アメリカのドラッグストアを検証し、日本のドラッグストアにあう多彩なプログラムを提案します
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子供(キッズ)はメーカーや小売にとって大変重要なお客様だ。それはPIFつまりP=Preset Value(現在価値)、I=Inflience Value(影響価値)、F=Future Value(将来価値)の3つのパワーを持っているからだ。
一番目は「P=Present Value」(現在価値)だ。子供は「6つのポケット」を持っているとよく表現されるが、両親・祖父母・叔父叔母などが、子供にプレゼントをするので思ったより購買力を持っている。そして値段より自分の好みのものを購入するので利益が取れる。
2番目は「I=Inflience Value」(影響価値)だ。子供の意見が発言権を強めており、家庭内で使用する商品やサービスの購買に対してかなりの影響力を持つようになっている。今は両親が働きに出ている家庭が多く、親に代わって日常の商品を子供が買物に行っていることや、普段かまってやれないことから、子供に甘くなって彼らの意見を取り入れる傾向の親が増えているからだ。そのため、子供が行ってて面白くない店は、子供の意見に従って親が店を出て行ったりするので顧客流失の要因になってしまう。店側はその対策として、子供にとって楽しめる売場作りや子供がショッピングを出来るように小さな買い物かごやキャラクターの付いたショッピングカートを揃える等の工夫をしている。またマスコット人形を店内数箇所に置き、「マスコット人形オリバーちゃんはどこにいますか?」という遊びをして、当てた子供にマスコット人形をプレゼントする店もある。米国のドラッグストアは玩具売場が充実している。これも子供が母親と来店したとき、玩具売場で商品をいじって楽しんでもらうためだ。そして良い印象を持ってもらうのだ。日本のドラッグストアはゆりかごから墓場までといううたい文句で、どの年齢層にも役に立とうと努力をしているが、キッズ売場がなく、キッズ向け商品の品揃えも薄い。子供が行って面白くないお店の代表格だ。

            
3番目が「F=Future Value」(将来価値)で、日本の企業が学ぶべきポイントだ。日本の企業の販売促進を見ると、今すぐの効果を狙った販売促進プログラムが多いのに気付かされる。今このキャンペーンを実施すると、どの位の売上げ・利益・客数アップにつながるかという発想だ。
米国の販促にはそのような「即座の効果」を狙うものと、「将来の効果」を狙う長期的な考え方の販売促進が存在する。この長期的な観点からの販売促進は「生涯客作りマーケティング」という位置付けにされている。人間は感受性の豊かな小さいときに受けた印象は、大人になっても影響される。良い印象ならそれを大人になっても持ち続け、悪い印象であればそれがトラウマになり生涯嫌う場合もある。私は読売ジャイアンツファンだ。その理由は、小学生のころジャイアンツの名投手別所毅彦氏の現役華やかりしころ、ファンレターを出したら手書きの返事が来て大感激をし、私の大事な宝物になったと同時にジャイアンツファンになり、それが今だに続いている。逆に私が鶏肉を余り好まないのは、小さいとき鳥をさばくシーンを見てから苦手になった影響を引きづっているのだ。人間の味覚は9歳までに決まってしまうという話を聞いた。そのため大人の人に「あなたにとっての美味しい味は?」という質問に、母親の作ってくれた料理の味をあげる人が多い。いわゆる「お袋の味」だ。料理の専門的見地から判断して美味しい味かどうかというのは別問題で、小さいときから慣れ親しんだ味がその人にとっては美味しいのだ。そのため、清涼飲料水メーカーはサンプリングと称して子供たちに無料で飲ませたり、米国デニーズでは火曜日の午後4時〜9時まではキッズフリー(子供は無料で食事が出来る)の販促を行っている。
ホールフーズマーケットというオーガニックフードで有名なスーパーマーケットは、「正しい食生活を子供のときから」という考えからホールキッズというコーナーを作り、肥満の元となる手軽なファストフードでなく、野菜や穀物の持つ本来の味を子供たちに分ってもらおうとしている。そのために下記のような子供料理教室を始終開いており、やさしいシェフのお兄さんやお姉さんから料理を教えてもらう子供たちが店を好きになって良い印象を持ってくれるように考えている。

             
キッズ・イン・ザ・キッチン

毎週土曜日
12時

7〜12歳の子供をライフスタイルセンターにあづける。
シェフのステイシーが子供たちに楽しい料理教室を展開。
参加費用は15ドルで事前の申し込みが必要
ティーン・クッキングクラス
毎週金曜日
午後1:30〜2:30
シェフのステイシーが家族で食べられる美味しい食事
メニューを10代の子供たちに教える。参加費用は20ドルで事前の申し込みが必要

 

また東海岸のスーパーマーケットウェグマンでは、子供への正しい「食育」を継続的に行っている。ブロッコリーやにんじんは非常に栄養素の高い優れた食べ物だが嫌いな子供たちが多いため、親は食べさせるのに苦労している。そこでブロッコリーやにんじんを美味しく食べる子供料理教室を開催し、子供達が自分で料理したブロッコリーやにんじんを食べることによって、苦手な野菜に対する抵抗感をなくそうとする試みである。また週末や祭日には、料理教室で使用する部屋を使って子供向け映画祭を催している。飲み物や簡単なスナックを無料で提供している。
スーパーマーケット・スチューレオナードでは、定期的に小学生を店に招待している。スクールバスで来た子供たちに店内を案内し、ミルクやパンの作り方、肉や魚のさばき方や惣菜の料理の仕方を見学してもらい、その後ベンチで美味しいランチが出される。お店の向こうはミニ動物園になっており、ヤギ・牛・鶏・七面鳥などと接することが出来る。駐車場の中では牛の人形が付いた車が走っており、子供たちはそれに乗って大喜びだ。またハロウィーンになると、仮装をして来店した子供はアイスクリームがもらえる販促をしている。忘れられない思い出になるだろう。

今最も成長著しいスーパーマーケット・トレーダ−ジョーでは子供の塗り絵大会を開催している。各地区にある大学のマスコット、例えば私の家のそばのUCLAであればBruin(ブルーイン:褐色の熊)がマスコットなので、店内にその塗り絵が沢山張られている。子供にとっては自慢の塗り絵だから、店内に貼り出されたり表彰されたらとてもよい気分になって生涯の思い出になる。そして10月頃になると、表彰された子供たちはその塗り絵や自分の写真などを入れた翌年のカレンダーを作ってもらえる。世界にたった一つしかないカレンダーだから大変好評だ。
ローカルドラッグストアでは「ティーンズクラブ」を作り、化粧の仕方を教えている。米国の場合、小学校の卒業式の後のパーティーでは子供たちが着飾り、お化粧も結構しっかりしてくる。母親はどのように子供の化粧をしたら良いか分からないので、ドラッグストアのコスメティシャンに教えてもらいに子供と一緒にお店に行く。初めてのお化粧を優しく教えてもらってきれいになった子供たちは、お店に対して良い印象を持ち、将来大人になってもその店舗を使うようになる。
ミネソタ州ミネアポリスに本社を構えるディスカウントストアのターゲットでは「キッズクラブ」を作り、キャンプを催したりして自然とのふれあいを教えている。また60年近くもの間、地域の小・中・高校に利益の5%を寄付している。ターゲットの店舗入り口には、寄付を受けた学生達からの感謝の手紙が張られていることがある。ターゲットのファッションは大学生に非常に人気がある。それは百貨店出身の企業だけあってファッションセンスが高いこともあるが、小さいときにターゲットに対して良い印象を持った学生達が購入しているからでもある。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは子供向けバンドエイドやリーチ歯ブラシにディズニーのキャラクターを付けており、子供たちはキャラクター付きのものを喜んで使用する。これも小さいときからバンドエイドやリーチ歯ブラシになじみながら成長してもらう戦略だ。
アパレルのアルマーニはアルマーニキッズ、ラルフローレンはラルフローレンキッズ、ギャップはギャップキッズ、食器のポタリーバーンもキッズ向けの店を持ち、どの企業も生涯客作りマーケティングをしっかり実施している。
日本の企業は今のビジネスチャンスに投資をすると同時に、将来のビジネスつまり生涯客作りにもっと力を入れる必要がある。

      

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