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1916年にピグリー・ウィグリーというグローサリーストアはそれまでの小売業の対面販売に代わるセルフサービス販売方式を導入した。その後多くの小売業が豊富な品揃えと低価格を実現して成長したが、対面販売は衰退していった。現在の主要業態スーパーマーケット、スーパーセンター、ホームセンター、ホールセールクラブ、ドラッグストア及び各種カテゴリーキラーの成長は、このセルフサービス販売方式に負うところが大きい。そして今100年振りに、それ以来の大変化が米国の小売業で起きている。それはネット販売に牽引された無店舗販売の成長で、現在米国の小売業総売上げの10%を占めるようになった。
無店舗販売の中でもネット市場の成長は著しく、2000年に小売業に占めるシェアは1%であったが、現在は6%近くを占めるようになっている。2013年の第一&第二4半期を見てみると、小売業トータルの成長は3.9及び4.7%だが、ネット市場はその4倍近い16.4及び18.4%の成長をしている。

【トータル小売業とEコマース】
-
小売トータル
売上高
(億ドル)
Eコマース
売上高
(億ドル)
小売に占める
Eコマース
シェア(%)
小売
売上前年比
(%)
Eコマース
売上前年比
(%)
 2013年第2四半期
 11262
 648
 5.8
4.7
18.4
 2013年第1四半期
 11165
 617
 5.5
3.9
16.4
 2012年第4四半期
 11068
 595
 5.4
4.0
15.6
 2012年第3四半期
 10919
 570
 5.2
4.6
17.4
 2012年第2四半期
 10770
 549
 5.1
4.3
15.5
 2012年第1四半期
 10801
 531
 4.9
6.2
15.3
資料:US Census

 そしてネット販売の代表格であるアマゾンは、米国小売業ランキングで2011年は10位になり、2012年は8位に躍進した。

【米国小売企業売上高ランキング2012】
 順位
 企業名
  売上高
純利益(税引後)
金額
前年比(%)
金額
前年比(%)
 1
ウォルマート
469,152
 5.0
16,999
8.3
 2  CVSケアマーク
 469,152
 15.0
3,877
12.3
 3  コストコ
 99,137
 11.5
1,709
16.9
 4  クローガー
 96,751
7.1 
1,497
148.7
 5 ホームデポ
74,754
6.2
4,535
16.8
 6 ターゲット
73,301
4.9
2,999
2.4
 7 ウォルグリーン
71,633
▲0.8
2,127
▲21.6
 8 アマゾン
61,093
27.1
▲39
nc
 9 ロウズ
50,521
0.6
1,959
6.5
 10 ベストバイ
45,085
11.1
▲441
nc

無店舗販売の今後はネットに負うところが大だが、下記の表を見ても分かるように非常に明るいものがある。米国小売業の成長性は、2010年〜2015年は年率平均4.3%、2015年〜2020年は4.7%だが、無店舗販売はそれぞれ14.7%&11.7%で、小売業全体より大幅な成長が予測されている。

.
【米国業態成長予測】
 業態
 2010〜2015年
 2015年〜2020年
 アパレル
 4.4%
 5.1%
 ホールセールクラブ
6.3 
 5.9
 専門店
 3.4
 3.7
 コンビニエンスストア
 4.0
 4.0
 百貨店
0.5
1.6
 ディスカウントストア
7.9
7.4
 ドラッグストア
3.8
4.1
 スーパーセンター
3.4
3.1
 量販店
▲1.4
▲0.5
 無店舗販売
14.7
11.7
 スーパーマーケット
3.8
4.2
 合計
4.3
4.7
資料:Kantar Retail Analysis 2012

ネット販売は店舗をショールームとして活用し、実際の購入はアマゾンなどのネットショップで行う「ショールーミング」という消費者購買行動を常態化した。それにより米国では家電、書籍、CD、玩具、スポーツ用品、アパレル、オフィス用品などの小売業態にネガティブインパクトを与えた。実際に書籍店やCDショップの多くが街から消え、家電チェーンも不振で大型店舗を閉鎖している。最近「大型店の死(Death of Big Box)」という言葉を米国の新聞や雑誌で目にする。これまでウォルマートに代表されるスーパーセンターやカテゴリーキラーは、圧倒的な品揃え数によるワンストップショッピング機能と、ローコストオペレーションによるエブリデーロープライスを実現して消費者から支持されてきた。しかしネットの無限の品揃えと、店舗を持たないことによる低販売経費が可能にするロープライスは、今までの小売業の勝ち組に暗雲を与えている。
こうした状況下、小売業は自分たちの城(キャッスル)を守ろうという意味も込めて、「CASTLE戦略」をとっている。この戦略の基本には「ネットは価格競争、店舗はCS(顧客満足)競争」という考え方があり、顧客満足に再度力を入れ、ネットの不得意とする分野を攻勢しようとするやり方だ。

 CASTLE戦略
 「C」= Convenience
ネットに無い便利性
 「A」= Assortment
品揃え
 「S」= Specialty
専門性
 「T」= Treatment
顧客サービス
 「L」= Loyalist
ロイヤルカスタマー創り
 「E」= Excitement
エキサイトメントな売り場

それでは「CASTLE戦略」の個々の戦略について説明しよう。


a) 小商圏&ショートタイムショッピング機能の提供
ネットには便利なようで不便な点もある。注文してから商品を手に入れるまで1日以上時間がかかることだ。そこで、商圏や店舗の小型化/待たせないレジ/配達サービスによる便利さ等の提供により、ネットの不便さを攻撃する戦略だ。例えば世界一の小売業であるウォルマートは、300〜400坪程度のスーパーマーケット「ウォルマートエキスプレス」をテスト的に展開している。またネットに対抗して365日24時間営業店も増加している。
b) 頻度の多い来店目的の提供
小商圏ビジネスの場合は特定客の来店頻度をアップする必要がある。そのためにラインロビングにより来店目的を多くしている。例えば、多くの業態が食品の取扱い及びイートイン機能、レンタルビデオ、クリーニング、来店ポイントや来店特典の提供、銀行や郵便局機能の設置をしている。米国No.1のドラッグストアウォルグリーンでは、店舗コンセプトをHBC(ヘルス&ビューティーケア)からHDL(ヘルス&デイリーリビング)に変換させ、食品特にファストフートや惣菜に力を入れている。顧客の来店頻度を高めるのに一番効果的なのは食品だからだ。絶好調のスーパーマーケット・トレーダージョーでは、店内の奥の新製品紹介カウンターで、コーヒーの無料サービスをしている。コーヒーを飲みに立ち寄り、ついでに食料品を購入する客も多くいる。
c) マルチ/オムニチャネルリテーラーへ移行
今まで通りに店舗を運営しながら、自分たちのサイトを立ち上げてネット販売するというマルチチャネル形式からさらに一歩進んで「オムニ(店舗・ネット・モバイル・SNS総合活用型)チャネル」リテーラーに転換している。かつてのマルチチャネル形式では、ネットとリアル店舗と別々の運営で、消費者にとって使い勝手が悪かった。しかしオムニチャネルは総括的なチャネル形式なので、消費者は店頭でネット商品のサンプルのチェックや説明、ネット購入商品の店舗での受け取りや返品、店舗購入商品のネットでの注文など、消費者が一番便利な方法で両方の機能の活用が出来る。またネットで注文した後1時間程度で店舗で受け取れるウェブピックアップ機能の提供は店舗を持つが故の強みだ。


「見て、触って、感じて(STF:See, Touch, Feel)買える商品の提供」
a) フレッシュな商品/惣菜/ファッション品の強化
人によっては自分の目で実物を見てから買いたい商品がある。例えば刺身、肉、果物、惣菜、生花、ファッション品等はその典型だろう。そのように、見て購入したい傾向の強い商品の充実を図っている。
b) ネットの欠点である組み合わせ販売の強化
ネットは単品を購入するには便利であるが、組み合わせ販売は不得意だ。例えば風邪のシーズンに風邪薬を購入するには便利だが、風邪を一分一秒早く治すためには、うがい液、栄養剤、ビタミンC、マスク等も必要だ。店舗は単品売りで勝負するのでなく、顧客の問題を解決する「ソリューション提案と陳列」が重要だ。
c) 価格比較されない商品の強化
アマゾンは常に小売店頭価格を下回るか同じ価格を提供している。小売店がアマゾンを下回る価格を出せば、彼らはそれに合わせてくる。際限のない価格競争だ。そこで小売業はアマゾンに価格比較されない価格戦略をとっている。まずPB商品や専売商品の強化だ。また「マイプライス」というプログラムも実験しており、顧客のロイヤリティ度に応じて顧客に店頭価格とは別に特別価格を提供している。特別価格の「マイプライス」が、店内にいる顧客のスマホに直接送られてくるのでアマゾンも追いかけようがない。


a) カウンセリングの強化
ネットでのカウンセリングは、顔を見ながらのワン・ツー・ワンカウンセリングにはかなわない。言葉だけで充分なコミュニケーションをする難しさがあるからだ。店舗の専門家のカウンセリングを受けたい人は、店に来てくれる。
b) 消費者啓蒙の強化
健康作り/身体や環境に優しい食材の選び方/美味しい料理の作り方など、店内での啓蒙活動やプログラムを実施する。それを学ぶための来店を促し、店舗に対する信頼を高める。
c) ヘルス/ビューティー/ファッションのワンストップショッピング機能の提供
店内にクリニック/コスメティシャン/スタイリスト/栄養士/コック等プロを配置し、物販及び専門サービスを提供する。ネットは商品を販売することが出来ても、サービス機能を提供することが出来ない。そこで小売業はサービス機能をネットの差別化の道具として活用している。例えばドラッグストアでは、クリニックの店内への導入、メーキャップ、マニキュア、ヘアセット、マッサージ等の機能を提供している。


a) フレンドリー接客
「価格は一日、品揃えは三日で真似できるがサービスは一生真似できない」という言葉がある。ネットは無機質だ。一方店舗には従業員という人間が従事している。気に入った従業員がいるから店に来る顧客がいるが、高齢社会ではますます増加している。その従業員とちょっとした会話をするのが楽しみな顧客がいるから、スマイル/挨拶/お客の名前で呼べる接客/柔軟な対応/心からの感謝/プラスワンのケア等の提供を徹底している。
b) 満足保証の提供
ネットでは購入した商品が気に入らなければ返品が比較的やり易い。リアル店舗も満足保証をしており、返品のし易さを強化しており、満足しなければ使用後でも返品OKをしている。スーパーマーケット・ラルフスでは、果物がおいしくなければいつでも返品OK、生花も購入後一週間以内にしおれた場合はお金を返却する満足保証をしている。お客に後悔させるような買い物をさせたのではネットに流れてしまうからだ。
c) お取り寄せの強化
リアル店舗の品揃えは、ドラッグストアで2万アイテム、スーパーマーケットで3万5千アイテム程度だ。一方ネットはロングテールの商品をも大事にするために、莫大な品揃え数だ。ウォルマートのスーパーセンターの約20万アイテムの品揃えでも比較にならない程の多さだ。リアル店舗でお客の求める物を全て品揃えすることは、店舗サイズに限りがあるため不可能だ。しかし品揃えされていない商品に要望があった場合「ありません」といったのではネットに顧客を追いやることになる。そのため現在では「客注(品揃えされていない商品の取り寄せサービス)」を強化している。


値段だけを買い物の絶対条件としない顧客をロイヤルカスタマーにすることを再度強化
a) ロイヤリティカードの一歩進んだ活用
メンバー対象セールや貯めたポイントによる特典などの今までのやり方から、顧客情報からの商品開発/レイアウト/陳列/販促に活用をしている。
b) マインドシェアの向上
顧客別に最適な情報を常時メールで提供することにより、お客の頭の中に自店を強く刷り込んでもらえるマインドシェア戦略を高めている。そのために顧客のスマホにはお買い得情報など各種を頻度多く流している。また企業の信頼構築のために積極的な企業広告をして、コーポレートブランドの確立つまりブランディングを強力に進めている。


a) エキサイティングな売り場
お客は単に買い物のためだけでなく、気分転換や楽しみのためにも店に来ている。だから、ネットの無機質さに対抗して、わくわくする売り場の提供(試食・試飲・試着など体験コーナーの充実)を実施している。
b) コミュニティーの集まりの場
買い物だけでなく、コミュニティーが集まれるような教室/催し/パーティー/食生活改善/節税などの各種相談会の実施をしている。スーパーマーケットホールフーズでは、店舗をコミュニティーの集合の場にしており、地域の行事などの情報、お客同士の情報交換、料理未経験者や子供への料理教室、子供のバースデーパーティー、女性だけのワインパーティー、ファッションショー等を行っている。
c) ミックス&マッチ/エシカル販促
販促のスタイルも一個単位のディスカウントが減少している。それはアマゾンと直接価格比較されるからだ。そこで登場したのが「3個目無料」「2個目50%引き」「4個購入すると6ドル引き」などバンドル系の価格販促が増加。また「ワインとステーキ肉で5ドル引き」のようなペアリング販促も増加している。又エシカルつまり社会貢献型販促が増加している。買い物を通して社会貢献したいと考えるお客の気持ちを汲んだ販促で、「ピンクリボン」「恵まれない子供に5百万食の提供」など多く組まれている。

 

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