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消費者が何かの必要を感じたとき、条件反射的にお店の名前を思い出してもらえるように、お客の脳裏に強く記憶してもらえること、つまり「顧客のマインドシェアを高めること」の重要性について前回述べた。今回も引き続き米国小売・サービス業の様子を伝えよう。


成長著しい米国のスーパーマーケット・トレーダージョーは、ロサンゼルス出身で現在はニューヨークやシカゴにも進出して大人気だ。他では見かけない珍しい商品を取り揃え、美味しいものだけを出来る限り安価で販売するというポリシーを掲げ、他のスーパーマーケットとは一線を画している。300坪程度の店に約4000アイテムと品揃えを絞り込んでいる。グルメ・フード、オーガニック、ベジタリアン、輸入食品に冷凍食品などの品揃えが豊富。このスーパーマーケットはワイン売り場を比較的大きくとっているが、ユニークなのが1ドル99セントのワイン「チャールズショー」(通常「2バックチャック」と呼ばれ、つい最近値上げをしたがそれでも安い)だ。その圧倒的な安さで度肝を抜かれた顧客は、このスーパーに対し強烈な象を持っている。
「驚きの価格1ドル99セントのワインを売るトレーダージョー」


スーパーマーケットのゲルソンは、南カリフォルニアで展開する20店舗程度のチェーンだ。地域の文化向上に関心が高く、優れたミュージカル、劇、音楽会、美術展などがあると協賛をし、消費者にディスカウントでチケットを提供している。例えば、年末になると恒例の「くるみ割り人形」のバレー公演がロサンゼルスダウンタウンのドロシーチャンドラーパビリオン劇場で、また夏にはハリウッドボール劇場で有名なミュージシャンを招いての音楽会があるが、必ずと言ってよいほど協賛をしている。消費者はそのチケットを買うためにゲルソンに買い物に来るし、劇場のパンフレットにゲルソンの名前を常に目にする地域住民には、地域文化向上に貢献するゲルソンというイメージが脳裏に強く焼き付いている。


北カリフォルニアにあるモントレーという地域は、スタインベックの著書「怒りの葡萄」などで有名になった。この町は近くに美しいカーメルの町や、ゴルフ場で有名なペブルビーチがあり、多くの観光客を集めている。サンフランシスコから車で2時間少々の距離なので、サンフランシスコやシリコンバレー一帯に住む人も気軽に日帰りで観光に来る。このモントレーに、非常に繁盛している湾に面したシーフードレストラン「モントレーフィッシュハウス」がある。夕方5時にオープンだが、人々はオープン前から待っており、開店と同時に席は埋まってしまう。いつも店の前には行列が出来ているが、夕方になると海風は夏でも冷たく感じる。このレストランは外で並んで待っているお客に、温かいスープやワインをサービスで提供している。冷たい風の中で待っているから、温かいスープは格別に美味しい。又その気持ちの温かさにお客は感動して、モントレーと言えば「モントレーフィッシュハウス・レストラン」というように頭に叩き込まれている。一杯のスープがマインドシェアを高めているのだ。


米国のスーパーやドラッグストアのチラシを見ると、クーポン券や割引券がついている。勿論それらに魅力を感じた顧客が来店してくれることを期待してのことだ。がもう一つの理由は、クーポン券や割引券が無い単なるチラシは、すぐ捨てられてしまう可能性が非常に高い。しかしそうした券がついていると、消費者はいずれ使おうと家の中にチラシを取っておく可能性が高くなる。家の中にあるということは、毎日のように目に触れるわけで、そのことがお客の頭の中にお店の存在をしっかり記憶させ、マインドシェアを高める効果になるからだ。


4人の子供がいる友達の奥さんペギーさんは、彼女の友達に頼んでせっせとフレッシュ&イージーというスーパーマーケットの領収書を集めている。聞いてみると、米国に進出してきたイギリスのスーパーマーケット・テスコの子会社であるフレッシュ&イージーが、「領収書を捨てないでください。その領収書を弊社に送ってくれれば、20ドルに付き1ドルを領収書の送り主が指定した学校へ寄付をします」というキャンペーンをやっているというのだ。学校の先生が父兄会を通して、また子供たちにその話をするので、キャンペーン期間中は出来るだけフレッシュ&イージーで買い物をする父兄が多い。米国の公立学校は州の学校に対する予算カットのため教材不足で悩んでいるため、父兄の協力は学校にとっても予算上助かるし、スーパーマーケットにとっても売上げ向上に役立つし、このプログラムは多くの人々の間にフレッシュ&イージーのマインドシェアを高めている。


ラスベガスで20年以上営業しているラスベガス最大のこのリカーストアは、購入額に応じてポイントを消費者に提供している。面白いのはユナイティドウエイという米国の代表的な慈善福祉団体にポイントを活用した寄付をしていることだ。お客の供出ポイント4000につき50ドル、2000につき25ドル、800につき10ドル、400につき5ドルを寄付する仕組みだ。お客の中にはポイントを自分だけのために使うのでなく、社会に役立てたいという人もいる。特にシニアになると世話になった社会に恩返しをしたいという気になる。それらの人々の気持ちをくみ取ってこのプログラムを展開している。この手のプログラムを実施している小売業は少ないため、地域の人々に非常に強い印象を与えている。


ウォルマートは世界一の小売業だが、ともすると芳しくない評判を耳にする。ある地域に出てくると、そこに昔からある小売店を低価格戦略でつぶしてしまうこと、低い給料により地域経済が縮小すること、24時時間営業の店が多いためガラの悪い若者がたむろし地域の風紀に問題を起こすことなどがあったからで、ウォルマートの出店に反対する地域が結構ある。そのため、最近のウォルマートは良いイメージを作り、マインドシェアを高める戦略を取ってきている。地域への寄付、地域経済の活性化のためのローカル産の青果や精肉の取り扱い強化、地球にやさしい商品の取り扱い、自然採光を出来るだけ活用し且つ太陽光発電で電力を供給する環境に優しい店舗、労働環境に配慮された信用のおけるメーカー(国内外)との取引、環境に優しい配送用のトラックの利用等を実行に移しイメージを良くしてマインドシェアを高めている。


Pret A Manger は1986年にロンドンでオープンした「Fresh & Natural」をキーワードに成長しているベーカリーショップだ。シンクレアとジュリアンというカレッジの学生が、ナチュラルで防腐剤ゼロの原料でサンドイッチを作り、2000年に米国に進出しマンハッタンンの証券取引所の近くにオープンした。ナチュラルな材料が評判を呼び、今ではニュ−ヨーク、シカゴ、ワシントンDCで人気の店で、現在では300店舗近くになった。開店の依頼が多いが、1店舗1店舗を大切にオープンしている。バゲット、ペイストリー、クロワッサンを毎時間1日中作っており、鮮度が落ちると即座に店頭から引きあげられる。配達は無料でチップも不要。その日に売れ残った商品を翌日売ることはせず、その日のうちに恵まれない人たちの施設に配られる。またサンドイッチやバゲット一個に付き50セントがPretファンデーションを通して慈善団体へ寄付されている。Fresh & Natural、社会貢献活動、顧客のヘルス&ハピネス創造などの企業運営哲学が顧客に大きな感動を与え、消費者の心の中に深く入り込んでいる。

 

 

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