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人間には理性では抑えられない本能的な感情がある。これは人間が生き抜くために自己防衛するという観点から発達した感情である。例えば、良い店かもしれないのに、店構えが悪いと商品が悪いのでないかとか、だまされるのではないかと感じで敬遠してしまうというのはその例である。火事の時に母親が子供を救うために火の中に飛び込んでいくというのも、感情がすべてに優先して起こす行動である。生命の危機にさらされているとき、いちいち頭で考えて行動したのでは間に合わず、子供の命を守れない。
「何となく不快な店」というのは、不快な経験をする可能性が高いので避けた方がいいという動物的直感が発するシグナルなのである。そのシグナルは理性よりも強くそして早く伝わる。特にこの感情は小売業の主顧客である女性の方が強い。女性は子孫を保つために、本能で判断する力が男性より強いからだ。そのため、女性客は感情面で判断する傾向が強く、店舗の外観や店員の挨拶が悪いと「この店は駄目な店」という判断を下し、その店全部を否定する傾向が強いので注意しなければならない。友人が奥さんと一緒に冷蔵庫を購入しに某大手家電ショップに行ったときのことだ。エコポイントが利用できる時期であったため、店内は非常に混んでいて説明をしてもらえる従業員を見つけるのが大変だった。やっと見つけた従業員から友人は冷蔵庫の機能について説明を受けていたが、奥さんがその場からすぐ離れ、そのうちにこの店を出ようと言い出した。友人がどうして従業員の説明を聞かないのか尋ねたところ、身なりが汚らしいのでクリーンなイメージが大切な冷蔵庫をあの人から買うのは嫌なのだという。つまり冷蔵庫の機能やデザインや価格という理性的な面からでなく、まさに汚らしいという「感情」で判断されてしまった例だ。
販売はお客の心の操作である。人間は好きという感情を持つと「あばた」も「えくぼ」になり、嫌いになると「つむじ」が「はげ」に見える。店作りで大切なことは、まず「感じが良い店」と好感を持ってもらうことだ。初めに「嫌な店」という印象を持ったら、お客は店には入らないか入ったとしてもすぐ出て行く。従って売り上げを上げる可能性はゼロに近い。つまり、どんなに合理的、論理的に優れた店作りをしても、感情面で受け入れられない店では、お客は買い物をしたくないということだ。人間には好き嫌いなど「感じる右脳」(感情=非理性)と、「論理的に考え判断する左脳」(理性)の二つがある。人間の購買心理は感情(非理性)で欲求が起き、理性で修正されるというプロセスを踏む。購買行動における理性と非理性の割合は、最低でも1:9といわれるくらい、圧倒的に非理性の力が強い。感情(非理性)に訴求する力をアップさせることこそが、販売力を高めるカギだ。まず「何となく感じが良い、雰囲気が良い」という非理性による評価を獲得して、その後で「品揃え」や「価格」という理性の分野の話になるのだ。最初に「感じが悪い」と思われたら最後、その店を繁盛させるのは至難の業だ。そのため小売業にとって第一印象は非常に重要だ。
人は最初に与えられた情報ほど信じやすいという、心理学でいう「初頭効果」がある。つまり第一印象がその後の行動に大きな影響力を持つということだ。米国の心理学者のミラー氏が行った実験がある。学生たちにジムという人間が出てくる文章を読ませ、ジムの性格が社交的か非社交的かその印象を述べてもらう実験だ。文章の最初にジムの外交的な部分を述べ後半に内向的な部分を述べた文書の場合は、ジムは社交的で積極的と判断した。逆に前半に内向的な部分を述べ、後半で外交的な部分を述べた場合、ジムは非社交的で消極的な性格であると判断した。このように人間は第一印象で全てを判断する傾向があるので、第一印象を与える店構えや入り口等を大事に考えた店作りが大切である。アメリカの心理学者レオナード・ビックマンが行った実験も興味深い。電話ボックスの中にコイン(硬貨)をわざと置き忘れ、2分後にコインの置き忘れを問うと、きちんとした服装の場合77%の人が返してくれるが、みすぼらしい服装であると38%の人しか返してくれなかった。服装によって判断されてしまったのだ。店舗も服装と同じで、きちんとしておけば、同じ商品・同じサービス・同じ価格でも、顧客のその店に対する評価を高める傾向があることを覚えておこう。店舗の外観は人間の服装のようなものだ。そのためきちんとした店舗外観は顧客の信頼に結びつく。

 

私が主宰する研究会のメンバーの店舗で下記の実験をした。
【A店】「暖かい雰囲気」「良い品揃え」「値ごろの価格」「きちんとした接客」「クリーンな店舗」「きちんとした陳列」【B店】「冷たい雰囲気」「良い品揃え」「値ごろの価格」「きちんとした接客」「クリーンな店舗」「きちんとした陳列」。A店では入り口近辺の売り場を季節感のある暖かい雰囲気にし、B店ではクールで沈んだ雰囲気にした。その他の項目は全く同じにしても、来店客の店に対する印象は異なり、暖かい雰囲気のA店に多くの支持が集まった。これが初頭効果と呼ばれるもので、人は最初に与えられた情報ほど信じやすいというところからきている。
そこで皆さんの意見を聞いてみたい。店の外に商品を山積み陳列する店が多くある。皆さんはこのことをどう思いますか?ドラッグストアの場合、小さな店の場合は致し方ないとして、十分なサイズのある店では止めた方が良い。何故か?ドラッグストアは衛生を第一にするビジネスだ。外に置いたのでは埃がたかって商品が不衛生になる。店先というのは店の第一印象を決定する場なのだ。不衛生に商品を扱っているという印象を顧客に与えることで、店全体の印象を悪くする。特にベビー関連の商品を店の外に陳列をすると印象はさらに悪くなる。米国のドラッグストアの関係者が日本に来て一番顔をしかめるのは、商品を店の外に陳列して不衛生に扱っている状況を見たときだ。同じビジネスをする人間として許しがたいというのだ。ドラッグストアというビジネスがまだ日本人になじみが薄かった20年前は、やむにやまれぬ事情があって取り扱い商品を店頭に置いてショーウインドー効果を狙った時代もあった。
店先に陳列される商品は紙製品や洗剤などかさ張る商品が多いが、これらの商品を店先に陳列すると買い上げ点数が落ちる。買い物の最初の段階でこうした商品を購入したお客は、買い物かごやショッピングカートがすぐ一杯になってしまい、それ以上商品を購入する意欲が減退する。店先で購入した商品だけを持ってレジに直行してしまうので、当然買い上げ点数は上がらないことになる。実際に西日本の某ドラッグストアで行ったテストだと、店先においてあった商品を店の中に陳列したところ買い上げ点数が0.83個増加した。店先に置かれる商品はPI値が高い商品が多いため、店内に陳列すると回遊性が上がり店内の色々な売り場を見てくれるからだ。駐車場、看板、店の入り口、店の外の陳列をもう一度見直してほしい。その良し悪しが顧客の第一印象を決定づけ、売り上げに大きな影響を与えるからだ。

 

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