アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
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 米国のドラッグストアにおいて食品の重要性が非常に高まっている。例えば、米国ドラッグストア企業No.1のウォルグリーンは、「消費者が健康用品や日常生活用品を必要とする時、すぐにウォルグリーンの名を思い浮かべるような企業を目指す」という「マイ・ウォルグリーンビジョン」を打ち出した。今まではHBC(健康と美容)を主体にした戦略であったが、食品に力を入れることによってHBD(健康・美容・デイリーリビング)店作りを宣言したのだ。このような流れはすでに数年前から全米のドラッグストアの中で起きており、現在では下記の表のように、フロントエンド(調剤以外の売り場)の売上げではOTC薬の次に食品が9.5%、そして調剤を除いた売上げで見ると28.1%の売上げ構成比を占めている。
【チェーンドラッグの商品構成】
部門
金額($億)
構成比(%)
全体
調剤除く
 調剤薬
1594
66.9
-
 OTC/ヘルスケア
241
10.1
30.5
 コンビニエンスフード
222
9.3
28.1
 パーソナルケア
129
5.4
16.3
 コスメティック/フレグランス
69
2.9
8.8
 消耗雑貨
57
2.4
7.3
 ジェネラルマーチャンダイズ
54
2.3
7.0
 事務・学校用品
17
0.7
2.1
 合計
2383
100.0
100.0
(資料)Racher Press research

これは特に不思議な現象ではなく、実は1940年代のドラッグストアは街の真ん中に店を構え、ファーマシー、コンビニエンスストア(ミルク、パン、卵、野菜、氷、飲料水、酒、新聞、雑誌などの販売)、美容院(昔のドラッグストアは2階に美容院機能を設けて、米国人女性に化粧の習慣を普及させた)、軽食レストラン(ソーダファンテンコーナーで冷えたコカ・コーラなどの飲料水、コーヒー、軽い食事、ウォルグリーンが開発したミルクシェイク等の提供)などの機能を持つ店を展開していた。そして食品の売上げは30%程度あった。今の新しい傾向は、進歩しながらも実は昔のドラッグストアのスタイルに戻っているのだ。
80~90年代は他の業態特にウォルマートやコンビネーションストアと戦うため、健康と美容の専門性を高めてコアビジネスの充実を図った。

しかしここに来て人々の買物行動に「近場でのワンストップショッピング」という大きな変化が現れた。ガソリン価格の高騰、忙しい人の増加、そしてシニアの増加により近場での買物が求められるようになったからだ。
ドラッグストアとしても、消費者のニーズそして小商圏化した競争の激化に対応するため、顧客の来店頻度を高める必要に迫られ、食品の重要性を再認識した。最近注目されているのは、マンハッタンのデュエンリードウォルストリート店舗の食品の導入の仕方だ。この店は歴史的建造物「ウォルストリート40」の2階にある同チェーン最大の2000uの売場で、2011年7月にオープンした。
店内はヘルスケア、ビューティーケア、ホームケア(雑貨)、コンビニエンスケア(食品)でくくられている。ウォルストリートエリアの立地を考慮し、電光掲示板で株価を流したり、新聞売場や靴磨きコーナーなどを設けている。ヘルスケアコーナーでは今まで通り調剤薬、OTC初めヘルスケア商品が取り扱われているが、面白いのはインストアクリニックでドクターが配置されていることだ。他のチェーンでは、上級看護士が配置されているところが多いのだが、このチェーンには医師がいる。ビューティーケアコーナー「ルックブティック」では化粧品やビューティーケア商品を販売するだけでなく、ヘアサロンやネイルサロンの機能も備えた。スタイリングのみなら頭皮マッサージサービスも提供する。
自分の顔の画像に様々なメークパターンを重ねて化粧品を選択するときの参考に出来る機器(Find Your Look)も導入している。ドラッグストアとコンビニエンストアそして美容のサービス機能を導入した新しいスタイルだ。食品売り場の特徴は、寿司職人が握ったパック詰め寿司やサンドイッチが販売され、忙しいビジネスマンのランチや夕食として提供されていることだ。生ジューススタンドもあり、惣菜、冷凍食品、スナック、果物、ビール・ワインなどが品揃えされ、スターバックスの客を奪えということで、フレッシュなコーヒーがカップ販売されている。
下図は米国のトップ100社の業態推移であるが、ドラッグストアはコンビニエンスストアの倍近くの市場シェアを持っている。ドラッグストアが食品を強化することで便利性機能が高まった結果、コンビニの売上げを奪っていったのだ。またスーパーマーケットの地盤沈下が激しいが、これはスーパーセンター、ホールセールクラブ、ドラッグストアが積極的に食品を扱うことによって、かつては食品販売の独占的存在であったスーパーマーケットから売上げを奪っていった結果だ。

「コンビニの倍近い市場シェアを持つドラッグストア」
【米国小売業トップ100社構成比】
業態
1996年(%)
2009年(%)
差(ポイント)
 スーパーマーケット
26.0
17.9
(8.1)
 GMS
7.2
-
(7.2)
 ディスカウントストア
17.1
7.3
(9.8)
 百貨店
7.8
6.4
(1.4)
 ドラッグストア
5.5
7.7
2.2
 アパレルストア
3.1
2.4
(0.7)
 ホールセールクラブ
5.7
7.5
1.8
 コンビニエンスストア
2.2
4.4
2.2
 ホームセンター
5.5
7.4
1.9
 スーパーセンター
4.7
15.5
10.8
 ハードラインストア
10.2
10.4
0.2
 Eコマース
-
2.9
2.9
 インターナショナルオペレーション
-
7.9
7.9
 その他
5.0
2.3
(2.7)
 合計
100.0
100.0
-
(資料)Chain Store Age 2009年8月&9月号

一方日本のドラッグストアを見てみると、食品の構成比が50%近くあるチェーンが数社あるが、その他は20%弱のところが多い。下記のHCIドラッグストア経営統計によると、食品と酒で全体売上げの17.2%を占めている。米国のケースと比較するために調剤を除いて計算すると18.8%になり、まもなく20%を超えるだろう。
【ドラッグストア商品部門別統計】
部門
売上高構成比
(%)
粗利益率
(%)
回転率
(%)
交叉比率
(%)
 OTC医薬品
17.3
35.6
6.8
242
 調剤薬
8.4
33.0
10.9
360
 ヘルスケア
2.4
33.9
6.0
172
 ビューティーケア
9.3
25.4
6.1
155
 化粧品
17.3
26.0
4.7
122
 ベビー用品
3.2
10.5
8.9
93
 介護用品
0.1
20.4
7.5
153
 家庭用品
7.4
21.2
8.8
187
 日用消耗品
13.1
18.3
12.0
220
 食品(生鮮以外)
15.7
16.2
19.9
322
 酒類
1.3
12.3
13.3
164
 その他
1.5
17.8
7.2
128
 全体
100.0
24.2
7.6
184

 

【某ドラッグストアの食品部門内の売上構成比と粗利益率】
食品部門
売上げ構成比
(%)
粗利益率
(%)
 お菓子
3.8
16.2
 飲料
2.4
9.8
 他食品
5.6
9.3
 米
1.0
0.5
 畜産(たまご)
0.1
0.5
 酒
1.5
7.3
 食品合計
14.4
12.3
 総売上げ
100.0
23.6

日本のドラッグストアチェーンは、今後食品メーカーのより積極的な参入を求めていくだろう。某チェーンの社長によると「医薬品メーカーはこちらの要望に対してなかなか柔軟に動いてくれないが、食品メーカーは対応が早い」と評価していた。日本のドラッグストアはドラッグストアにおける食品の売り方を知らないので、多くの積極的な提案を待っている。成長の止まった日本の小売業でドラッグストア業態が今後さらに成長するためには、他の業態の売上げを奪っていく必要がある。そのためには食品が最適なのだ。では、ドラッグストアにおける食品の拡販のために必要なことについて述べてみよう。
1) スーパーやコンビニとは違った食に対するコンセプト作り
「医(薬)食同源」という考えのもと、食品を通しての地域の人々の健康と美容に貢献するコンセプトがなければ、単なる食品の安売り競争になってしまう。
2)食品の役割の明確化
a) 健康と美容に貢献する食品 
薬剤師・栄養士・美容師のコラボにより、健康作り、ダイエット、美容、妊婦向け、
シニア向け、成人病患者向け、要介護者向け等、各種ニーズ別提案
b) ドラッグストアの「近くて便利な買物機能」に貢献する食品 
3)品揃え・売場作りのステップ
適切な品揃えのためには下記のステップが必要。前述のデュエンリードやウォルグリーンの街中店ではすでに第三ステージに入っている。
第一ステージ ・ドライ食品・菓子・飲料水・酒・ビールの導入。
・常温保存で賞味期間も長い。
第二ステージ ・日配品、加工肉、冷凍食品、アイスクリーム、パン、卵の導入
・日配品(豆腐・こんにゃく、納豆、牛乳、練り製品、乳製品)は賞味期間が1週間以内のショートライフ商品
  は、多くの値引きロスや廃棄ロスが生じる。あまり日配品の大きな売場を作らないこと
・品揃えはセミロングやロングライフ商品を多く
第三ステージ ・CVSが得意とする総菜、弁当、おにぎり、サンドイッチ等の導入
第四ステージ ・イートイン機能

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