では赤リカーは紫、家庭用品は濃い緑などだ。売り場が見つけ易いので評判だ。また色のコントラストや明度の違いをはっきりさせる必要がある。日本の銀行の預金引き出しのための用紙は、白い用紙に薄いピンクや灰色が使われているので読みにくい。デジタルプライスカードが普及しないのは、コストの面もあるが、見にくいことも大きな要因になっている。
c) 照明は明るく
シニアは暗い店を嫌う。足元が良く見えず不安だからだ。またPOPやプライスカードの文字も読めない。商品の裏の説明も読めない。


聴覚は視覚ほど問題にされないが、65歳以上になると4分の1の人は聴覚の衰えを感じている。それは単に耳が聞こえにくくなるということだけではなく、混在する音の選別が困難になる。つまり、自動車の騒音や空調の音、BGM(バックグラウンドミュージック)などがいろいろ混じってくると、目的の音が聞き取りにくくなるのである。従って、カウンセリングの場所や会話を交わす機会の多いレジでは、音声の入ったBGMは避けた方がいい。老化による聴覚の低下はまず高音域から始まる。高音域が聞きづらくなるので、シニアの顧客に聞こえるよう大声で話すのは必ずしも効果的ではない。往々にして声が高くなってしまうからだ。また、周りの人に耳が遠いことを知られ、気にしている人には恥ずかしい思いをさせることになる。大声を出すよりも、ゆっくり、はっきりと話せば聞こえる。聴力低下の悩みを抱えるシニアと円滑なコミュニケーションを図るには、なんといってもフェース・トゥ・フェース(対面)が効果的だ。相手の表情を見ながら、体の動きを確かめながら話すことができるからだ。同時に写真、カタログそして商品を見せながらの説明も喜ばれる。聴力の衰えたシニアから同じことを何度も繰り返し尋ねられることがあるだろう。彼ら自身も繰り返し聞くことを心苦しく思っている。しかし辛抱強く聞く姿勢が彼らをロイヤルカスタマーにする。米国のドラッグストアには、アイケアコーナーの隣に必ずイアケアコーナーが設置され、補聴器のバッテリー・耳鳴りの薬・耳掃除商品・睡眠用耳栓・騒音遮断用耳栓が陳列されている。日本のドラッグストアにイアケアコーナーがないのは残念だ。


人間は年を重ねるに従って指先の柔軟性や器用さが失われていく。65歳以上の人は、半数以上が指の関節部分に何らかの障害を抱えている。シニア向け商品開発では、単に品質だけを追求するのではなく、手先の動きが悪くなった人たちにも使いやすい工夫が必要だ。財布、バッグ、家電製品、食品や飲料の容器、文具、家庭雑貨などに共通して言えることだ。衣服についても同様で、着脱が簡単なように大きなボタンや、ジッパーではなく重ね合わせるだけで固定できるマジックテープを使い、物を出し入れしやすい大きなポケット、袖がゆったりしていて腕の運動がスムーズにできるデザインが望ましい。
動作にも衰えが出てくる。脳で感知して手足の筋肉や関節に伝達する機能が衰え、反射神経や平衡感覚の低下が顕著になる。筋力も低下する。接客時にはシニアのスローな動作に気を遣い、重い荷物には手を貸す行為が必要になる。また前出し陳列されず奥に引っ込んでいる商品は取りづらいので彼らは購入を避ける。
ドラッグストアの中には、床を絨毯にしてシニアのスリップ事故を防いでいる。ホールフーズマーケットは車椅子の人用に、一般用のより少し低い秤が、野菜・果物売り場に置かれている。中高年の人々に評判な「Chico’s」というアパレルショップは、年齢が上の人用の商品は一番手に取りやすい高さの場所に陳列されている。年配者のかがむ負担を避けるためだ。
「前出し陳列」も小売業の重要な作業だ。シニアは奥に引っ込んだ商品は見づらいし、取りにくい。これから繁栄する小売業の絶対条件の一つが、「前出し陳列」で米国の小売業を見ても成功しているかどうかは「前出し陳列」の状況を見れば分かる。

 

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