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人間は何か必要性を感じたとき、条件反射的にあるモノを思い出す。例えば、ビールを飲みたいと思ったときに「アサヒスーパードライ」、傷口をふさぐ救急絆創膏が欲しいと思ったときに「バンドエイド」とすぐに思い浮かんたら、それらのブランドは人々の記憶に強く刷り込まれているといえる。つまり「マインドシェア」が高いのだ。コンビニに行きたいと思ったら私は「セブンイレブン」と思い出すが、これは私の中にセブンイレブンのマインドシェアが高いからだ。消費者にこのような状況を作り出したいと熱望して対策を立てているのが今の米国の小売業だ。彼らがマインドシェアを高めるためにとっている具体例を紹介しよう。


心理学の世界で「ザイオンスの熟知性の法則」というのがある。それは、人間には見る回数が多いほど、好意を持つ傾向があるということだ。小売業も消費者の身の回りに4店舗以上あると、見る回数が増えてその企業に対する消費者の信頼度が増していく。運営コストや管理コストを抑えるということもあるが、米国の小売業が一つの地域に集中的に出店するのは、実は消費者の間にマインドシェアを高めるためだ。広告の世界では、この人間の心理をAIDMAの法則と呼んでいる。コマーシャルやチラシを継続して展開するのはそのためだ。最近気がつくのはTVCMでも商品のコマーシャルよりも、企業のPRの方が多いことだ。例えばウォルグリーンにしても、売り出しの案内よりも、ウォルグリーンがいかに人々の健康生活に役立つかを盛んにPRしている。これは「商品を売る前に、企業の信頼を売れ」という言葉があるように、企業のマインドシェアを高める戦略だ。


岡山県にある「ザグザグ」というドラッグストアの企業ミュージックは「…ちょっと気になるザグザグ」と終わるが、岡山では多くの人がこのミュージックを知っているとTVで紹介されていた。実際岡山の人に聞いてみると、やはりとてもよく知られている音楽だという。また山陰地方No.1のドラッグストアウェルネス湖北では、「ウェルちゃん」「ネスちゃん」という男の子と女の子のキャラクターを作り、地域の人々に愛されている。このキャラクターもマインドシェアづくりに役立っている。ひと昔前に筆者が勤めていたコカ・コーラが「スカッと爽やかコカ・コーラ」という音楽を流行らせた。このように人々に口ずさまれるようになると、頭の中にしっかりと企業名やブランドが刷り込まれてマインドシェアが高められる。その頃洋菓子の不二家のペコちゃん人形は店頭に飾られ、人々の絶大なる人気を集めていた。


家庭で一日のうちに一番使用する電化製品は何だと思いますか?それは多分冷蔵庫でしょう。朝・昼・晩の食事、おやつ、飲み物、氷など色々な場面で利用している。そして家庭の主婦はよく冷蔵庫のドアの外側に、マグネット(磁石)を利用してメモなどを貼りつけている。その習性を見てCVSというドラッグストアでは、CVSファーマシーと書かれたマグネットを消費者に配っている。また毎年10月頃になると、ウォルグリーンは企業名と一緒に月毎のページにそのシーズンの病気予防のアドバイスの入った翌年のカレンダーを調剤室のところに置き、お客が自由に持ってゆけるようにしている。つまり、人々が毎日のようにCVSやウォルグリーンという企業名を見ることで、しっかり頭の中に叩き込んでもらう、つまりマインドシェアを高める目的だ。


人々にとって赤ちゃん、小さな子供、ペットなどは思わず笑顔が出るほど可愛い。それが我が子や我がペットになればなおさらだ。親バカが多いのもうなずける。一説によれば神様はそのような可愛い生き物に「可愛さ」という武器を与えたという。小さいがゆえに襲われたとき反撃ができない。そのため「可愛さ」を武器にして、相手に襲うという考えを持たせないようにしたという神さまの思し召しだという。米国の小売店では自慢の赤ちゃんやペットの写真大会をし、抽選に当った人に企業名の載った世界にたった一つのカレンダーを提供している。企業側がカレンダーを用意し、白紙のところに抽選で当たったお客の赤ちゃんやペットの写真を6種類または12種類ジェットプリントして特別なカレンダーを作るのだ。世界でたった一つのマイカレンダーとして好評だ。


米国北東部に4店舗を持つスーパーマーケットスチューレオナードという非常に優れたスーパーマーケットがある。中小規模の小売業の鏡ということで、ホワイトハウスに呼ばれて表彰されたこともある。毎日お客さんで溢れており、世界一の売り場生産性でギネスブックに登録された。このスーパーマーケットの面白い試みは、旅に出た時にスチューレオナードの買い物袋を持って行き、現地の名所旧跡、例えばピラミッド、万里の長城、金閣寺の前などで買い物袋を良く見えるように写真撮影して店に送ると、選ばれた写真は店の入り口に張り出されて5ドルのご褒美がもらえる。旅先までこのスーパーマーケットの買い物袋を持っていくというのは完全にマインドシェアが高まっている証拠で、旅の良い思い出にもなる。
日本では大鵬薬品が、「愛情ドリンク」をテーマに、恋人や夫婦、子供たちがチオビタを飲んでいるシーンを写真にしてスマホなどで送ってもらうコンテンストを実施した。これも又マインドシェアを高めるのにじわりと効いてくるやり方だ。


ウォグリーンやスーパーマーケットNo.1チェーンのクローガーは常にネットを活用して顧客満足度サーベイを実施している。サーベイに答えてくれたお客の中から毎月40名の人々が100ドルのギフトカードをもらえる。ウォルグリーンの場合は、サーベイに協力したお客の中から、毎月最高で3000ドルが当たるようになっている。ターゲット、ホームデポ、ロウズ、ベッド・バス・ビヨンドなど、それぞれの業態の代表的な企業は、積極的に顧客満足サーベイを実施している。顧客の声を聞いてサービスレベルの改善を図ること、顧客の参画意識を高めてロイヤルカスタマーに導くことが目的だ。それに加えて、毎月顧客の声を集めることは、顧客のマインドの中にそれぞれの企業の存在をしっかりと記憶させることで、マインドシェアを高めることになる。ラルフススーパーマーケットの場合は、レシートに購入店舗番号、購入時間やレジでの対応従業員の名前も載っており、それをサーベイフォームに記入しメールで送るようになっている。高級スーパーマーケットのブリストルファームでは、買い物をした顧客が領収書に書いてあるサーベイ番号を入れてメールでコメントを述べると、1か月以内に再来店して10ドル以上の買い物をしたときに3ドルディスカウントされる特典が与えられる。ラルフススーパーマーケットでは抽選で100ドルが当たる。但し応募をするために名前・性別・年齢・住所・電話番号・家族構成等を書かされるので、店にとっては顧客情報の収集とマインドシェアを高めるのに役立っている。


野球の試合でもそうだが、ゴルフのトーナメントで1番になると記憶に残る。2番以下では残らない。よく選手たちは「優勝以外は皆同じ。だから優勝しなければならない」と言う。ビジネスの世界も同じで、No.1とかチャンピオンなどはお客の心に残る言葉で、マインドシェアを高める。ウォルマートは「エブリデー・ロープライス」という有名な言葉があるくらい、圧倒的に安い価格を提供している。ホームセンターのホームデポは、品揃えや品質において、素人は勿論プロからも一目置かれている。ホームセンターの定義である「家が一軒建ち、修理できる業態」である。そのため、ありとあらゆる商品・品質は、工務店や大工などのプロ需要を満足させる商品が揃えられている。ナチュラルフーズを多く品揃えしているホールフーズマーケットは、オーガニック食品の品揃えと品質において群を抜いている。ドラッグストアのウォルグリーンはヘルスケア商品ならベストな品揃え、4店舗の優秀スーパーマーケットスチューレオナードは「スーパーマーケットのディズニーランド」と言われるほど楽しい雰囲気作りでNo.1である。No.1分野を持つ企業はいずれも、顧客のマインドシェアを高め、戦いを有利にしている。

 

 

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