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 先月号では、どんなに内容が素晴らしい販売促進や店頭MDを実施しても、価格に無神経な展開をしたのでは、不景気で買い物に慎重になっている消費者は購買に前向きにならないし、時には店を離れてしまうことを述べた。そこで、米国の小売業では価格に敏感になっている現在の消費者を下記の4つに分類し、それぞれに対策を施している。
1)安い商品・安い店でしか買わないお客
2)安くても必要な量しか買わないお客
3)安くても必要としない商品は買わないお客
4)得をする店やタイミングでしか買わないお客

前回は1)の「安い商品・安い店でしか買わないお客」に対する対策を詳細に述べた。今回は2)〜4)までのお客に対する対策について述べてみよう。


より多く購入する方がはるかに経済的であるプログラムを提供し、購買意欲を高める。
a)「まとめ買い」プログラム
不景気を経験した消費者は、一個25%引きをしても1個しか購入しないので、購買点数が上がらず、結果として売上げや利益額が減少してしまう。その問題を解消する為に役立つのが、「2個目50%引き」や「3個目無料」という「まとめ買い」販促だ。これであれば消費者は割引の権利を得られる2個目を買ったり、3個目を購入するから購買点数が上がる。筆者の家庭も日常的にハーゲンダッツの大容量アイスクリームを購入するが、2個目50%引きの時家内は必ず2個購入する。そして家にあればどうしても食べてしまうので消費が促進される。
b)「ミックス&マッチ」プログラム
「キャットフードどれでも1缶10ドル」「(同一メーカーのお菓子)5袋どれでもまとめ買いで5ドルディスカウント」「(対象商品どれでも)5個まとめ買いで6ドルディスカウント」などの販促手法である。ワインも「どの商品でも6本購入すると10%引き」として購入を促進している。日本の輸入食料品店カルディも「コーヒー豆5種類購入すると300円引き」のキャンペーンを実施し、色々なコーヒー豆の購入を促進させている。こうしたプログラムは同一商品ではまとめ買いが促進されないが、色々な商品を購入できるプログラムだと、「バラエティさ」と「安さ」にひかれてまとめ買いをしてしまう心理をついている。


このようなお客には、商品の必要性を見えるようにしてあげることが必要だ。
a)ペアリング販促
米国のスーパーマーケットで最近よく行っているのが、「ペアリング販促」だ。ステーキと某ブランドの赤ワインを両方購入すると5ドル安く買えるという具合だ。ステーキ売り場には対象の赤ワインが陳列されているが、ワイン売り場にはステーキを陳列できないのでPOPで展開をしている。またスーパーマーケットのラルフスでは、夕食の各種メニューとそれに合う白ワインを購入すると割引されるペアリング販促を提供している。某レストランでは、食事の料理ごとにワインをフルグラスより価格の安いハーフグラスで提供している。お客は料理ごとに色々なワインを試したいが、フルグラスだと量が多すぎていろいろ試せないが、ハーフグラスだとその楽しみが増える。ドラッグストアでは「食器洗剤&ハンドクリーム」「歯ブラシ&歯磨き」のペアリング販促は良く行われている。
b)「Do You Know?(ご存知ですか?)」POPの活用
米国では風邪のシーズンになると、「風邪をひいたら歯ブラシを替えなさい」キャンペーンをやる。風邪の菌が歯ブラシに付着するため、中々風邪が治らないからだ。「風邪をひいたら歯ブラシを替えなさい。菌の付いた歯ブラシが風邪を長引かせます」という、ご存知ですか?POPを付けると、歯ブラシの売り上げが上がっていく。歯ブラシの交換の必要性を知った顧客が複数本買っていくのだ。スーパーマーケットのツルヤでは、「朝ごはんが必要な理由(わけ)ご存知ですか?朝ごはんをしっかり食べましょう」POPで、体の中でエネルギーを作る、脳の働きをアップする、生活のリズムを整える、丈夫な体を作るなどを訴求して、朝食の材料を拡販している。お客は「知らなかった有用情報」や「忘れていた有用情報」を提供されると非常に興味を持つので購入が促進される。
c)消費者の使用体験談POPの貼付
個人の行動は、個人の価値観や信念などによって決定されるだけでなく、個人が何らかの関係を持つ様ざまな社会集団の影響を受ける。こうした個人の行動に影響を与える集団を準拠集団という。小売業の場合、お客は他のお客を準拠集団と捉え、他のお客の言葉を信じ易い。その心理を利用して行っているのが、「試食した消費者の感想をそのままPOPに使用」することだ。写真のように、「最高にうまかったよ!」という言葉を写真付きでそのまま載せるので、購入しようと思わなかった人も思わず誘われて買ってしまう。
d)試食・試飲・試着の実施
人間は、5感をフルに使用して情報を集め、そして判断をしている。購入してもらうためにはその5感に訴求し、「きれい」「うまい」「香りが良い」「肌触りが良い」などの印象を与えて、人間なら誰でも持っている衝動性をかき立てる必要がある。スーパーマーケットのトレーダージョーでは、試食コーナーが店の奥に設置され、専任の従業員が配置され顧客にお勧め商品を試食させている。
e)ソリューション陳列
別名プロジェクト陳列ともいうが、「素敵なあなたを作るビューティーケア」「風邪を
1秒でも早く治す方法」「花粉症対策」などのソリューション(問題解決)型陳列だ。「風邪を一分一秒早く治す」ためには、風邪薬、うがい液、滋養強壮剤、ビタミンC、マスクなどが必要になる。それぞれの問題を解決するための各種商品を揃え、効果的な使用方法と生活の注意点をPOPやカウンセリングで伝達する売り場展開が増加している。お客は自分の抱えている問題解決をワンストップでショッピング出来るので便利だし、お店にはまとめ買い増加の利点がある。
f)フレーミング効果を高める目玉商品
家電、衣料、ゴルフ道具、家具、宝飾品などのチラシは、毎日山のように新聞に入っている。チラシには必ず目玉商品が入っていて、お客はそれに魅かれて店に行く。売り場の目玉商品の傍らには、少々値段は高いが同種の商品や関連する商品が陳列されているから、お客は「使い勝手がよさそう」だとか「もっと魅力的だ」ということで、目玉商品以外の商品や関連した商品を購入してしまうということが多々ある。このように「買いたい」とか「興味がある」という一つの方向性の枠に入れることを、フレーミング(額縁の中に入れる)という。目玉商品は利益が取れないばかりか、赤字ということも多い。そこで、お客を「買いたい」フレーミングにはめると効果がある。店舗側としては、フレームされたお客の心を、いかに定番価格の商品に移して購入してもらうかが重要になってくる。
g)エシカル販促
「東日本大震災被災者応援セール」などをすると、人々は購入意欲を促進される。それは、購入することによって被災者を応援出来るため、「役立つことの幸せ」が得られるからだ。また小売業の方も売上げが上がる。つまり「被災者」「購買者」そして「店舗」全員が「Win-Win」するプログラムなのだ。高齢社会になるほど、社会に恩返しをしたいという気持ちが高まるし、最近の若者は、社会貢献によって大いにやる気を起こすことが多い。売上げの一部が「小児がん撲滅基金」「乳がん撲滅基金」「貧困な国の子供の教育基金」など、購買を通しての社会貢献を謳うことで、直接的関係の無い商品でも売れていくケースが多々ある。


人間はモノ余り状態の商品は欲しがらないが、モノ不足や限定されると欲しくなる心理を持っている。
a)限定販促
人間は限定されると、「早く買わないと・・・」という心理が働き、冷静な判断力を失い、欲望を刺激される。「100個の限定品」「先着様50名様まで」「○月○日まで」「午前11時まで」など、商品個数、人数、時間などの限定条件は「急がないとなくなってしまう」というメッセージを発信しているのだ。「限定」にお客が引き付けられるもう一つの理由は、人間には努力して獲得したものを評価するという心理があり、商品の良さだけでなく苦労という努力がその商品に加わり、商品の価値を高めるのである。
b)アンカー商品の並列陳列
お客は比較しながら、自分で購入を決定したいと考えている。「アンカー」とは「心の比較ポイント」の意味で、人間は物事を決める場合、常に比較しながら、与えられた条件の中でベストを選択しようとする。値段、量、サービス、店のセンス、商品の品質や機能、デザインなど、常に比較ポイントを持って判断をしている。この比較のポイントをアンカーと呼ぶ。例えば、PB商品の値段がいかに安いかを分からせるために、NBをアンカーとして使い、お客に比較させる。PBのみでは売りにくい商品でも、NBという比較商品が陳列されているから、PBを購入する決断ができる。またディスカウントして販売するとき、値札に今までの価格とm新しいディスカウント価格を併記するのも、比較ポイントを見せていることだ。

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