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最近の米国小売業の新しい動きとして「ローカル」(地元商品拡販戦略)ということがある。テレビの人気コメディー番組の中で、主人公の二人がレストランでチキン料理をオーダーしようと思い、「今日のチキンはどこの農場で取れたの?」と質問する。真意はローカル産かどうかを確認しようとしたのだ。ウエイトレスは即座にローカルの農場名とそこでの飼育状況を写した写真を持ってきて客の質問に手際よく答える。コメディーの番組に取り上げられるほど、「ローカル」(地元産)であることが米国の小売業やサービス業にとって大切になっている。
大手チェーンストアはとかくどこも同じで特徴が無いことや、資本力に任せて地元の中小小売店やメーカーを潰していくことが非難の対象になることがある。2009年7月リテールマーチャント協会が 「Think。Shop, Buy, Local」キャンペーンを始めた。出来るだけ地元の小売業から購入しようというキャンペーンだ。そして地元企業の小売業から購入すると、販売価格1ドルのうち45セントが地元に落ちるが、ナショナルチェーンの店舗の場合は15セントしか地元にお金が落ちないということを訴求した。地元の企業はその点を強調し「Shop Local」(ローカルのお店で買物をしよう!)運動を展開した。その動きに危機感を抱いたリージョナルやナショナルチェーンという大きな企業が「ローカル」に力を入れ、地元に同化する戦略をとり始めたのだ。消費者のローカル商品を購入する意識が強くなったことで、大型チェーンもローカルのメーカーや農場・牧場をサポートしなければ生き残れないということに気がついたのだ。
スーパーマーケットのホールフーズマーケットは早くからローカルキャンペーンに力を入れ、青果、卵、ベーカリー、菓子、ビール等のローカル商品を豊富に品揃えし、また農場などにローンを実施して彼らを財政的にも支援をしている。ビタミン売場のホールボディーコーナーでは、ローカルの職人を育てるプロググラムを展開している。またカリフォルニアのローカルスーパー・ナゲットマーケットでは近隣の農家と年間契約をし、農家を支援すると同時に消費者に地元青果を提供して好評だ。最近ではウォルマートでさえ地元農家からの仕入れに踏み切った。ドラッグストアのウォルグリーンは商圏の顧客に合う品揃えということで、全店共通品揃え率をかつての90%から現在は70%、そして将来的には50%まで落とす考えだ。ローカルマーチャンダイジングをしなければ商圏の消費者の満足と信頼を勝ち取れないという考えから、今年1月にオープンしたウォルグリーンのシカゴのフラッグシップストアでは、フレッシュフーズ、ワイン、デリカそしてベーカリー商品の多くをローカルの商品で品揃えをした。ウォルグリーンの子会社のデュエンリードはマンハッタンで店を展開するが、デリカコーナーにはレストランコーナーがあり、そこにはマンハッタンのレストランで料理されたパスタやソース、サンドイッチ、寿司が販売されている。中西部でスーパーセンターを展開するマイヤーはミシガン州立大学と提携して「メイドイン・ミシガン」プログラムを展開し、長期間経済不振に陥っているミシガンに少しでも貢献出来るようミシガンにある33店舗で地元で作られた46アイテム(ソース、調味料、バターなど)を特別カウンターを設けて販売している。マイヤーの担当者によると、多くの消費者が地元産商品を知って喜んで購入しているとのことだ。シアトルに本部があり主にワシントン州で展開するローカルドラッグのバーテルドラッグは、2011年9月に展開し始めたニューフォーマット店舗の「アーバンマーケット」というフード・日用雑貨コーナーで、地元で生産された石鹸、暖炉用の薪、コーヒー、ワイン、ビールなど所狭しと陳列している。バーテルドラッグは20世紀初期の大恐慌のときから、地元の農場や企業の製品を販売すれば、それらの企業が潤い、結果として自分の店にお金を落としてくれるという考えから、積極的に地元商品を扱ってきた。その結果、大企業のウォルグリーンやCVSが参入しても、それらの企業と品揃えで差別化が出来ているためにしっかりと勝ち残っているのだ。バーテルドラッグは「ローカル」戦略の先駆者でもある。このように米国の小売業は今、店舗を展開するその地域の消費者やサプライヤーとの関係を強化し、地域に貢献する戦略を取っている。スターバックスでさえ、実験的にではあるが彼らのロゴサインなどをやめて、店内の椅子なども地元の教会や学校で要らなくなった机・椅子を活用することでローカルコーヒーショップの雰囲気を出して、地元の人々の信頼と愛着を引き出す店作りをしている。
実際にこの厳しい経済化でも「ローカル」をうたった商品の売上は成長している。各小売業がローカル戦略を強めているのには次のような背景がある。


フードマイレージは、食料の輸送に伴って排出される二酸化炭素が、地球環境に与える負荷に着目した考え方で、食品の生産地と消費地が近ければフードマイレージは小さくなり、遠ければ大きくなる。環境に関心の高い人々が増加している現在、消費者はフードマイレージの少ない食品を好む傾向がある。


地元で採れた農産物を地元で消費する地産地消によって地元の経済が潤う。地元が潤えば税収入の増加、雇用の促進、経済の地元内での良い循環と大きなメリットがある。消費者はどうせ買うなら地元のものを購入しようという意識が高い。


身土不ニ(身体と土・気候は密接に関係があり切り離すことは出来ない。つまり地元で取れたものが身体に一番良い)という言葉が漢方の世界にある。その意識が米国でも拡大している。


農場や牧場の活性化により、地元の自然環境が荒れ放題にならず健全に維持できる。


外国や他の地域からの食糧に頼る比率を下げ、地元の食料自給率を高めることにより食料の安定供給を可能にする。


しかし、「ローカル」戦略が万能かといえばそうではなく、問題も多くある。それは主に「効率」と「価格」の点にある。広告にしても、ローカルと言う限定された店舗になるため、広範囲の地域をカバーするのに適したTV等のマスメディア広告を打ちにくい。そのため来店した顧客に訴求するしかない。配送にしても、通常のサプライチェーンラインに乗せにくい。価格は外国や国内で大量生産される商品に比べてコスト高になりがちだ。また新製品や製品改良のスピードが鈍い。
このような問題を抱えながらも、消費者の強いサポート、持続性(サステイナビリティ)、地域の経済効果などを考えると、ナショナルやリージョナルと言う大きな企業にとっても「ローカル」戦略は無視できない状況になっている。
日本でもスーパーマーケットの中に「村育ち」と言う言葉を使ってローカル商品を拡販しようという動きが出てきている。地元の人は地元の農産物を購入しようとするし、他県から来た人はどうせなら地元産を買ってみようということでそれらの商品は良く売れている。今のところ消費者は地元の商品は新鮮だからというイメージで購入しているが、今後はフードマイレージ、地元の経済の繁栄、そして身土不土という観点も強力にPRしてさらに推し進めていく必要がある。

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