アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
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米国の小売業は、アマゾンやリアル店舗同士の激しい戦いに勝ち残るために、今までの顧客だけに固執せず新規客の獲得に乗り出している。


ホームセンターというと男性のイメージで、男性客が多い。現に全米最大のホームセンターホームデポは男性客対象の店舗で、女性客を余り見かけない。しかし結婚をしない女性の増加により、女性世帯でも実生活においてDIYニーズが生じている。それに目を付けた第二位のホームセンター・ロウズは女性客に力を入れている。そのためインテリア関係を充実させ、女性従業員を配置し、女性に好かれるパステル調カラーのDIY工具が品揃えされている。日本でも「DIY女子会」を取り込めということで、工具や塗料のメーカー、ホームセンターなどが女性を意識した商品開発や売り場づくりをしている。そして、女性を対象にした木工のワークショップ、ペンキの塗り方や犬小屋の作り方教室を実施している。「DIY市場は建築などのプロや愛好家だけでは広がらない。女性を中心に初心者を取り込むことが必要で、女性仕様の道具も提供しなければならない」と大手ホームセンターの幹部は述べている。一方、スーパーマーケットやドラッグストアでは、男性客の確保に躍起となっている。一人暮らしの男性が増加したため、男性の買い物客が増えているからだ。今までは、小売業の主購買者は女性ということで、女性に主眼を置いた店づくりをしていたが、こうした世の中の変化によって、男性客も意識した店づくりをしている。品揃えでは、男性化粧品売り場の拡大、スポーツ雑誌の種類の増加、料理をしないで簡便に食事が出来るように惣菜やイートインコーナーの充実、また男性は分かりにくい売り場を嫌がるので、売り場サインや目立つPOPの充実を図っている。このように新規客を増やすためには、今までの主顧客層ではない潜在顧客層を開拓することが重要だ。


ターゲットは最近ベビー用の定期購入サービス「ターゲット・サブスクリプション」のテストマーケティングを始めた。おむつや粉ミルクなど定期的に消耗するベビー用品150アイテムを、送料無料で契約した顧客に届けるサービスだ。ユーザ−は4週間〜12週間の間隔で発送日を指定することが出来、発送前10日以内に確認通知が送られてくる。またシカゴ地区の10店舗に、ベビー用品の販売を強化した部門をテスト導入した。育児サイトのベビーセンターと提携したベビー部門には、専用のベビーアドバイザーが常駐し、お客からの質問に答えている。ベビーカーが使用しやすいように陳列されていたり、テーブルに設置されたアイパッドやキオスク端末で、商品情報の検索やベビーレジストリー(赤ちゃん誕生のギフトとして欲しい商品を登録しておくと、贈る側がその登録された商品の中からギフトを選択するシステム)も出来るようになっている。このプログラムの導入により、新規ターゲット客を獲得しようという考えと、ベビーを持つ客はいくつもの店舗を回らずに家族中の買い物を一店舗で済ませようとするから、購買額も大きく利益も運んでくれる良い客なので、ベビー客の確保を重要視している。


10歳以下の米国籍の子供であれば誰でも、子供の名前、性、親の名前、誕生日、eメールアドレス、住所を記入して申し込むとベビー・バースデークラブに加入出来て、次の特典を与えられる。
・エキサイティングな誕生日にするための色々なアイディアをトイザラスからもらえる
・トイザらスのキャラクターであるジェフリーから誕生日カードとギフトがもらえる
・トイザらスの店内で、冠をかぶせてもらって、風船をもらい、店内放送で誕生日が放送されて店内の人みんなでハッピーバースデイの歌を歌って祝福してくれる
・バースデーの祝福電話をジェフリーからもらえる
トイザらスの店内で誕生日を祝ってもらった子供たちはみんなすごく嬉しくて、興奮した顔をしている。子供の幸せな顔を見て、親もとても幸せを感じている。このプログラムは新規客の獲得、既存客の保持、そしてそれらの人々の顧客満足に大変役立っている。


米国は移民の国として多国籍の人々で構成されている国だ。そして英語が通じない人々も結構存在する。そのため英語が通じない人でも買い物をし易くすることが店の顧客増に非常に重要になっている。米国のNo.1ドラッグストアウォルグリーンでは日本語も含めて、14ヶ国語に対応している。それぞれの言語を話せる薬剤師が全8500店舗の中の3店舗に常時配置されており、相談に乗れるようになっている。私の視察研修中にも参加メンバーが軽い体調不良を訴えたときはウォルグリーンの店舗へ行かせる。「日本語を話せる薬剤師をお願いします」と申し出ると、電話で日本語の出来る薬剤師に繋いでくれる。薬剤師は日本語でカウンセリングをしたあと、米国人の薬剤師に指示して薬など必要な商品を揃えてくれるので、本当に安心だ。その折の処方薬の服薬指示書には英語と日本語が併記されているので理解し易い。ラテン系の人や中国人の多い商圏の店では、チラシやPOPは英語とラテン語や中国語の両方が使われている。日本は今後人口が減少していく。日本人だけを相手にしていたのでは、ビジネスの伸びは望めない。政府が力を入れている外国人観光客誘致策に乗って、小売業も外国人客を増やさなければならない。日本の某ドラッグストアでは、中国や韓国からの観光客を取り込むために、中国・韓国旅行者向けに現地のサイトに企業の紹介ページを掲載している。そのため日本に来る前から、旅行者たちはその企業の店舗に立ち寄ることが計画されている。また店内では中国・韓国語を話せる従業員も配置しているために、それらの人々でごった返ししている。旅行客は一過性の客かもしれないが、お土産として購入する量が多いことや、価格をそれほどシビアに考えないケースが多いため利益が取れる。米国でもニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ラスベガスなど旅行客の多い街中にあるウォルグリーンの店舗では、旅行客用のTシャツ、ホテルで食べる食料品や飲み物、お土産等を多くの品揃えして彼らに大変重宝がられている。


米国で多様性という意味で「レインボー市場」と呼ばれているLGBT(レズ、ゲイ、バイセクシャル=両性愛者、トランスジェンダ=性同一障害者の頭文字)市場が注目されている。その市場は約80兆円と言われ、欧米では攻略すべき重要なマーケットになっている。彼らは気に入ったものなら値段が高くても積極的に購入するので、特定ブランドやメーカーの優良顧客になる傾向がある。ヘルス、ナチュラル、オーガニック、エコロジー、平和に関心が高くセンスの良さを求める。子供もいないために可処分所得も高く消費に積極的だ。この人たちのシンボルマークは「レインボー」だ。彼らの来店を歓迎する店、例えば「ボディーショップ」では店頭にレインボーマークをさりげなくつけたり、百貨店でも大きなレインボーの垂れ幕を下げている。また21世紀に最も成長著しいスーパーマーケットのホールフーズマーケットは、これらの人々が好む、環境にやさしい店作り、健康に良いオーガニック食材、添加物の入らない食材や飲料、ナチュラル成分で生産されたサプリや化粧品の品揃えが充実し、従業員もLGBTの人が多く勤務している。日本でも小売店がこれらの層の人々の獲得に乗り出す時代が間もなく来るだろう。

 

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