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米国小売業の成長は下記の表のように予測されている。これによると、小売業全体で2010年〜2015年は4.3%の成長、2015年〜2020年は4.7%の成長と、5%以下の低い成長だ。一方無店舗販売を見てみると、2010年〜2015年は14.7%、2015年〜2020年は11.7%の成長と全体の伸びより遥かに大きい。つまり、消費者は今後ますますネットを中心とする無店舗販売を活用し、店舗に足を運ぶ回数が減ることが予測されるということだ。

【米国業態成長予測】
業態
2010〜2015年 (%)
2015年〜2020年 (%)
 アパレル
4.4
5.1
 ホールセールクラブ
6.3
5.9
 専門店
3.4
3.7
 コンビニエンスストア
4.0
4.0
 百貨店
0.5
1.6
 ディスカウントストア
7.9
7.4
 ドラッグストア
3.8
4.1
 スーパーセンター
3.4
3.1
 量販店
▲1.4
▲0.5
 無店舗販売
14.7
11.7
 スーパーマーケット
3.8
4.2
合計
4.3
4.7
資料:Kantar Retail Analysis,2012

そこで、来店客数や来店頻度が各小売業にとって非常に重要な戦略になっている。つまり、来店してくれれば購買につながるが、来店してくれなければ購買の可能性はゼロだからだ。来店増加策の興味深いケースを、全米第3位のドラッグストア・ライトエイドを中心に述べてみよう。


マンハッタンにあるメトロノース鉄道のグランド・セントラル駅は通勤列車が多く発着するターミナル駅で、地下に29面のホームと、46の発着番線を持つ。2013年2月1日に駅舎生誕100周年を迎え、記念式典が開かれた。また併せて2014年に駅舎生誕100周年を迎える日本の東京駅と姉妹提携を結ぶことも発表された。そのグランドターミナルにあるドラッグストア・ライトエイドは約15年前から店舗を出している。その店舗では、列車を利用して通勤する客に一日に2度来店してもらうための工夫をしている。朝来店してサンドイッチ、コーヒー、清涼飲料水、薬、雑貨用品等を購入したお客が夕方帰宅時に駅に戻ってきたときにもう一度来店して購買してもらうために、朝のレシートを見せると購買金額の10%がディスカウントされるというプログラムの展開だ。列車が出発するまでの間の時間を使って、再度来店して家庭で必要な商品を購入する顧客の姿を見る。


ロイヤルカスタマーを創るために、多くの小売業がロイヤリティーカードを発行して特典を与えている。現在米国ではロイヤリティーカードの発行枚数は21億枚、つまり人口一人当たり7枚持っている計算になる。企業単位でみると、米国No.2ドラッグストアのCVSが68百万人と2012年まで最も多かった。このメンバー数でCVSの売上げの約7割を上げていること、メンバーは非メンバーより一回当たりの購買点数が85%も多いことなどから、会員はCVSにとって非常に大切な顧客層になっている。このCVSの会員には来店する楽しみがある。それは来店時カードをスキャンすると、その日の買い物に対しておまけのクーポン券が出てくる仕掛けがあるからだ。そのサプライズを期待して来店する顧客が多い。
一方ウォルグリーンも昨年からバランスカードというロイヤルティープログラムをスタートした。2013年の会員はすでに7千万人を超え、米国小売業で最大のメンバーシップを集めている。この企業で興味深いのは、ウォーキングをすると1マイルに付き10ポイントが提供される「Walking with Walgreens」というプログラムを提供していることだ。肥満の多い米国ではダイエット及び運動が必須ということで、ウォーキングを推奨し健康作りをポイントと関連付け奨励しているところが面白い。
さて、ライトエイドのロイヤリティーカードメンバーは、セルフ売り場の買い上げ金額1ドルに付き1ポイント、そして調剤では1調剤に付き25ポイント提供される。そしてメンバーシップは、獲得ポイントの点数によって、一般メンバー、ブロンズメンバー、シルバーメンバー、ゴールドメンバーに分けられる。そして与えられる特典はメンバーのランクによって下記のように違ってくる。

メンバーの特典
一般メンバー
ブロンズメンバー
(250ポイント以上)
シルバーメンバー
(500ポイント以上)
ゴールドメンバー
(1000ポイント以上)
 メンバー向けセール価格特典
 レジでのサプライズ特典
 365日24時間薬剤師への相談
 Upromiseへの参画
 PBの10%値引き特典(年間)
-
-
-
 全商品の10%値引き特典(年間)
-
-
-
 ヘルスチェック/スポーツクラブ
  メンバーシップ
-
-
 全商品の20%値引き特典(年間)
-
-
-


このライトエイドのユニークなロイヤリティプログラムについて述べてみよう。
a) 学生を支援するUpromiseプログラムへの参画
米国では大学の授業料や寮の生活費が上がり、学業を続けるのが困難になっている学生が沢山いる。そこでこのUpromiseというプログラムが注目され普及している。これはUpromiseを提携したカード会社のクレジットカードやデビットカードを使用して普段の買い物などをすると、自動的に登録した人の口座に学費が貯められるというプログラムだ。ユニークなのは、学生だけでなくその学生の両親や祖父母がその学生向けに買い物をした時にもポイントが提供されることだ。ターゲット、ベストバイ、コールズなど800以上のオンラインストア、1万軒以上のレストラン、2万1千軒以上のスーパーマーケットやドラッグストア、そして複数の旅行会社やガソリンステーションが参加して学生を応援している。ライトエイドもその中の1社だ。参加企業は企業イメージの向上は勿論のこと、これを通しての生涯客作りの狙いもある。メンバーは1000万人を超えており、月間に1000ドルを貯める人もいる。
b) 無料ヘルスチェックやジムの年会費
シルバーメンバーやゴールドメンバーは、ポイントを使ってヘルスチェックが無料、健康作りに必要な定期的な運動促進のためのトレーニングジムの年会費が無料になる。ドラッグストアには地域の人々の健康作りのために役立つという使命がある。ポイントを活用しての健康作りは他の業態との差別化にもなっている。
c) シニア向けロイヤルティプログラム「Wellness65+」
ライトエイドが最近始めたシニア向けプログラムで「Wellness65+」というのがある。その特徴は、いつでも薬剤師に優先的に相談できること、毎月第一水曜日の買い物が全品20%引きになること、調剤の自己負担分金額1ドルに付き1ポイントが提供される(1回当り25ポイントが上限)というものだ。これは増加するシニアを彼らのビジネスのコア客にするための試みだ。


ロサンゼルスのトーランス地区にある、リージョナルショッピングセンターのサウスベイギャレリアショッピングセンターでは、キッズクラブを組織化している。ほぼ毎週3回フードコートでキッズクラブの活動が開催されている。参加は無料、親が2歳〜10歳までの子供を連れてゆき、その場で申し込めばメンバーになれる。子供たちにゲームの楽しさ、教育的なエンターテイメント、健康に良い食べ物を摂取する習慣、定期的に運動すること等を教える。又、メンバーはディスカウントで買い物ができ、抽選で商品がもらえる。このように、子供にとって楽しい場所を作り上げることにより、ショッピングセンターへの親子の来店を促進している。またそこで教わったことを通して、子供に適切なものを買ってあげたいという衝動を起こさせる効果もある。
オーガニックスーパーで有名なホールフーズマーケットでもキッズクラブを展開している。毎月2回土曜日に行われる。そこでは健康に良い食事の作り方、食品の購入の仕方、そして日常生活の習慣を教えてくれる。またそれだけでなく子供たちが楽しめるようなクリエイティブで教育的そして革新的なプログラムが組まれている。お母さんはその間に買い物をすることができる。これは母親を月に最低でも2度来店させる仕掛けだ。また楽しい思いをした子供は母親と買い物に行くときに、ホールフーズマーケットを選択する。

 

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