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モノやサービスが継続的に消費者に購入されるためには、2つの基本的要素を持っていなければならない。一つが「マインドシェア」もう一つが「スペースシェア」だ。マインドシェアとは広告・消費者販促・PR活動などで企業名やブランド名が繰り返し消費者の心にインプットされ、消費者のマインド(心)の中に刷り込まれた度合いの強さを表わす。私は軽い擦り傷、切り傷を負ったときはジョンソン・エンド・ジョンソン社のバンドエイドをすぐ思い浮かべるし、ビールを飲みたいと思ったら、アサヒビールのスーパードライを思い浮かべる。それはそれぞれのブランドが私の心の中に非常に高い「マインドシェア」を獲得しているからだ。そしてそれらの製品を小売店で購入しようと来店したときに、目的の商品が「見つけやすく、選びやすく、買いやすい」状態になっていれば即座に購入する。それが店頭における「スペースシェア」の獲得だ。車の両輪と同じで、この両方の要素が備わったとき、消費者は継続的に購入していくのだ。2011年の世界のブランド価値が発表された。ここ10年間トップ10の顔ぶれは毎年少しづつ変わっているが、その中でコカ・コーラが1位を保ち続けているのはさすがだ。アップルが10年度の17位から8位に躍り出た。つい最近亡くなられたスティーブ・ジョブ氏の功績は大きい。ちなみに日本企業ではトヨタが11位だ。実はこのブランドがマインドシェアを作り上げていく。
【2011年の企業ブランド価値ランキング】
順位  (前年)
ブランド名
ブランド価値
($百万)
前年比増減率
(%)
  1  (1)  コカ・コーラ(米国)
71,861
2
  2  (2)  IBM(米国)
69,905
8
  3  (3)  マイクロソフト(米国)
59,087
▲3
  4  (4)  グーグル(米国)
55,317
27
  5  (5)  GE(米国)
42,808
0
  6  (6)  マクドナルド(米国)
35,593
6
  7  (7)  インテル(米国)
35,217
10
  8  (17)  アップル(米国)
33,492
58
  9  (9)  ディズニー(米国)
29,018
1
 10  (10)  ヒューレット・パッカード(米国)
28,479
6
 11  (11)  トヨタ(日本)
27,764
6
 12  (12)  メルセデス・ベンツ(ドイツ)
27,445
9
 13  (14)  シスコ(米国)
25,309
9
 14  (8)  ノキア(フィンランド)
25.071
▲15
 15  (15)  BMW(ドイツ)
24,554
10
 16  (13)  ジレット(米国)
23,997
3
 17  (19)  サムスン(韓国)
23,430
20
 18  (16)  ルイ・ヴィトン(フランス)
23,172
6
 19  (20)  ホンダ(日本)
19,431
5
 20  (22)  オラクル(米国)
17,262
16

21世紀は企業が保有する資本や資産より、企業のブランド力が競争の勝ち負けを決定する時代になった。企業を守り、支えてくれるのは顧客であり、顧客が信頼の尺度とするのがブランドだからだ。
小売業の場合、お客が何かを買いたいと思ったとき、「あの店に行こう」と条件反射的に頭に浮かべてもらえるような店になれば、来店率は高まり、繁盛店になれる。米国の小売業は今企業のブランド作りに大変努力をしている。


ブランドとは直接的には企業や商品の存在を示す呼称だが、一般的にブランドという言うときには、ブランドエクイティを指し、企業にとっては消費者の心理や行動に入り込んだ「資産」、お客にとっては「信頼の指標」だ。つまり、ブランドとは「ブランド認知機能」と「ブランドイメージ機能」が一つになって、消費者の頭の中にブランド知識として入り込んだものだ。


これまでの小売業の戦略は、業態、店舗、商品、サービスなどが、他と差別化されていれば、また価格を安くすれば、顧客は飛びついてくると考えてきた。しかし企業の不祥事の多発により信頼感が薄れた今日、消費者は信頼の尺度を求めだしたのだ。そこで21世紀のマーケティング戦略では、ブランド構築によって消費者の共感や信頼感を獲得することが重要になっている。ブランドは消費者に対してこの信頼感を与える。ブランドは膨大な数の店舗や商品の中から、時間や労力をかけずに信頼の置ける企業や商品を選択してくれるという「情報処理機能」を与えてくれる。企業は自社独自のブランド構築によって消費者の信頼を得て、ロイヤルカスタマーを増やすことができる。ブランドバリューが、企業の売上げや利益の向上に直結する時代に入ったのだ。


ブランド構築には次の3つの要素が必要だ。
@ 企業の信用価値
企業の信用価値は、企業理念で誓った消費者、従業員そして地域社会を大切にすることを何年も継続して実施することによって出来ていく
A 使用価値
使用価値はその店を使用したときの印象だ。消費者は、商品価値、便利性価値、サービス価値、雰囲気価値、価格価値の5つの価値を総合して店を判断する。それらが顧客に適切であれば、継続利用してもらえ、使用価値が上っていく。
B イメージ価値
その店舗を利用することがイメージ的に良くなければならない。その企業の買物袋を持って外を歩くと気分が良いか悪いかをチェックすればイメージ価値が分かる。

現在ウォルマートやウォルグリーン初め多くの企業が、ブランド価値の向上に新戦略を打って出ているが、その中でスーパーマーケット・ホールフーズマーケットの例を紹介しよう。この企業も2008年のリーマンショック以後顧客離れが激しく業績が落ち込んだ。それは価格が高い割にはそれに相当する価値の商品・サービスを提供していなかったからだ。ブランドの再構築のために次の戦略を取った。


お客様に対して「安全・安心のモノ・サービスの提供」「環境への配慮」そして「地域社会に対する貢献」を店頭に大きなボードで唱い、顧客に企業のお約束を訴求している。


a) 「健康的でない食品やサステイナブルでない商品は一切販売しない」と宣言。
b) 「品質に対しての強いこだわり」を大きな店内ボードで訴求
c) ANDIという栄養評価システムを導入。青果、食品、飲料の格付けを始めた。最高得点は1000点で、ケールやクレソンが該当し、オレンジは109点、パンは25点、最も点数が低いのは炭酸飲料で1点だ。これらが売場で表示されている。
d) 精肉飼育状況格付け表示
精肉は家畜の飼育状況を調査し、ステップ1から5+までの格付けし表示されている。ステップ1は「木箱やケージが取り払われ、自由に動き回れる環境」、ステップ5+は「良好な環境で育てられ、生涯同じ農場で飼育」と定義づけ。
e) 米農務省認可のヘルス&ビューテイー商品のみの取扱い
オーガニックのヘルス&ビューティーケア商品の選別を開始し、「今後米農務省などから正式に認可されたH&BC商品のみを扱う」と通告し、11年6月からスタート。
f) 食生活改善プログラムである「ヘルス・スターツ・ヒア」プログラムの導入
正しい食生活を考慮して取入れられたプログラムだ。ある企業でこのプログラムを導入した結果、短期間で多くの社員が肥満、高血圧、高コレステロールを解消したため売場に導入。ちなみに、ヘルス・スターツ・ヒア推奨商品はすでに惣菜売場で販売。またこのプログラムの一環として11年8月よりマサチューセッツ店で、会員制ウエルネスクラブをスタートした。健全なライフスタイルを取り入れるための個人指導、食品の買物や料理指導、栄養クラスその他の有料イベントが無料になる。さらにヨガ、フィットネス教室、マッサージや料理教室などの参加費の割引きや、6000品目以上の商品を10%の値引きで購入できる。
g) 幼少の頃からの正しい食生活
妊婦や若い母親をターゲットにしたベビークラブや子供向け料理教室などの実施とホールキッズという子供向け売場を作って小さいときからの正しい食生活指導をしている。


a) フードマイレージ(Food Mileage)コンセプトの導入
フード・マイレージは、「食料(food) の 輸送距離 (mileage) 」という意味で、食料の輸送量と輸送距離を定量的に把握することを目的とした指標または考え方である。食糧の輸送に伴い排出される二酸化炭素が、地球環境に与える負荷に着目したものである。環境維持を自社のコアバリューにしているホールフーズマーケットは、この考え方に賛同しており、環境負荷の低い地元青果を取り入れている。地元企業にも自社基準にあった商品を製造してもらい、「ローカル」というシールを貼っている。これらの活動はフードマイレージの削減と地元農家・地元企業の活性化を図り、地産地消を実現している。さらに店舗の屋上や隣にグリーンハウスを栽培し、販売を実験的に開始した。
b) 鮮魚に関する持続可能レベル格付け表を店頭に表示
自店で販売している鮮魚の漁獲状態を徹底調査。絶滅危惧種の販売を中止するとともに、持続可能レベルを色分けした独自の格付け表を店頭に提示。絶滅危惧種には赤、絶滅の可能性のある品種には黄色、持続可能な品種にはグリーンのシールが貼られている。魚介類は天然と養殖とを区別し、天然の魚は海洋管理協議会に認定されたものを仕入れる。
ここまで徹底しなければ主顧客である高学歴・高所得者層の顧客にマインドシェアを植えつけられないのだ。これら数々の戦略を実行した結果ホールフーズは復活し、10年度は売上げ9006百万ドル(前年比+12.1%)営業利益は438百万ドル(前年比+54.2%)、既存店売上高は前年比+7.1%と非常に好調だ。


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