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 景気にいくらか明るさが見えて来たとはいえ、リーマンショック後の不景気にあって人々は非常に価格に敏感である。どんなに内容が素晴らしい販売促進や店頭MDを実施しても、価格に無神経な展開をしたのでは、消費に対して慎重になっている消費者は購買に前向きにならないし、時には店を離れてしまう。そこで米国の小売業が価格に敏感になっている現在の消費者に対して、どのような価格対策をしているかについて2回に渡って述べてみよう。
まず、最近の消費者の買い物行動として理解しなければならないのは、「お客はお金がないわけではない。無駄な買い物は自分が愚かに見えるから、金を使わないのだ」ということだ。そして価格に厳しいお客様の考え方も十把一からげにすることは出来ず、「安い商品・安い店でしか買わない」「安くても必要な量しか買わない」「安くても必要のないものは買わない」「得をする店やタイミングでしか買わない」等々お客の種類が分かれていく。そのため、米国の小売業が提供している価格のプログラムは、こうしたお客の多様な買い物についての考え方に対して「賢い買い物」の提供をしている。

消費者調査をすると、値段だけがショッピングの絶対条件と考える人が19%の比率でいると言われている。しかしその人たちが実際に多くの小売業の値段を調べて回るのは不可能だ。安いと思われている店でも取扱っている全ての商品を安くすることは不可能で、安い商品と利益の取れる商品を販売することによって利益を確保している。つまりそのような対策のカギは、「当店は価格に自信があります。お買い得な店です」というイメージを作り上げることだ。

イ)最低価格保証(Low Price Guaranteed)
ウォルマートの「エブリデー・ロープライス戦略」は、その優れた手法によって、「全ての商品でウォルマートの価格は一番安く、他の店と比較しなくても大丈夫。例え他の店より少々高くてもそれは例外的なこと」とお客に捉えさせるイメージ作りが上手なのだ。つまり「最低価格を提供している店」イメージを消費者の頭の中に刷り込んでいる。
そのウォルマートも、今までの平均所得以下の世帯から平均所得から上の層も確保するというターゲット顧客戦略に切り替えた。そしてキャッチコピーも「Save More, Live Better(節約して、より豊かな生活を実現しよう)」に変え、有名デザイナーを採用してファッションアパレルを品揃えした。しかしこれが価格力を弱めることになってしまい、価格志向の人々の多くは、他のディスカウントストアやダラージェネラルなどのワンプライスストアに流れた。そのためウォルマートはあわてて2011年のクリスマスセールから「We‘ll Match It」という、同一商品なら他の店の低価格に合わせるという「Low Price Guaranteed」戦略を取り始めた。このように最低価格保証をし、価格を合わせるだけでなく差額の10%を値引きするというやり方をしている企業もある。最低価格保証をしても、実際に値段の申し立てをする顧客の数は限られていること、PB商品アイテムが増加している今日同一商品の数が減ったことなどで、利益に対するダメージは少なくなっている。それよりも最低価格保証という政策を打ち出し、消費者に安心して購入してもらう環境作りの方が好ましいと考えているのだ。
ロ)競合小売企業との比較価格の提示
北カリフォルニアにある独立スーパーマーケット「ナゲットスーパー」は、レジを出た壁面に近隣の競合スーパー(セーフウエイ、レイリーズなど)との価格比較をし、どの位のアイテム数で競合店より安かったかを月毎と累計で表示することにより、その安さを顧客に訴求している。またデリカでは全米一の評判をとる東部のスーパーマーケット「ウエグマン」は、比較的所得の高い地域に出店をしているが、価格に敏感な消費者が増加したため、同じ商圏内の競合との価格比較をし、タテ看板で顧客に訴求している。面白いことに低価格で評判の「コストコ」も競合の中に入れており、写真の通り比較価格リスト中で1アイテムだけがコストコより安く、他の商品は同じ価格だ。コストコより安い価格の商品を1アイテム訴求することにより、消費者に安いというイメージを与えようとしている。
ハ)PI値の高い商品が安い「アフォーダブルエッセンシャルコーナー」の展開
米国No.1のドラッグストア「ウォルグリーン」では、PI値の高い商品を集め、ゴンドラエンド2〜3本を活用して、地域内ドラッグストア及びスーパーマーケットとの比較で最低価格を1~3ケ月間展開している。これをアフォーダブルエッセンシャルコーナー呼んでいる。「ウォルマート」もロールバックという手法をとって、対象商品を長期間さらにディスカウントして提供し、来店した人に安いという印象を与えている。

現在非常に人気のあるスーパーマーケットの「トレーダージョー」は、ロサンゼルスからスタートし、シカゴそしてニューヨークと全国展開を目指しているが、食にうるさいニューヨークでも大成功している。300坪程度の店に、2000〜4000アイテムと絞り込まれた品揃えで、生鮮食品の品揃えは少ないが冷凍食品が充実している。待遇が良いため従業員は非常に明るく、レジの従業員もお客さんに必ず笑顔で話しかけてくる。このスーパーマーケットの商品は値ごろ価格の商品が多いが。その中でも圧倒的安さのプライベートブランドのワイン「Charles Shaw」(通称2ドルのチャックと呼ばれている)は常時山積みされている。今では全米のワインで本数ベースでは一番売られている。カリフォルニア州では1.99ドルその他の州では2.99ドルという安さだ。日本のアルコールメーカーのソムリエの資格を持った人に試飲してもらったが、味は試飲した20ドルのワインと同等だと述べていた。このように強烈な低価格の商品を1品持つだけで、トレーダージョーは安いお買い得な店だという印象を作り上げてしまっている。

常に低価格イメージのPOPを貼付しているA店と貼付していないB店では、例え価格が全く同じでも、消費者はA店の方がB店より安いと感じる。そのため、家具の「イケア」では「クレイジープライスや」」や「昨年よりさらに値引き」などのサインを掲げている。また「ウォルグリーン」では1週間1ドルのジェネリック薬を提供しているが、店内多くの場所に貼付されている1ドルという文字のPOPは非常に目立ち、手ごろな店というイメージを与えている。オーガニックスーパーで有名な「ホールフーズマーケット」は、比較的平均所得より上の高所得・高学歴のロハスの人々を対象にして成長し続けてきた。しかし不景気の波には勝てず、リーマンショック以後顧客離れが続き不振が続いた(ロハスの人々で所得を落とした人たちは、スーパーマーケットのトレーダージョーにスイッチ。トレーダージョーも意識的にホールフーズマーケットの近くに出店し、ホールフーズの顧客奪取をしていた)。そこでセールに無縁であったこの企業も、ホールディールという小冊子を作成し、お買い得商品や節約生活の提案をして、価格が高いというイメージを払拭している。

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